コラム

2022.04.20 06:00

【2022年度】中小企業にオススメしたい補助金・助成金等│新枠増設、引き上げについても解説

【2022年度】中小企業にオススメしたい補助金・助成金等│新枠増設、引き上げについても解説
関連記事のお知らせを受け取る
問い合わせをする

この記事に書いてあること

新型コロナウイルス感染症の影響によりまだ厳しい状況にある中小企業。2022年度の支援施策では中小企業に対して、更なる拡充が見られます。

政府の中小企業支援施策としては、「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と地方を活性化する補助金。
世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」のもと、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者を支援する補助金など。

今回のコラムでは中小企業経営者が2022年度に注目したい補助金をご紹介します。

2022年度の雇用調整助成金の拡充の特例措置は6月末まで延長

雇用調整助成金の特例措置について、厚生労働省は新型コロナウイルスの影響が継続しているため、2022年6月末までの延長を表明しました。
雇用調整助成金は、企業が従業員の雇用を維持した場合に、休業手当などの一部が助成される制度で、コロナ禍の影響を受けた企業を対象に特例措置が設けられています。具体的には「まん延防止等重点措置」などの対象地域で、休業や営業時間の短縮などに協力した企業や、直近3か月の月平均の売り上げが3年前までのいずれかの年と比べて、30%以上減少した企業には一日当たりの上限額を1万5000円に、助成率を大企業と中小企業いずれも最大100%に引き上げています。それ以外の企業についても助成率を中小企業は最大90%、大企業は最大75%に引き上げています。特例措置の期限は3月末までとなっていましたが、厚生労働省は、新型コロナウイルスの影響が続いているとして、2022年6月末まで延長するとしたものです。詳しくは以下のHPをご参照ください。
令和4年4月以降の雇用調整助成金の特例措置等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/r404cohotokurei_00001.html

雇用調整助成金等(括弧書きの助成率は解雇等を行わない場合)(※1)

2020年3月 2020年4~6月
中小企業 原則的な特例措置 4/5 (9/10)
9,000円
4/5 (9/10)
9,000円
地域特例(※2)
業況特例(※3)
4/5 (10/10)
15,000円
4/5 (10/10)
15,000円
大企業
原則的な特例措置 2/3 (3/4)
9,000円
2/3 (3/4)
9,000円
地域特例(※2) 4/5 (10/10) 4/5 (10/10)
業況特例(※3) 15,000 15,000

(※1)原則的な特例措置、地域・業況特例のいずれについても、2022年1月8日以降の解雇等の有無で適用する助成率を判断。
(※2)緊急事態措置を実施すべき区域、まん延防止等重点措置を実施すべき区域(以下「重点措置 区域」という)において、知事による、新型インフルエンザ等対策特別措置法第18条に規定する基本的対処方針に沿った要請を受けて同法施行令第11条に定める施設における営業時間 の短縮等に協力する事業主。 ※重点措置区域については、知事が定める区域・業態に係る事業主が対象。 ※各区域における緊急事態措置又は重点措置の実施期間の末日の属する月の翌月末まで適用。
(※3)生産指標が最近3か月の月平均で前年、前々年又は3年前同期比30%以上減少の全国の事 業主。 なお、2021年(令和3年)12月までに業況の確認を行っている事業主は、2022年(令和4年)1月1日以降に判定基礎期間の初日を迎えるものについては、その段階で業況を再確認する。また、2020年(令和4年)4月以 降は毎月業況を確認する。

ものづくり補助金:補助率・補助上限額の優遇枠の新設

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称ものづくり補助金)は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性を向上させるための設備投資等を支援する補助金です。
今回の第10次締切分の申請からは、業況の厳しい事業者や、デジタル・グリーン分野で生産性向上に取り組む事業者に対して、通常枠とは別に、[回復型賃上げ・雇用拡大枠] [デジタル枠] [グリーン枠]を新たに設けられ、補助率や補助上限額の優遇枠が設定されました。 
詳しくは以下のHPをご覧ください。
ものづくり補助金総合サイト
https://portal.monodukuri-hojo.jp/

補助上限 補助率
一般型 通常枠 750万円~1,250万円(※) 1/2
小規模事業者等 2/3
回復型賃上げ・雇用拡大枠 2/3
デジタル枠 2/3
グリーン枠 1,000万円~2,000万円(※) 2/3
グローバル展開型 3,000万円 1/2

(※)従業員規模により補助上限の金額が異なります。

IT導入補助金:PCやレジも対象に!補助率アップとさらに拡充

インボイス制度導入への対応も見据えつつ、企業間取引のデジタル化を強力に推進するため、サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)が、令和三年度補正予算で拡充されました。
一つ目は、会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象については、補助率が引き上げられました。
補助額 補助率
50万円以下 通常の1/2から3/4に引き上げ
50万円超~350万円 通常の1/2から2/3に引き上げ
二つ目は、クラウド利用料の補助が、従来は1年分でしたが、今回から2年分まとめて補助されることになりました。昨今のITツールがクラウド化していることを踏まえての拡充措置です。
三つめは、PC・タブレット、レジ・券売機等の購入を補助対象に追加されました。PC・タブレットについては、補助上限額10万円、補助率1/2に、レジ・券売機等については、補助上限額20万円、補助率1/2となりました。
詳しくは以下のPDFをご覧ください。
サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)令和3年度補正予算の概要
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2021/hosei/IT.pdf

小規模事業者持続化補助金:新たな変化への対応で補助金200万円に増額!


