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コラム
2022.01.11 06:00
あなたの会社にもきっとある。SDGsの芽を探して育てる具体的な方法
この記事に書いてあること
SDGsといわれても、 何から始めていいかわからない…そんな方のための中小企業SDGs発掘ガイド
SDGsとは何か、中小企業が取り組むメリットは何かという解説に加え、活動のヒントを探すワークシートも用意。SDGsの芽を探し、取り組みの計画から広報メッセージまで検討できます。
SDGsは、地球環境を維持しながら、すべての国々の社会や経済が将来にわたって持続可能な発展を続けるために、2030年までに達成を目指す17の目標から成ります。
地球環境や世界のすべての国々といった言葉を聞くと、「貢献はしたいけれど、中小企業にできることがあるのだろうか?」と思ってしまうかもしれません。
しかし、実は多くの中小企業で取り組んでいる事業活動の中に、17の目標にマッチするSDGsの「芽」が、すでに宿っていることはよくあります。それを見つけ出して、育てるだけで、立派なSDGs活動に結びつくことが多いのです。
そんな「SDGsの芽」の探し方や育て方について見ていきましょう。
企業理念から探す→御社の企業理念やビジョンの中に、SDGsの芽が隠れていませんか?
どんな会社でも「企業理念」は掲げているでしょう。「ビジョン、ミッション、バリュー」と階層化して示したり、従業員が守るべき規範を「クレド」として示したりしている会社もあります。また最近では企業の社会の中での存在意義を示す「パーパス」という言葉も普及しはじめました。
これらの文言の中に、SDGsの芽が隠れていることはよくあります。
経営理念を読み直してみよう
自社の経営理念やビジョン・ミッション・バリューなどを見直して、そこに、事業活動を通じた地域社会への貢献が含まれていれば、それは立派なSDGsの芽です。
たとえば、人材派遣会社が、「派遣社員の成長」という理念を掲げていたとしたら、それは、SDGs目標8[経済成長と雇用]の「働きがいも経済成長も」と合致するでしょう。
あるいは建設会社が「住人のしあわせを実現する建築」を掲げていたとしたら、それはSDGs目標11[持続可能な都市]の「住み続けられるまちづくりを」に結びつく「芽」となるでしょう。
まずは自社の企業理念などを確認して、これはSDGsに結びつきそうだなというものを探してみるといいでしょう。
「三方よし」とSDGs
もともと、日本では古くから近江商人が掲げていたとされる有名な経営理念「三方よし」を引用、応用して、自社の理念に含めている会社が多くあります。
「三方よし」とは「売り手よし・買い手よし・世間よし」で、自分の利益だけを考えるのではなく、取引相手の利益も考え、さらには世間(地域社会)の繁栄も考えて、はじめて長く商売を続けられるという考え方です。
自社と取引相手のことだけではなく、世間(地域社会)の繁栄も含めて考えている経営理念であるならば、それは現代のSDGsに通じる理念だといえるでしょう。
事業内容から探す→普段の仕事の中にSDGsの芽がないか逆引きで考えてみましょう。
すでにおこなっている事業や、その中で取り組んでいる個別の業務に、SDGsの17目標と直接、間接に結びつくものがないかを逆引き的に考えてみましょう。
いくつかの例を挙げてみます。
福祉介護業
高齢者、障がい者など、日常生活への支援が必要な人に対して、さまざまなサービスを提供する業務は、SDGs目標3[保健]の「すべての人に健康と福祉を」にぴったり当てはまります。
運輸・倉庫業
SDGs目標9[インフラ、産業化、イノベーション]は「産業と技術革新の基盤を作ろう」となっています。同目標が掲げる強靭(レジリエント)なインフラ構築を支えるのが、物流・倉庫業の直接的な業務です。
建築業(土木)
SDGs目標11[持続可能な都市]を実現するためには、都市計画から考え直さなければなりません。それ自体は行政や大手ゼネコンが立案するとしても、その中で中小の建築・土木業者が果たす役割も欠かせません。
製造業(化学)
たとえば、目標14[海洋資源]は「海の豊かさを守ろう」とあるので、一見すると、水産業や漁業とのかかわりが深いように思えます。しかし、プラスチックゴミによる海洋汚染を減らすことも重要な要素でしょう。そこで、自然分解しやすい新素材を開発することなども、この目標には直接関係してきます。
製造業(食料品)・サービス業
適正な食材管理・調達、弁当などを製造・販売している店舗であれば、過去データを用いた販売数量の予測などにより、廃棄食材を減らすことが可能になります。廃棄食材の減少は、SDGs目標12[持続可能な消費と生産]に直接対応しています。
このように、事業全体が直接SDGsと結びつく取り組みになっていることもあれば、事業内の一業務にそれが潜んでいることもあるでしょう。そのようなものが発見できれば、あとはそれを「SDGsへの取り組み」として定義し直して、言葉でまとめ直すとともに、社内外にわかりやすく示せばいいのです。
会社の取り組みの中で、実はすでにSDGsを始めていませんか?
