コラム

2022.11.22 06:00

ガバナンスとは?中小企業に必要なの?コンプライアンスなどとの違いを簡単に解説

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ガバナンスとは?1行で解説すると

企業におけるガバナンス=コーポレートガバナンスとは、不正が起こらないように企業経営を監視する仕組みのこと。

ガバナンスとは?

企業におけるガバナンス=コーポレートガバナンスとは、企業統治のこと。企業の不祥事を防ぎ、健全な経営が行われるために、会社を監視・統制する仕組みのことです。株主や顧客などのステークホルダーの利益を守ると同時に、企業価値を高めるために、社外取締役や社外監視役が事業のプロセスや経営体制をチェックし、経営の透明性を確保します。

「ガバナンスが効く」「ガバナンスコード」ガバナンスの具体的な使い方

ガバナンスという言葉は主に企業内で、統治の状況を確認する際などに使われます。たとえば「ガバナンスを強化する」とは、社外取締役や監視の仕組みを増やすなどの方法で、統制機能を高めること。また、ガバナンスが十分に機能している状態を、「ガバナンスが効いている」といいます。

また、ガバナンスコード(コーポレートガバナンス・コード)とは、コーポレートガバナンスを行うための原則を示した手引きのこと。日本企業の成長や価値向上のため、金融庁と東京証券取引所が2015年に公表し、2021年6月に改訂されました。東証一部・東証二部上場企業に対しては基本的に、このコーポレートガバナンス・コードを遵守することが求められています。

ガバナンスとコンプライアンスやリスクマネジメントなどとの違い

似たシーンで使われる言葉として、コンプライアンスやリスクマネジメントという言葉と、ガバナンスの意味が混同してしまう方もいるかもしれません。ガバナンスとそれぞれの言葉の違いは何でしょうか。

ガバナンスとコンプライアンスとの違い

コンプライアンスとは、法令遵守を意味します。企業コンプライアンスとは、会社が法律や社内規定、社会的規範や倫理に従ってビジネスを行うことを指し、企業統治を意味するガバナンスとは異なります。法律違反や倫理違反を防いでコンプライアンスを維持するため、企業を監視・統制する仕組みが、ガバナンスです。

「コンプライアンス」について詳しくはこちら

ガバナンスとリスクマネジメントとの違い

リスクマネジメントとは、企業に起こりうる経営リスクを事前に把握し、対処できる体制を整えておく管理手法のこと。経営者が従業員や社内のプロセスを管理し、リスクから会社を守るための仕組みです。リスクを想定して対処を行うリスクマネジメントは、コーポレートガバナンスを強化する上で、重要な機能のひとつです。

他にもこの言葉の意味はご存知ですか?

ガバナンスのほかにも、聞いたことがあるものの意味を知らない経営用語はありませんか?下記のお役立ち資料「聞くに聞けない経営用語集」では、コンプライアンス、ステークホルダー、アセスメントなど、今さら人に聞けないビジネス用語を解説しています。ぜひこちらもご覧ください。

経営用語について詳しく知りたい方はこちら

なぜガバナンスが注目されているのか?

コーポレートガバナンスは、なぜ今、注目されているのでしょうか。その理由のひとつは、偽装や粉飾決算といった、企業ぐるみの不祥事の発生です。情報技術の発展によって、不正の発覚や情報の拡散がしやすくなっていることから、1度の不祥事が、消費者のイメージ低下や、株価の暴落を招くこともあります。企業経営に打撃を与える不正を防ぐ目的で今、ガバナンスが重視されています。

また、ガバナンスは、自社の社会的価値向上を目指したい企業にとっても重要な課題です。透明性の高い経営を行う企業は、社会や一般消費者から高い評価を受けます。またガバナンスの徹底は、従業員のエンゲージメントや仕事への満足度アップにもつながります。売上増や、従業員のモチベーション向上による企業の成長にも、ガバナンスは必要不可欠です。

中小企業でもガバナンスの策定は必要なのか?

ガバナンスは、知名度の高い大企業や上場企業だけでなく、中小企業や非上場企業にとっても重要です。その理由は、以下のとおりです。

非上場企業でも必要?中小企業のコーポレートガバナンスのメリットとは?

ガバナンスの強化は、企業経営にさまざまなメリットを与えます。たとえば、ガバナンスの強化によって、クリーンな経営を行う企業として社会や株主などのステークホルダーからの信頼を得ることができ、企業価値が向上します。金融機関からも高い評価を受けて融資が受けやすくなるなど、財務面でのメリットも期待できます。

また、従業員の会社への愛着が向上するため、社内の不正防止にもつながります。仕事に対するモチベーションが上がり、新しいビジネスや売上増につながるアイデアも活性化しやすくなるでしょう。社会的価値の高い企業として優秀な人材を呼び込めるという、雇用面のメリットもあります。従業員が力を発揮することで競争力が高まり、企業のさらなる成長がうながされます。

策定に時間がかかる?中小企業のコーポレートガバナンスのデメリットとは?

