コラム

2020.09.24 06:00

ICTとは?ITやIoTとの違い、活用メリットや活用事例を詳しく解説

ICTとは?ITやIoTとの違い、活用メリットなどを詳しく解説。教育、福祉介護でのICT活用事例(独自取材)もご紹介
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昨今、インターネットやニュースなどで「ICT」という言葉を見聞きすることが増えているのではないでしょうか。「ICT」は情報通信技術を活用したコミュニケーションを意味する言葉です。

この記事ではICTとは何か、他の言葉と比べながらわかりやすく解説します。また、経営上のメリットや身近な活用例なども紹介していますので参考にしてください。

ICT(アイシーティー)とは、Information and Communication Technology:「情報通信技術」のこと

ICT(アイシーティー)とは、「Information and Communication Technology」の略称です。日本語では、「情報通信技術」と訳され、コンピュータを単独で使うだけでなく、ネットワークを活用して情報や知識を共有することも含めた幅広い言葉です。

「Communication」という言葉が表しているように、その目的はコミュニケーションであり、新しい技術だけを指すのではなく、これまでも使っていたメールやSNSなどのやり取りも含まれます。

ICT・IT・IoTとの違いとは?ICTとの比較で確認

これまでも使われてきた「IT」という言葉や、最近話題の「IoT」という言葉がICTとどう違うのか、それぞれについて簡単に紹介します。

ITとは?

ITとは「Information Technology」の略称で、日本語では「情報技術」と訳されます。簡単に言えば情報を扱う技術の総称で、パソコンやOA機器といったハードウェアだけでなく、OSアプリケーションといったソフトウェア、そしてそれらをつなぐネットワークやセキュリティなど幅広い技術を指します。

ITを活用することで、これまでの手作業をシステム化し、コストの削減や品質の向上など業務の効率化や売上の拡大を実現してきました。

ICTとITの違いとは?

ICTでもITでもコンピュータを活用する「情報技術」という意味ではほぼ同じことを指しています。ITという言葉を使っても、当たり前のようにネットワークに接続して情報を共有しますし、通信が含まれないということはありません。

しかし、ICTはコミュニケーションに関する部分をより強調した言葉で、ITが技術そのものを指すのに対し、ICTではその技術の使い方や活用方法なども含むことが一般的です。

ICTとIoTの違いとは?

ICTと似た言葉に「IoT」があります。これは「Internet of Things」の略称で、「モノのインターネット」と訳されます。パソコンやスマートフォンに限らず、家電やセンサーなどさまざまなモノがインターネットにつながる仕組みのことを指し、2000年頃に流行した「ユビキタス」という言葉の進化系だといえます。

ユビキタスは「どこでもコンピュータ」と呼ばれたように、あらゆるところにコンピュータが存在し、いつでもどこでも意識せずに使えるような社会のことを指します。現在のIoTはそれに近いものを指し、スマート家電など便利な機器をインターネットに接続することで、データの収集やビッグデータの活用が可能となることが期待されています。

ICT導入による経営上の3つのメリット

ICTを導入することで、企業などの組織においてさまざまな経営上のメリットがあります。その具体的な内容について紹介します。

コミュニケーションを取りやすくなる

携帯電話やスマートフォンを活用すると、外出先でもコミュニケーションが取れるようになります。このとき、写真や映像などを送受信できることで、より具体的で正確な情報を報告できます。

また、リアルタイムに複数人と情報共有でき、離れた場所にいる相手とも時間や場所の制約を超えた、円滑なコミュニケーションが実現できます。

サービスの質を向上させることができる

受注や問い合わせ対応など、これまでは担当者が会社にいる時間帯しか対応できなかったものが、Webサイトを使うことで24時間365日、場所や時間を問わない受付が可能になりました。

これは社内担当者同士の連絡でも同じで、担当者が客先にいる場合でも、その場所を問わず社内システムへのアクセスが可能になります。

これにより、納期や在庫についてスムーズに返答、対応できることからサービスの質の向上につながります。

生産性を向上できる

これまでは社内にいなければできなかった申請や承認といった作業も、ICTを導入することでいつでもどこでも可能になります。災害やパンデミックなどの発生時だけリモートワークするのではなく、普段からWeb会議やテレワークを活用することで工数削減や時間の有効利用が可能となり、生産性の向上を実現できます。

政府や行政機関によるICT推進の現状

ICTに取り組んでいるのは民間だけでなく、政府や行政機関でもICTを推進しています。たとえば、総務省では情報通信の政策として「ICT政策」を進めており、「ICT成長戦略会議」などを開催してきました。

また、2019年に発行された「令和元年版 情報通信白書」でも、第1章で「ICTとデジタル経済はどのように進化してきたのか」と題して、ICTのこれまでの変化と現在の状況を整理しています。

