コラム

2021.06.29 06:00

【2021年度版】親族内?それとも親族外?中小企業の事業承継をサポートする支援策を紹介

支援策でお悩み解決!親族内?それとも親族外?中小企業の事業承継をサポートする支援策を紹介
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会社の状況・お悩み別!事業承継におすすめの支援策フローチャート

【2021年度版】会社の状況・お悩み別!事業承継におすすめの支援策フローチャート

事業承継問題に取り組むための、様々な補助金や支援策をまとめてご紹介。各種支援策の検討順序を確認するフローチャートもご用意しました。

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※本記事の内容は、記事作成日(2021年6月)時点の情報に基づいています。最新の情報は各施策の公式サイトなどをご参照ください。

進む中小企業経営者の高齢化と後継者不在

現在、日本企業の約3割にあたる127万者の企業の後継者が不足しているとされており、事業承継問題が深刻化しています。

その一方で、日本企業全体で70歳以上の経営者の割合は23.8%と、約4人に1人の社長が70歳以上。経営者の高齢化が非常に進んでいることが見て取れます。

これには、後継者不在のために「辞めたくても辞められない」という理由もあるのです。しかし高齢社長ががんばっている会社でも、後継者が見つからなければ、いずれは廃業をせざるをえません。

経済産業省は、後継者問題が解決せず中小企業の廃業が続く場合、2025年頃までに最大約650万人の雇用と約22兆円分のGDP(国内総生産)が失われると試算しています。

この日本経済全体への大きなマイナスインパクトを避けるために、国を挙げてさまざまな事業承継支援策が多数実施されています。

本記事では、それらの中から、下記について紹介します。

経営承継円滑化法に基づく総合的支援

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助事業(事業承継トライアル)

事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策

経営承継借換関連保証

経営承継円滑化法に基づく総合的支援

経営承継円滑化法は中小企業の事業承継を総合的に支援する目的で2008年に施行された法律で、次の3つの政策が盛り込まれています。

(1)事業承継税制

非上場中小企業の株式について贈与税・相続税の納税を猶予するもの

(2)遺留分に関する民法の特例

後継者に生前贈与株式を遺留分から除外、または価格を固定するもの

(3)金融支援

日本政策金融公庫などによる低利融資と、信用保証協会による特別保証枠の設定

事業承継税制と遺留分特例は経営承継円滑化法の目玉とも言える政策ですが、内容が複雑でわかりにくい面があるため、以下でくわしく紹介します。

(1)事業承継税制

一般的に、業績のよい会社は、その株式の株価が高騰します。すると、自社株式を贈与または相続で引き継いだ後継者には、相応の贈与税、相続税が課されます。

ところが、非上場企業の株式は、現実的には売却が不可能なので、いくら評価額が高い株式でも現金化できません。現金化はできないのに贈与税、相続税は高い、この自社株式の特徴が事業承継の大きなネックになっていました。

そこで、従業員の雇用維持など一定条件のもと、後継者が先代経営者から贈与または相続により取得した自社株式等に課される贈与税・相続税について、納税を猶予される措置が、この事業承継税制です。

2018年4月からは、10年間限定の特例措置として適用要件が緩和され、また対象が拡大されるなどして、それ以前より使いやすくなっています。

なお、事業承継税制には、個人事業者を対象とした「個人版」もあります。個人は株式を発行しませんが、事業用土地、建物などの贈与、相続に際して事業承継税制を適用することができます。

●事業承継税制のメリット

  • 会社の後継者が受け継いだ自社株式にかかわる贈与税、相続税の納税が猶予される。

●事業承継税制のデメリット、注意点

  • 制度が適用後、5年間は後継者が代表者として経営を続ける、株式の保有を続ける、原則として従業員の8割の雇用を続ける、などの条件がある。

  • 制度が適用後、5年間は上記の条件が守られていることを毎年報告しなければならない。また、5年経過後は3年間に1回報告書を提出しなければならない。

  • 報告をしなかったり、条件が守られていなかったりした場合、猶予されていた贈与税、相続税を納めなければならない。

●事業承継税制(特例措置)を受けるための手続き

事業承継税制の適用を受けるには都道府県知事の認定が必要です。特例措置の場合、事前に事業承継の計画(特例承継計画)を策定、提出します。提出できる期間は、2023年3月31日までです。

なお、計画策定にあたっては、国に認定された士業事務所・金融機関などの専門機関(認定支援機関)の指導・助言を受けることが義務づけられています。

(2)遺留分に関する民法の特例

先代経営者から後継者が自社株の贈与を受けた場合、一定の条件のもとで、他の相続人がその自社株に対する「遺留分」を主張できなくなる民法の特例です。

●遺留分とは?