では、中業企業や非上場企業にとって、ガバナンスを強化することのデメリットはあるのでしょうか。

外部取締役や監査役を招いて監視体制を整えることは、人件費や、ガバナンス策定の手間がかかるという点はデメリットと言えるでしょう。また、株主などのステークホルダーの権利を重視する厳しいチェックの目が働くことで、コスト削減など、会社にとって有利な決断がしにくくなることもあります。ガバナンスに配慮した経営が求められるため、ビジネスチャンスに応じたスピーディな判断ができない可能性がある点にも、注意が必要です。

ガバナンス強化を成功させるには?中小企業でも明日からできるガバナンス強化の方法

では、中小企業がガバナンスを強化するために、具体的に何をすればよいのでしょうか。

まずは、第三者による監視体制を確保するため、社外取締役や監査役、諮問委員会などを設置します。外部から選任した第三者が経営陣をチェックできる体制を整えましょう。また、経営における意思決定と執行の権限を分けることも有効です。取締役が経営監督と執行の両方の権限を持つのではなく、業務執行の権限を持つ執行役員を定め、意思決定を行う取締役と役割を分離させることで、コーポレートガバナンスを強化できます。

また、ガバナンス強化の観点から社内規定を見直すことも有効です。不正を防ぐための行動規範を含めた規定を作成して、社内に周知・徹底させましょう。

中小企業が参考にしたいガバナンス強化の事例

将来の後継者計画も見据えた社長選任プロセスの透明化

大阪に本社を置く物流企業・株式会社ダイフクは、経営の透明性、経営監視・監督機能を高める制度の導入・拡充を実施。特に、社長・CEOの選任・後継者計画に関して先進的な取り組みを行っています。現社長は諮問委員会での検討などの客観性を重視したプロセスを経て選ばれ、社長就任直後には、前社長も取締役から退任。新任社長の主導で執行部のチームを作り、スピーディで明確なリーダーの交代を行っています。

また、社長選任プロセスの透明性をさらに強化するため諮問委員会の構成を社外者中心にするなど、将来の後継者計画も見据えたガバナンス強化にも取り組んでいます。外部からの指摘に対する迅速な開示など、ステークホルダーに真摯に向き合う姿勢や、社外の声を重視したグローバルな経営も、社外から高く評価されています。

経営監督・執行の分離と社外からの目で、経営の透明性を確保

製薬会社のエーザイ株式会社は、「患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する」ことを企業理念に掲げて定款に定め、ステークホルダーと共有。その実現のため、コーポレートガバナンスを強化しています。

その取り組みのひとつが、経営の監督と業務執行の分離です。取締役会は、法令範囲内での業務執行の意思決定権限を執行役に大幅に委任し、経営の監督に専念。また、取締役会の議長を社外取締役とし、執行役を兼任する取締役を、代表執行役CEOの1名のみとしています。また、取締役会はステークホルダーの視点から監督機能を発揮し、経営の公正性・透明性を確保。取締役と執行役がそれぞれ職務を執行し、責任を果たしながら信頼関係を構築、ともに企業価値を向上させて社会に貢献していくという仕組みで、コーポレートガバナンスを強化しています。

スピーディ・透明な意思決定を行う仕組みで企業価値を向上

ベビー用品メーカーのピジョン株式会社は、経営理念や社是をベースにした「Pigeon Way」に従って、企業価値向上のため、「従業員をはじめお客様・取引先・株主の皆様・地域社会等の立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」と定義づけたコーポレートガバナンスを強化。監査役会設置会社制度を採用し、監査役による厳格な適法性監査をコンプライアンス経営の基礎に据えています。取締役会の諮問機関として、社外取締役を委員長とし、委員の過半数を社外取締役および社外監査役とするガバナンス委員会を設置。コーポレートガバナンスに関するさまざまな課題を審議し、取締役会への提言を行っています。

また、CEOの選任・解任にあたり、「3事業年度連続でROE(自己資本利益率)が5%未満」という具体的な解任基準を定めるなど、先進的な取り組みを採用。取締役会では年2回は議題のないフリーディスカッションを行うなどして、社外役員の知見を引き出し経営に活かしています。

ガバナンスの徹底で信頼される会社になろう!

株主からの信頼、社会的評価、そして従業員の満足度など、さまざまな角度から企業の価値を高めるコーポレートガバナンス。「弊社はガバガバガバナンス」などと、ガバナンスの足りない状況を笑っている場合ではありません。改めてガバナンスの意義を知り、クリーンな経営を目指しませんか?

コンプライアンス、ステークホルダーなど、ガバナンスに関連する用語のほか、リスクアセスメント、バリューチェーンなど、今さら人に聞けない経営用語をこの機会におさらいしてみませんか? いざというときに意味が分からず困ることのないように、10の用語を解説する、中小企業応援サイト独自のお役立ち資料「聞くに聞けない経営用語集」を、ぜひご活用ください!

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