会社では、製造や販売といった直接の業務以外にも、さまざまな活動をしています。それらの中にも、SDGs目標と結びつくものがないかを探してみましょう。
社員へのキャリア教育や外部の見学の受け入れなど
多くの企業では、社員へのキャリア教育や外部の見学の受け入れなど、さまざまな教育活動をおこなっているでしょう。また、社員の業務能力や生産性を向上させるために、社外でのセミナー参加代金や書籍などの購入代金を補助している企業もあります。これらが、SDGs目標4[教育]の「質の高い教育をみんなに」に結びつくことはいうまでもありません。
また、地場企業の中には、地域の学校と連携して学生・生徒の社会科見学を受け入れているところもあります。さらには、地元学校への寄付やボランティア支援などをおこなっている場合もあるでしょう。これらも、SDGs目標4の実践だといえるでしょう。
女性の積極的な研修・雇用
日本がジェンダーギャップ指数において、先進国の中で最下位であり、女性の社会進出や活用において特に遅れた社会であることは有名です。しかし、経営者が比較的若い中小企業や、社歴が浅いスタートアップ企業などでは、そのような古い日本企業の慣行にとらわれず、性別に関係なく管理職に登用したり、あるいは、LGBTQ(エルジービーティーキュー)と呼ばれる人たちを積極的に採用したりする企業も増えています。
これらはSDGs目標5[ジェンダー]の「ジェンダー平等を実現しよう」に合致します。また、女性が働きやすいように、育児休暇を法定以上に充実させたり、男性の育児休暇取得を推奨する、あるいは子連れ出社を認めたり、社内に保育施設を設けるなどの施策も、この目標に合致するでしょう。
ソーラーパネルの設置、EVカーの利用、自転車通勤推奨
工場を運営する製造業などでは、エネルギーコスト削減のために、ソーラーパネルを設置することは珍しくありません。また、発電施設は持たなくてもグリーン電力を購入するといった形で脱炭素を支援している場合もあるでしょう。
さらに、営業車をEVカーにする、節電装置の活用、自転車通勤の推奨などは、すべてSDGs目標7[エネルギー]のエネルギーをみんなに、そしてクリーンに」をかなえるものです。
労働時間短縮、パワハラ等の根絶、メンタルヘルスサポートの実施
特にコロナ禍以降では、うつ病などメンタルを病む人が増加しています。職場の健康管理においても、身体的な健康管理とともに、メンタル面での健康管理の重要性が高まっています。
そのため、労働時間の短縮や、パワハラ、セクハラなどの根絶、また、適切なメンタルヘルスサポートの実施などは、すべての企業に求められる施策です。これらの施策は、すべてSDGs目標3[保健]の「すべての人に健康と福祉を」に結びつきます。
いくつか例を挙げましたが、これらの施策に力を入れて実施している会社にどのようなイメージを持たれるでしょうか?一般的には、いわゆるホワイト企業として、「働きやすそうな、いい会社だな」と思われるのではないでしょうか?
