コラム

2022.11.14 06:00

コンプライアンスとは?遵守するための対策とは?聞くに聞けない経営用語を解説

コンプライアンスとは?遵守するための対策とは?聞くに聞けない経営用語を解説
関連記事のお知らせを受け取る
問い合わせをする

この記事に書いてあること

関連資料を無料でダウンロード
聞くに聞けない経営用語集vol.1

聞くに聞けない経営用語集vol.1

ビジネスよく耳にする経営用語の意味、ちゃんと理解して使っていますか?用語の使い方や、似ている用語の違い、中小企業経営に役立つ情報もあわせて解説した、経営用語集を無料配布中!

関連資料をダウンロードする

コンプライアンスとは?1行で解説すると

コンプライアンスとは、法令や社会的規範、倫理などを守って活動をすることです。

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは、直訳すると法令遵守という意味。具体的には、法令や規則、社会的規範を守ることを指します。企業にとってのコンプライアンス(企業コンプライアンス)とは、会社が法律や社内規定を守るほか、社会的規範や倫理に基づきながら企業活動を行うことを指します。

近年では、企業が社会的責任を果たすことや、顧客や株主、従業員などのステークホルダーの利益に従うことも、コンプライアンスに含まれます。

コンプライアンスという単語の使い方

コンプライアンスという言葉は企業において、社内での確認や、社外への情報発信の際に用いられます。

たとえば、コンプライアンスに従ってビジネスを行う上では「コンプライアンスに配慮する」「コンプライアンス体制を強化」等の言い回しが用いられます。また、法令に反する活動が行われた場合には「コンプライス違反が発生」と指摘されます。社外に対する「当社はコンプライアンスを徹底しています」という使い方も一般的です。

コンプライアンスと、コーポレートガバナンス、CSRなどとの違い

コンプライアンスと同様のシーンで使われることが多いのが、コーポレートガバナンスや、CSRという言葉です。それらの言葉と、コンプライアンスの違いとは何でしょうか。

コンプライアンスとコーポレートガバナンスとの違い

コーポレートガバナンスとは、企業統治のこと。企業で不正が行われていないかどうかを、社外監査役など、会社外の立場から監視する仕組みのことです。企業の法律違反や不祥事を防ぎ、株主や、そのほか自社に関わる会社や人の利益を守ることが、コーポレートガバナンスの目的です。企業のコンプライアンスを徹底するために、コーポレートガバナンスを強化することが求められます。

「ガバナンス」について詳しくはこちら

CSRとの違い

CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略で、企業の社会的責任という意味。会社がビジネスを行う上で社会に対して果たすべき責任のことです。企業は、自社の利益追及や法令遵守だけではなく、従業員や取引先、株主などの関係者や社会の利益を実現することが求められています。

人権を尊重した雇用や消費者のニーズへの対応、環境への配慮、社会・地域貢献などが、CSRに含まれます。

そのほか経営用語について詳しく知りたい方はこちら

コンプライアンス違反とは具体的に何を指すのか?

では、コンプライアンス違反とは、実際にどのようなケースを指すのでしょうか。具体的にお伝えします。

情報漏洩

個人情報や営業秘密の漏洩は、コンプライアンス違反にあたります。大手企業が、大規模な個人情報の漏洩によって顧客数を減らすなどの事案が相次いでいます。自社独自の技術情報が、元社員によってライバル企業に流出した事件も発生しています。

情報漏洩はノウハウの流出などの損害だけでなく、消費者の不利益や信頼低下にもつながります。情報リスクを防ぐために、セキュリティ強化や秘密保持契約の徹底などの対策が必要です。

景品表示法違反

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)で禁止された行為も、コンプライアンス違反です。景品表示法は、原料の偽装や、大げさな表現で実際よりメリットが大きいと見せかける広告を出すなどの不当表示を禁じています。食肉のブランドを偽装する、健康食品の根拠のない効果を打ち出すなど、消費者を誤解させる情報発信は、故意ではなくても景品表示法に基づく措置命令が行われるため注意が必要です。

また、景品表示法では、過大な景品の配布が禁止されています。たとえば、購入者や来店者にもれなくプレゼントする「総付景品」は、取引価額が1000円未満の場合は景品の額は200円まで、取引価額が1000円以上の場合は、取引価額の10分の2までという制限があります。景表法に違反しないよう、販促にプレゼントを活用する際には、金額に注意しましょう。

不正受給

不正受給とは、嘘の申告により、行政の助成金や補助金を不正に受給することです。助成金・補助金の不正受給のほか、介護施設や病院による診療報酬・介護報酬の不正受給も発生しています。企業によるこうした不正受給は、重大なコンプライアンス違反にあたります。不正受給は詐欺罪などに該当し、10年以下の懲役などの罰則が課されることがあるため、注意が必要です。

不正会計

不正な会計処理も、コンプライアンス違反にあたります。業績の悪化を隠して企業価値を保つために、収支を偽装する粉飾決算や、黒字計上を装った損失隠しなどが組織ぐるみで行われる事件が発生しています。不正な会計処理は、賠償金の支払いを命じられることも。顧客からの信頼失墜にもつながる不正会計を防ぐためにも、コンプライアンスの徹底が求められます。

なぜコンプライアンス違反が起こるのか?