小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓(例:HP作成、広告掲載など)に対する補助金です。今回、新たに、賃上げや事業規模の拡大(成長・分配強化枠)や創業や後継ぎ候補者の新たな取組(新陳代謝枠)、インボイス発⾏事業者への転換(インボイス枠)といった環境変化に関する取組に対して、補助金が拡充されます。

申請類型 補助上限額 補助率
通常枠 50万円 2/3(※成長・分配強化枠の一部の類型において、赤字事業者は3/4)
成長・分配強化枠 200万円
新陳代謝枠 200万円
インボイス枠 100万円

詳しくは以下のHPをご覧ください。
小規模事業者持続化補助金
https://r3.jizokukahojokin.info/

事業復活支援金:中小企業から個人事業主まで対象の給付金が新設

事業復活支援金は、新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受ける中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主に対して、地域・業種を限定しない形で、2023年3月までの見通しを立てられるよう事業規模に応じた給付金です。
具体的な給付対象者は、新型コロナ禍の影響で2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上が50%以下に落ち込んだ事業者(中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主)です。
上限額は、売上高に応じて、三段階に設定(売上30~50%減少の事業者に対しては上限額を6割として給付)されています。
なお、売上対象月は、2021年11月から2022年3月までのいずれかの売上月を選びます。そのうえで、2018年11月から2019年3月まで、2019年11月から2020年3月まで又は2020年11月から 2021年3月までの期間のうち、申請者が選択するいずれかの期間で比較します。

売上減少率 個人事業主 法人
年間売上高 1億円以下 年間売上高 1億円超~ 5億円以下 年間売上高 5億円超
▲50%以上 50万円 100万円 150万円 250万円
▲30~ 50% 30万円 60万円 90万円 150万円

詳しくは事業復活支援金のHP(https://jigyou-fukkatsu.go.jp/)をご参照下さい。

事業再構築補助金:拡充した補助金の活用で事業再構築を力強く!

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、中小企業等が、新分野展開や業態転換などの事業再構築を通じて、コロナ禍前のビジネスモデルから転換する中小企業の取組を支援する補助金です。
今回、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者のへの重点的支援を継続しつつ、売上高減少要件の緩和などを⾏われることになりました。また、 特に、ガソリン車向け部品から電気自動車等向け部品製造への事業転換のように、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を対象に、従来よりも補助上限額を引き上げ、売上高減少要件を撤廃した新たな申請類型を創設されることになりました。ポストコロナ社会を見据えた未来社会を切り拓くための取組みを行う事業者様にとっては、大きな力になる補助金です。
主な申請要件は、2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ禍以前と比較して10%以上減少していること(グリーン成長枠を除く)となります。
 詳しくは、事業再構築補助金のHP(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/)をご参照下さい。

申請類型 補助上限額 (※1) 補助率
最低賃金枠
(最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい事業者に対する支援)
500万円、1,000万円、1,500万円 (※2) 中小3/4
中堅2/3
回復・再生応援枠
(引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者に対する支援)
通常枠
(事業再構築に取り組む事業者に対する支援)
2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円 (※2) 中小2/3
中堅1/2 (※3)
大規模賃金引上枠
(多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる事業者に対する支援)
1億円
グリーン成長枠
(研究開発・技術開発又は人材育成を⾏いながら、 グリーン成長戦略「実⾏計画」14分野の課題の解 決に資する取組を⾏う事業者に対する支援)
中小1億円、
中堅1.5億円
中小1/2、
中堅1/3

(※1)補助下限額は100万円
(※2)従業員規模により異なる
(※3) 6,000万円超は1/2(中小のみ)4,000万円超は1/3(中堅のみ)

事業承継・引継ぎ補助金:今年度も事業承継に活用できる補助金

政府は、中小企業の生産性向上や円滑な事業承継・引継ぎを一層強力に推進する方針を打ち出し、事業承継・引き継ぎ補助金より、2022年度(令和4年度)末までに約1,500者の中小企業者等の事業承継・事業引継ぎを支援することを目標としております。
補助金の対象は、事業承継・引継ぎ後の設備投資等の新たな取組や、事業引継ぎ時の専門家活用費用、また、事業承継・引継ぎに関連する廃業費用等です。
補助金上限は150万円~600万円、補助率は1/2~2/3です。
事業承継を機に新たな取り組みを計画されている後継者の方には活用の価値のある補助金となります。

まとめ

今回、2022年度に注目したい中小企業支援施策と補助金をご説明いたしました。新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えようとする中小企業の皆さんの活動を支援するため、今後も各地方自治体の補助金や産業施策も打ち出されてくると考えられます。どの補助金や助成金が最適なのかなどお悩みになられる方もいらっしゃるかと思います。
リコージャパン株式会社様の中小企業応援サイトでは、補助金を活用したシステムの導入など、中小企業を中心にITによる経営革新の事例を記事を掲載しており、中小企業経営者の皆様が持つ悩みに応えるコラム(事業継承補助金、中小企業支援施策)などわかりやすく説明しております。メルマガの登録を頂ければ、最新情報の更新もできますので、ぜひご活用ください!

小島 洋介(こじま ようすけ)

執筆者

小島 洋介(こじま ようすけ))

中小企業診断士・東京都中小企業診断士協会 城南支部 国際部 副部長
商学修士課程を修了以降、メーカーの海外営業に従事。中小企業診断士登録後は、きらりと輝く知的資産を生かした事業計画の立案支援を実施。創業・海外進出・補助金申請を力強くご支援中。

関連記事のお知らせを受け取る
問い合わせをする