コラム

2022.11.18 06:00

CSRとは?中小企業ができる取り組みや導入メリットを解説

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CSRとは?1行で解説すると

CSRとは、企業が果たすべき社会的責任のこと。

CSRとは

CSRとは、企業が組織としての活動を行う上で担う社会に対する責任のことです。英語のCorporate Social Responsibilityの頭文字をとって、CSRと呼ばれます。

従業員や顧客、株主や取引先など、企業を取り巻くステークホルダーの利益や要求、また社会や環境へ貢献することを配慮して意思決定を行い、事業活動を行うことです。

CSRという言葉の使い方

CSRという言葉は主に、企業内で、社会的責任を考慮した活動や経営方針について検討する際に使われます。具体的には、「CSRの取り組み」「CSRを推進する」「CSRレポートをまとめて公表する」という形で用いられます。

CSRの考え方

CSRとは、企業は自社の利益追求や法令遵守だけでなく、人権を尊重した雇用やステークホルダーへの適切な対応、地域社会や環境への配慮を行う義務があるとする考え方です。では、企業活動について語る上で似た意味で使われる別の言葉と、どのような違いがあるのでしょうか。

サステナビリティとの違い

サステナビリティとは、持続可能性を意味します。企業が、社会や環境、経済に与える影響を考慮しながら事業活動を行うことで、地球や人間社会の持続を目指す考え方です。

CSRは企業が世の中に果たす責任を指すため、意味が異なります。ただ、社会の持続可能性を目指すサステナビリティに寄与することも、CSRのひとつです。CSR活動がサステナビリティの実現にもつながるという点で、ふたつの言葉は密接に関係しています。

コンプライアンスとの違い

コンプライアンスとは、企業が、法令や規則、社会的規範を守ることを意味します。CSRは、法令を守ることにとどまらず、企業が社会や人々の利益に貢献する責任であるという点で異なります。

その意味でコンプライアンスは、CSRを推進する上での大前提として企業が強化すべきものといえます。ただ最近は、CSRの倫理的活動を、コンプライアンスの一環ととらえる考え方もあります。

コンプライアンスについて詳しくはこちら

SDGsとの違い

SDGsとは、環境問題や貧困などの社会問題の解消のため、2015年に国連サミットで採択された2030年までに持続可能なよりよい世界を目指す国際目標です。

CSRは、企業が世の中に対する責任を果たすための社会貢献活動です。一方で、企業におけるSDGsは、ビジネスを通じて持続可能な社会の実現に寄与する取り組みのため、ふたつの概念は異なります。

ほかにもこの言葉の意味はご存知ですか?

CSRやコンプライアンス、ステークホルダーやガバナンスなどは、社会と企業の関わり方を考える上で重要な用語です。中小企業応援サイトが提供しているお役立ち資料「聞くに聞けない経営用語集」では、これらの言葉を含む、今の時代におさえておきたい10のビジネス用語を詳しく解説しています。経営者としてステップアップするためにも、ぜひご活用ください。

そのほか経営用語についてより詳しく知りたい方はこちら

ISO26000の「社会的責任に関する7つの原則」について

さまざまな国際基準の策定を行っているスイスの国際標準化機構=ISOは、組織の社会的責任に関する国際標準規格としてISO26000(社会的責任に関する規格)を作成し、2010年に発行しました。

ISO26000では次のように、企業や組織のCSRにおいて基本とすべき「社会的責任に関する7つの原則」を示しています。

①説明責任
組織の活動により外部に与える影響を説明する
②透明性
組織の意志決定や活動の透明性を保つ
③倫理的な行動
公平性や誠実であることなど倫理観に基づいて行動する
ステークホルダーの利害の尊重
様々なステークホルダーの利害を尊重して対応する
⑤法の支配の尊重
各国の法令を尊重し遵守する
⑥国際行動規範の尊重
法律だけでなく、国際的に通用している規範を尊重する
⑦人権の尊重
重要かつ普遍的である人権を尊重する

この原則は、すべてを満たすべき事項としてではなく、組織がそれぞれの特徴にあわせて必要な部分を活用して、社会的責任を果たすためのヒントとして定められています。

CSR活動とは?具体的に?