法定相続人(配偶者や子など)には、遺言の内容などにかかわらず、相続財産の一定割合を必ず受け取る権利があります。これを「遺留分(いりゅうぶん)」といいます。

たとえば、相続人が子3人である場合に、遺言で「長男にすべての財産を相続させる」と指定されていたとしても、残りの2人の子は一定額を相続できる権利があるということです。

また、遺留分は原則として生前に贈与された財産にも適用されます。たとえば、親が死亡前に長男に全財産を贈与していたとしても、残りの2人の子はその贈与財産のうち、一定額を相続できる権利を主張できます。

●事業承継における遺留分特例

子が3人いる経営者が、長男を後継者として事業承継をするため、自社株式をすべて長男に生前贈与したとします。これに対して、相続後、長男以外の2人の子から遺留分を請求されると、安定した経営ができなくなります。

そこで一定の要件のもと、遺留分の例外を規定したのが、遺留分に関する民法の特例です。本特例には「除外合意」と「固定合意」の2種類があります。

除外合意:後継者に贈与した自社株式の価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことの合意です。

固定合意:後継者に贈与した自社株式の価額について、遺留分を算定するための財産の価額に参入すべき価額を合意時点における価額に固定することの合意です。

これは、たとえば承継時点で自社株式の相続税評価額が1億円だったとして、その後、相続のときに自社株式が2億円に値上がりしていたとしても、その値上がり分は承継した後継者のお陰だから、値上がり分だけは除外して考えよう、ということです。

なお、本特例は、上記の例の場合は後継者(長男)と、遺留分を持つ他の推定相続人(長男以外の2人)とが、協議の上一定の合意をし、所要の手続き(経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可)を経て実行されます。

自社株式の保有状況を確認しておくことは重要

経営承継円滑化法関連だけではなく、法人の事業承継全般に言えることとして、自社株式の保有状況、つまりだれが株主で、どれだけ株式を保有しているかを把握しておくことは、非常に重要です。これは法人税申告書の別表に書かれているので、必ず確認しておいてください。

社歴の長い企業は意外と他者に株式が渡っていることがあります。もし後継者に株式が集中できないと、経営権の基盤が脆弱になります。分散した株式を集中させることにも時間がかかりますので、早めに確認し、必要に応じた対策を講じることをお勧めします。

事業承継・引継ぎ補助金

2020年度までに設けられていた「事業承継補助金」と「経営資源引継ぎ補助金」が一体化して、2021年度から新たに「事業承継・引継ぎ補助金」となりました。

事業承継を契機として、新しい取り組み等を行う中小企業等および、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業等に、それらの取り組みなどにかかる費用の一部が補助される制度となっています。

事業承継・引継ぎ補助金は、大きく分けると「経営革新」と「専門家活用」の2種類が用意されています。さらに、前者は3類型、後者は2類型の細目が用意されているので、合計では2種類5類型に分かれています。

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)

「経営革新」には、以下の3類型が用意されています。3類型で異なるのは、支援の対象者です。各類型が支援の対象とする人の概要は以下の通りです。

【Ⅰ型】創業支援型

廃業を予定している者などから有機的一体としての経営資源を引き継いで創業して間もない中小企業・小規模事業者であり、創業を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組む、などの要件を満たす者

【Ⅱ型】経営者交代型

事業承継を行う中小企業者などであり、事業承継を契機として、経営革新等に取り組む、などの要件を満たす者

【Ⅲ型】M&A型

事業再編等を契機として、事業再編・事業統合等を契機として、経営革新等に取り組む、などの要件を満たす者

共通事項

2017年4月1日から補助事業期間終了日(最長2021年12月31日)までの間に、事業の引継ぎを行った、または行う予定の中小企業者等(個人事業者を含む)。

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)

補助対象事業

以下のいずれかの内容を伴う、経営革新等に係る取り組みに対する費用など(廃業費用を含む)
新商品の開発又は生産
新役務の開発又は提供
商品の新たな生産又は販売の方式の導入
役務の新たな提供の方式の導入
事業転換による新分野への進出
上記によらず、その他の新たな事業活動による販路拡大や新市場開拓、生産性向上等、事業の活性化につながる取組等

補助対象経費

事業費(人件費、店舗等借入費、設備費、原材料費、など)
廃業費(廃業登記費、在庫処分費、解体費など)

補助金額

100万円から400万円(Ⅰ型・Ⅱ型)、または800万円(Ⅲ型)まで(廃業等にかかる費用が発生する場合に200万円までの上乗せが可能)。

補助率

2/3

事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)