そのような会社であることを、SDGsともリンクさせながら適切にアピールすることは、会社のブランディングとしても、とても有効な方法です。
それは、販売や営業面での好影響はもちろん、人材の採用・定着の面でも良い影響を与えることでしょう。つまり、SDGsの「芽」を見つけ育てることは、持続可能な社会づくりに役立つだけではなく、会社の将来にとっても良い影響をもたらすものなのです。
SDGsの芽を見つけて、育てるために必要なこと
ここまで説明してきたような、SDGsの「芽」なら「うちの社内にもありそうだな」と感じられたのではないでしょうか?
では、SDGsの「芽」を見つけて育てていくためのプロセスについて説明します。プロセス全体の進行の目安は、次のようなものです。
(1)SDGsの理解
なにはともあれ、SDGsとはなんなのかを社内全体で理解することが最初です。SDGsは、私たちの社会と地球環境を持続可能なものにするために、ひとりひとり、一社一社ができるところから取り組むべき目標であることを、社内で共有します。
(2)自社の理解
自社の中心業務あるいは中心業務以外の活動で、SDGsの17目標に関連しそうな部分=SDGsの「芽」がないかを確認します。
(3)課題設定
SDGsの「芽」を、SDGs目標を達成するような大きな取り組みに育てるために、自社においてはどんな課題があるのかを確認します。たとえば、廃棄物が多いという問題があれば、それを削減することを課題として設定する、管理職のジェンダーバランスに問題があれば、女性社員をどうエンパワーメントするかを課題として設定する、などです。
(4)経営観点で確認
SDGsへの取り組みは、事業と切り離された寄付やボランティア活動ではなく、事業の一部としておこなわれることがポイントです。そのため、その取り組みによって、会社の成長や業績に対してどのようなインパクトがあるのかを、経営的な観点から確認します。また達成目標を設定します。
(5)定期的に確認
SDGs課題への取り組みが開始されたあとも、定期的にその進捗や内容を確認し、問題があれば改善を図ります。
(6)共有
進めている取り組み、達成された成果などについて、社内・社外に共有します。
もっとも大切なポイントは、社内全体で取り組みの意義を理解・共有して進めることです。そうすれば、思わぬところから、こんなこともできるのではないか、というアイディアも出てきます。
未来志向でポジティブに取り組むことがポイント
SDGsは持続的な社会のために必要な取り組みです。しかし、それを節約や経費削減などと同様に「制約を課せられること」「嫌々ながらやらなければならないもの」と捉えてしてしまうと、社内外での共感も得られないし、なかなか進展もしないでしょう。
そうではなくて、会社が社会に提供できる価値を増やし、未来に収益を上げ続けるための源泉となる活動であり、ひいては未来の社会をより豊かにさせていくはずだと、未来志向のポジティブな気持ちで取り組むことがポイントです。
まとめ
ゼロから新しいSDGs活動を始めようとするのは大変ですが、もともと社内にあった「芽」を見つけ出して、それを育てるのであれば、取り組みやすいと思いませんか?
本記事を読まれた皆さまは、ぜひ社内にSDGsの「芽」がないか、探してみてください。
中小企業のためのSDGsガイドブックをダウンロード資料としてご用意しました。ワークシートを埋めていくことで、SDGsの芽を見つけ、具体的な計画に落とし込むことができます。ぜひ無料でダウンロードし、SDGsの取り組みに活用ください。
記事執筆
中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
全国の経営者の方々に向けて、経営のお役立ち情報を発信するメディアサイト。ICT導入事例やコラム、お役立ち資料など「明日から実践できる経営に役立つヒント」をお届けします。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。
SDGsといわれても、 何から始めていいかわからない…そんな方のための中小企業SDGs発掘ガイド
SDGsとは何か、中小企業が取り組むメリットは何かという解説に加え、活動のヒントを探すワークシートも用意。SDGsの芽を探し、取り組みの計画から広報メッセージまで検討できます。