コラム

2020.10.01 06:00

デジタルトランスフォーメーションは待ったなし!コロナ禍を企業が生き延びるには

第1回 坂口孝則の今伝えたい経済トレンド
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執筆者

坂口 孝則

未来調達研究所株式会社所属。経営コンサルタント。コスト削減・原価・仕入れ等の専門家として企業向けコンサルティングや講演を行い、日本テレビ「スッキリ」などテレビ・ラジオ等にも出演。著書は34冊を超える。近著に『未来の稼ぎ方 ビジネス年表2019-2038』(幻冬舎刊)など。

「まさに『3密取引』じゃないか!」企業が抱える基礎疾患

新型コロナウィルスは基礎疾患をもつ方々が重症化する。同じく、企業も大変な状況に陥るのは、企業基礎疾患ともいうべき病気に罹患している場合ではないだろうか。

私はコンサルタントして多くの企業を見たり、分析したりしている。馴染みの取引先だけに依存している企業は多い。仕入先も模索していない。取引集中の理由も答えられない。

まさに仲間クラスターのなかでのみ事業を営んでいる。根拠があればいいものの、先代の時代から関係が続き、上役たちの密室・密談・密約のなかで取引が決まってきた。これは3密取引ともいえる悪癖だ。

さらに対面主義やFAX、印鑑や紙資料からも脱皮できていない。ソーシャル・ディスタンスならぬデジタル・ディスタンス。

つまり、新型コロナウィルスは多くの問題を生み出したが、経営に関していえば、これまでの現状に決定打を突きつけたと考えたほうが近い。新たな生活様式ならぬ、新たな企業様式を実行するべきタイミングに来ている。

生き残る道は、デジタルを用いた事業刷新

これは当然であるものの、企業は売上高がなければ生きていけない。そこから生み出される粗利益がすべての源泉だからだ。ならば必然的に売上高の分散化が重要だ。

私は「現在の売上が半減したらどうしますか」と問うようにしている。多くの反応は「そんなバカな事態はあるはずがない」といったもの。

しかし現在、バカげた、ありえない事態が到来している。勝つための経営ではなく、負けないための経営を行い、予想が幸運にも外れたら、心配しすぎだったよねと笑うくらいがいい。

分散としては、リアルとデジタル、そして新規事業と土台事業とでリスクヘッジしなければならないと私は考えている。先日、クライアントから「中国で自動ドアの引き合いが増えて驚いている」と聞いた。理由はドアノブに触りたくないから。これからボタンを触りたくない、目線で操作したいニーズが高まる。その意味で、デジタルトランスフォーメーションは人と人との非接触技術とも言いかえられる。

この数年DXが叫ばれてきた。事業をデジタル化する。DXは物理的な制約をなくすことに特徴がある。DXなら地理的なしばりからも抜け出せる。

私の知人が経営する伝統的な自動部品メーカーは数年前より、自社工場での生産ノウハウをオンラインで提供するコンサルティング会社に生まれ変わった。顧客工場の設備稼働データが処理され問題がすぐわかる。いまでは海外企業にも遠隔から指導している。

このように価値の再定義ができる企業は生き残る。同社は製品の品質が優れていたが、それを生産するノウハウにも価値があった。手前味噌だが、私たちの会社も事業をDX化し、コンサルティングはオンラインでも対応できるようにした。教育事業もオンライン化で海外から受講してもらえた。

経営者こそ、変わり続ける覚悟を

経営者は社員に「これまでにない発想を」と語る。ただ以前の流儀にとらわれる会社は多い。

先日は「未知へのチャレンジを!」と語っていた企業から、「テレビ会議で役員と一般社員が並列で表示されるのは都合が悪い」とか「社員は立って説明しているように見せたい」といった冗談のような話を聞いた。経営者が変わらないと風土も変わらない。

そして、経営者しかできないのは、自社事業の根本的な見直しだ。不採算事業を担当する社員に質問しても「頑張ります」とは返ってきても、事業売却か撤退を提案されることはない。ただ、体力のある企業以外は資金繰りとして不採算事業を続ける余裕がない。

これからの経営は新規事業創出と土台事業の両輪でまわすべきだろう。土台事業は企業のアイデンティティとなるもので稼ぎ頭。その利益をふんだんに投入し、新規事業に投資する。

まさにAmazonがやっているようにEC(ネット通販)とAWS(クラウドサービス)で稼いで、それを無数の事業を立ち上げる。しばらくやって上手くいかなかったら潔く止める。上手くいったら、人材を投入する。

報道では企業が事業から撤退すると、まるで失敗談のように語られるが、あれはトライアンドエラーを繰り返していると考えるべきだ。そして、第二、第三の土台事業を作るように努める。

企業人とは環境変化のなかに好機を見つけ、社会の要望にマッチしたサービスを提供する人種のことだ。対応変化業といえる。変わり続けることを前提にしなければならない。

しかし、私は絶望をしていない。日本人は、妄想と空想のみが元となるマンガという文化を世界一発信している。妄想力と空想力が卓越した国民性なのだ。かつて私たちが夢想したものは、海外メーカーが具現化している。過去と断絶した新規事業を夢想すべき時期がやって来ている。

*Amazon Web Services、「Powered by Amazon Web Services」ロゴ、[およびかかる資料で使用されるその他のAWS商標]は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

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