では、企業のCSR活動は、具体的にどのような取り組みを指すのでしょうか。

企業が取り組んでいるCSR活動のひとつが、環境や自然の保護活動です。工場から出る汚水や有害物質やCO2排出量の削減、また使用電力の再生由来エネルギーへの切り替えなど、環境に配慮した取り組みが行われています。

また、木を植える活動や森林の保護、海洋ゴミの清掃活動などの自然保全活動も、CSRのひとつです。プラスチック容器の削減や、空き容器や使い終わった商品の回収・再利用などの取り組みも、環境保全によって社会に貢献する活動です。

そのほか、文化財や建造物の保全活動といった文化支援も多くの企業で行われています。地元住民が参加できるイベントの開催による地域貢献、また女性の地位向上の取り組みも、CSRに含まれます。

中小企業がCSR活動に取り組むメリット

森林保護など、大企業での社会貢献活動が注目されがちですが、中小企業にとってもCSRに取り組むメリットはあります。その主な効果は、以下のとおりです。

コンプライアンスとして

CSR活動は、コンプライアンスの一環としても重視されています。コンプライアンスとは法令遵守を意味するため、社会貢献の責任であるCSRとは異なりますが、近年では、企業が顧客や株主、従業員などのステークホルダーの利益を尊重した行動や社会的倫理に従った活動を行うことも、コンプライアンスの一環とみなされています。

そのためCSR活動は、中小企業が、社会の倫理やルールに従う会社として社会から評価を得る上で、効果の高い施策です。

コンプライアンスについて詳しくはこちら

企業イメージとして

CSR活動は、従業員や顧客、株主や取引先からの信頼を獲得できるというメリットがあります。

企業への信頼感は、顧客が商品やサービスを選ぶ基準のひとつです。また、銀行からの資金調達や仕入先からの安定した資材供給のためにも、取引先からの信用は欠かせません。CSR活動による企業イメージ向上によって、売上アップや新規事業の成功など、会社が成長するきっかけを得られます。

社員教育として

CSR活動は、社員教育の一環としても効果的です。社会課題解決や地域に貢献している企業で働いていること、またその活動に参加していることが、従業員の高いモチベーションや、会社への満足度につながります。

また、CSR活動を通じて社員同士の交流が生まれ、組織が活性化するという利点もあります。社員同士のつながりが強化されるため、人材の定着率も向上します。また、CSRに積極的な企業として優秀な人材を呼び込めるという点も、CSR活動のメリットです。

中小企業が取り組むべきCSR活動の始め方

では、中小企業はどのようにCSR活動を進めればよいのでしょうか。その導入ステップを解説します。

方針を決めて計画を立てる

まずは自社のCSRの方針を策定し、具体的にどのように進めていくのか、計画を立てます。

ISO26000の「社会的責任に関する7つの原則」を参考にしながら、自社のCSR方針を決めましょう。
またCSR活動に関して、いつまでにどの段階まで実現させるという長期ビジョンや、数値目標を定めます。

取り組む課題を決める

方針を策定したら、自社の事業内容や地域社会などの状況に応じて、取り組むべき社会課題を検討します。社会的に大きな課題が、自社が貢献できる分野とは限りません。また、中小企業は大企業に比べて、社会活動に割ける資金にも制限があります。

自社の得意分野や実現可能性を考慮して、着実に取り組めて、効果をあげられる課題を選ぶことが重要です。また検討した社会課題の中で、取り組みを進める優先順位を決定しましょう。

ステークホルダーの価値を明確化

CSR活動の内容を具体的に定めたら、ステークホルダーにもたらす影響を検討します。CSRは、従業員や顧客、取引先、地域住民などの関係先の利益を生むことが求められます。そのため、ステークホルダーに価値を与えられる活動であるのか、検証する必要があります。

ステークホルダーの利益につながらない活動だと明らかになった場合は、改めて、社外へのメリットという観点から計画を練り直しましょう。

CSR活動を実践

自社が無理なく取り組めて、ステークホルダーや社会の利益が見込めるCSR活動の具体策を決定したら、CSR活動の運営体制を確保しましょう。長期的かつ全社をあげてCSRに取り組める体制を確立することが大切です。

活動内容や体制が固まったら、CSRの取り組みを実践します。事業の中で社会課題解決に寄与する活動のほか、環境保全活動や地域イベントなどの社会貢献活動にもすべての従業員が参加できるよう、実施体制を整えるのがポイントです。

活動を振り返り改善・報告

CSRの成功には、実施しながら常に活動の振り返りを行い、取り組みの内容や進め方を見直していくことが不可欠です。改善を重ねながら、より社会やステークホルダーの利益につながる活動を目指しましょう。

また、活動を終えたら、内容や結果を社内外に報告します。レポートにまとめ、ホームページ等、社外からいつでも閲覧できる環境に公開しましょう。

聞くに聞けない経営用語集

CSR活動で社会やステークホルダーに対して責任を果たすことが、長期的に見ると、自社の利益や成長につながります。その重要性を理解することが、会社が新しいステージへと踏み出すきっかけとなるでしょう。

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