参考)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/pdf/index.html

たとえば、携帯電話の進化やインターネットの高速化、IoTデバイスの急速な普及によるビッグデータ集積、サイバーセキュリティやプライバシーの問題などについても取り上げています。

身の回りにもあるICTを活用した事例[教育│地方活性化│介護│医療│防災]

総務省によるICT促進についての取り組みが多岐に渡っているだけでなく、その活用例は私たちの身の回りにも広がっています。そこで、身近にある具体的な例について紹介します。

教育現場

これからの時代を考えたときに、こどもたちが通う学校の変化に注目してみましょう。これまでも学校にはパソコンが導入されていましたが、専用の教室でしか使えないことがほとんどでした。しかし、現在ではタブレットなどを使用した授業を取り入れている学校も増えており、デジタル教科書なども導入が進んでいます。

成績の管理や資料の作成にICTが必須であるだけでなく、動画を使った授業や、遠隔地との通信、クラウドサービスを使うことで学校に来られない生徒にも対応できる時代が近づいています。

#学校の事例

1人1台のノートパソコンでGIGAスクール先端校の実現に確かな手ごたえ 日本文理高等学校(新潟県)

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1人1台のノートパソコンでGIGAスクール先端校の実現に確かな手ごたえ 日本文理高等学校(新潟県)

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地方活性化

テレワークが普及すると、都心で働く必要性が薄れてきます。Web会議が実現できれば、どこでも働ける環境になり、地方に住む人を採用することも可能になります。これは働く環境だけではありません。地方からの情報発信が豊富になると観光に注目が集まることが考えられ、地方への移住も推進されるかもしれません。

地方の人口が増えることで、医療や介護、教育や子育てなど幅広い分野で地方が活性化する可能性があります。

地方活性化のICT活用の事例

大型ビジョンで商店街の魅力を発信 コロナ禍の逆風をチャンスに 仙台市中心部商店街活性化協議会(宮城県)

地方活性化のICT活用の事例

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介護業界

日本のような高齢社会において求められるのは高齢者の介護や安否確認です。離れた場所にいる家族や介護担当者が親の健康状態を定期的に確認するにはICTの活用が欠かせません。

たとえば、部屋にWebカメラを設置したり、水道や家電にセンサーを設置したりして元気に暮らしているか確認するなど、さまざまな取り組みが始まっています。

センサーからの情報を家族が見るだけでなく、ホームヘルパーやケアマネージャー、医師や看護師などと共有することで、健康管理に役立てることもできます。

#福祉介護の事例

入所者の“危険”を事前に検知 見守りベッドセンサーで安全・安心の介護を実現 晃樹会(埼玉県)

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リモートワークがケアマネジャーを残業から解放  帰宅時間が3時間も早く

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高齢者増加と働き手減少からICTとAIを積極活用して大きな効果。医療法人母体の社会福祉法人ふるさと会(高知県)

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その他 中小企業応援サイトの福祉介護業のICT活用事例 https://smb.ricoh.co.jp/casestudy/?industry=25

医療業界

専門的な知識が必要になる医療業界では、大きな病院でないと診断できない病気もあります。このような場合でも、ICTを活用した遠隔診療に注目が集まっています。CT画像などを遠隔地にいる専門医にネットワーク経由で転送し、リアルタイムに診断することが可能になっています。

また、患者や症例に関する情報共有といったこれまでの使い方だけでなく、最新のAIやビッグデータを活用した診断や治療が始まっています。

防災対策

災害が発生した場合には、迅速な対応が求められます。最近では緊急地震速報など、災害発生地点の近くにいる人にいち早く情報を伝えることもできるようになりましたが、ICTを活用することで、GPSなどによる位置情報や地図情報を使えます。

また、安否確認サービスといった災害情報共有システムや、防災地での無料Wi-Fiの提供など、被災者を支援する取り組みも始まっています。

中小企業のICTの導入事例を100事例以上掲載中

今回はICTの概要と、ITやIoTとの違いだけでなく、経営面でのメリット、ビジネスの現場での活用事例などについて紹介しました。

「中小企業応援サイト」では、中小企業を中心にICTソリューションなどによる経営革新の事例についての記事を掲載しています。事業継承や補助金、中小企業支援施策など中小企業経営者が持つ悩みに応えるコラムなども掲載していますので、ぜひご覧ください。また、メールマガジンでも中小企業の皆様に役立つ情報を発信していますので、ぜひご活用ください。

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増井氏の顔写真

執筆者

増井 敏克

増井技術士事務所 代表。技術士(情報工学部門)。情報処理技術者試験にも多数合格。ビジネス数学検定1級に合格し、公益財団法人日本数学検定協会認定トレーナーとしても活動。「ビジネス」×「数学」×「IT」を組み合わせ、コンピュータを「正しく」「効率よく」使うためのスキルアップ支援や、各種ソフトウェアの開発をおこなっている。『IT用語図鑑』など著書多数。

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