コンプライアンス違反が起こる主な理由は、社内の知識不足と、違反を防ぐ仕組みの欠如です。経営層や管理職層、一般社員に法律に関する知識がなく、知らないうちにコンプライアンス違反を起こすケースもあります。

また、不正の黙認や倫理に反する働き方が日常化した企業内ではコンプライアンス違反が発生しやすくなります。そのような状況を防ぐために、ガバナンスなどのコンプライアンス違反をチェックする体制が必要です。

中小企業企業で注意したいコンプライアンス違反と対策

では、中小企業では特に、どのようなコンプライアンス違反に注意すべきなのでしょうか。中小企業が気を付けるべきコンプライアンス違反と、その対策をお伝えします。

労務管理体制

労働基準法の基準を超えた長時間労働や、記録に残らないサービス残業を行わせることはコンプライアンス違反です。また、長時間労働や過労死の問題は、企業の信頼や業績の低下につながります。雇用や就労に関するコンプライアンス違反を防ぐために、適切な労務管理を行うことが重要です。適正な賃金支払いと法令遵守のため、労務管理システムなどを使い、労働時間を正確に把握しましょう。

労働環境

コスト削減や、発注元の要望に対する意識が高い中小企業は、従業員ひとりひとりの労働に依存するケースも多く見られます。ただ、法令の基準を超えた長時間労働や、危険な仕事、働く人の心身の健康を阻害する業務をさせることは、コンプライアンス違反です。従業員の過重労働を解消する取り組みや、働きやすい職場作りなど、労働環境の改善を進めましょう。

ハラスメント

セクハラ、パワハラなどの職場で起こるハラスメントへの対策も、コンプライアンスの一環として重視されています。2022年4月からはパワハラ防止法で、中小企業に対しても、パワハラを防止する取り組みが企業に義務付けられました。セクハラや、出産・育児に関するハラスメントを防ぐ施策も企業に求められています。ハラスメントを未然に防ぐ施策や、被害者からの相談に適切に対応する措置、再発防止の取り組みを進めましょう。

パワハラ防止法とは?定義やパワハラの具体例、企業がすべき対策を解説

中小企業でもできるコンプライアンス強化に向けた取り組み

中小企業にとっても重要なコンプライアンス強化。その実現に向けた具体的な取り組みをご紹介します。

体制・ルールづくり

第一に重要なのは、コンプライアンスを強化する体制作りです。まずは経営者が、コンプライアンスを徹底するというメッセージを全社に発信しましょう。

その上でコンプライアンスの専門委員会を立ち上げ、コンプライアンスの基本方針や、コンプライアンスに従った就業規則・行動規範を策定します。さらに、業務プロセス全体を確認し、コンプライアンス違反につながる属人的な業務や不正が発生しやすいワークフローを見直しましょう。

周知

コンプライアンスに関する基本方針や行動規範を、全社に周知します。社員向けの説明会を行うだけでなく、スムーズに共有ができるように、社内向けのパンフレットを作成・配布しても良いでしょう。就業規則や行動規範、基本方針の中から、特に実務で守るべき項目をまとめたガイドラインを作成するのも有効です。

研修

コンプライアンスについて学ぶ全社の研修を実施します。経営層から一般社員まで、コンプライアンスの重要性や、企業が守るべき法律や企業倫理について教育しましょう。

労働に関するルールや情報の取り扱いや、ハラスメントを防ぐための取り組みも重要な知識として身につける必要があります。法改正や社会の変化にも対応するため、定期的に社員向けのコンプライアンス教育を実施することが大切です。

窓口の設置

コンプライアンス違反に気付いた社員が、報告・相談ができる窓口を設置しましょう。相談窓口を設置することで、不正の報告や、違反の早期発見・対策がしやすくなります。窓口の運用に関しては、不正を報告した社員の個人情報の保護や、不正報告者の不利益を防ぐことが重要です。報告内容についての調査や是正、そして相談窓口制度の継続的な改善を行い、より問題の報告がしやすい環境を整えましょう。

経営用語を理解して知識をアップデートしよう!

顧客や取引先から信頼される会社であり続けるために重要なコンプライアンス。会社全体で改めてその重要性を知り、コンプライアンス違反を防ぐ具体的な取り組みを進めてみてはいかがでしょうか?

価値ある会社として成長し続けるためには、基本的な経営用語の理解は欠かせません。コンプライアンス以外にも、ガバナンス、ステークホルダーなど、今さら人に聞けない経営用語を、この機会におさらいしてみませんか? 中小企業応援サイト独自のお役立ち資料「聞くに聞けない経営用語集」をぜひ、ご活用ください。

関連資料を無料でダウンロード
聞くに聞けない経営用語集vol.1

聞くに聞けない経営用語集vol.1

ビジネスよく耳にする経営用語の意味、ちゃんと理解して使っていますか?用語の使い方や、似ている用語の違い、中小企業経営に役立つ情報もあわせて解説した、経営用語集を無料配布中!

関連資料をダウンロードする

関連記事のお知らせを受け取る
問い合わせをする

2024VPre1.0