専門家活用とは、事業承継などを行うにあたって、M&A仲介会社などの専門家を利用する場合に、その費用の一部が補助されるものです。以下の2類型が用意されています。

【Ⅰ型】買い手支援型

事業再編・事業統合等に伴う経営資源の引継ぎを行う予定の中小企業者等であり、経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれること。地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること。

【Ⅱ型】売り手支援型

事業再編・事業統合等に伴い自社が有する経営資源を譲り渡す予定の中小企業者等であり、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合により、これらが第三者により継続されることが見込まれること。

事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)

補助対象事業

M&Aで事業再編や事業統合をする取組(公序良俗に反する事業などは不可)。

補助対象経費

【Ⅰ型】謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、など
【Ⅱ型】謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、廃業費用、など

補助金額

50万円から400万円(※)まで。
(廃業等にかかる費用が発生する場合に200万円までの上乗せが可能)。
(※)事業期間内にクロージングしなかった場合は減額あり。

補助率

2/3

▼スケジュール(1次公募)

・公募期間:2021年6月11日(金)~2021年7月12日(月)18:00まで

・交付決定日:2021年8月中旬(予定)

・事業実施期間:交付決定日~2021年12月31日(金)まで

なお、2021年7月中旬~2021年8月中旬に、2次公募が予定されています。

事業承継・引継ぎ補助事業(事業承継トライアル)

子などの親族に後継者がいない中小企業が、円滑な事業承継を実現することを目的として、第三者を後継者候補とした事業承継(「第三者承継」)に向けた準備などを行う際の、事業承継計画の策定および第三者となる後継者候補の確保、後継者候補に対する後継者教育の実践を支援する補助金です。

▼事業概要

第三者承継に向けて、以下のような取組をする後継者不在の中小企業を支援します。

①事業承継計画の策定

②後継者候補の選定

③後継者教育の受講(執行管理団体が提供する後継者教育プログラム)

④執行管理団体に対する報告・情報共有の実施

▼補助金額

事業承継計画の策定支援を受ける際の経費補助:100万円以内(補助率2/3以内)

後継者マッチングに伴う手数料等にかかる経費補助:250万円以内(補助率2/3以内)

▼スケジュール

公募期間:2021年6月7日(月)~2021年7月15日(木)

補助金の交付決定:2021 年9月頃

事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策

これまで、事業承継の足かせの1つとなっていたのが、会社が金融機関から借入をする際の経営者の連帯債務保証、いわゆる経営者保証でした。これまで、日本の金融機関は中小企業が借入をする際、経営者に連帯保証を求めていました。

そして、事業承継で経営者が交代する際には、新経営者に連帯保証を付け替えることが求められます。

しかし、とくに従業員への承継をしようとする場合など、多額の連帯債務保証を引き継ぐことを銀行から求められると、それがハードルになって、承継が実現しないことがあります。

こうした実態を改善するため、まず平成25年に中小企業庁・金融庁の後押しで「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、事業者への融資の際の経営者保証を不要とする方向性が示されました。

さらに、令和2年からは「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」が策定され、事業承継時に後継者の経営者保証を可能な限り解除していくため、金融機関と中小企業者の双方の取組を促す、総合的な対策が実施されています。

事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策の中身

(1)政府関係機関が関わる融資の無保証化拡大

商工中金では、「経営者保証ガイドライン」の徹底により、一定の条件を満たす企業に対して、経営者保証を原則必要なしにしています。

(2)「事業承継特別保証」制度の創設

事業承継時に一定の要件に該当する場合、経営者保証なしで信用保証協会からの保証を受けられる制度です。経営者保証がついている既存債務の借り換えにも利用できます。なお、保証枠は最大2.8億円です。

(3)「経営者保証に関するガイドライン」に、事業承継のための特則を設定。

経営承継借換関連保証

経営者保証がついている借入金を、経営者保証を不要とする借入金に借換える場合に、信用保証協会が経営者保証を不要とする保証を行う制度です。

▼対象者

一定の財務要件を満たす中小企業で、現経営者(代表者)が金融機関からの借入に対して経営者保証を提供していて、そのことが事業承継の支障になっていると、都道府県の認定を受けた者。

財務要件は、資産超過であること、EBITDA有利子負債倍率が10倍以内であること、など。

▼制度内容

保証限度額:無担保8000万円、最大2億8000万円(事業承継特別保証とは別枠)

保証料率:0.45%~1.90%、または0.20%~1.15%(経営者保証コーディネーターの確認を受けた場合)

保証割合:責任共有保証(80%)ただし特別小口保険の場合は100%

まとめ

日本には知名度は低くても優れた技術を持っていたり、質の高いサービスを提供したりできる中小企業がたくさんあります。

せっかく優れた内容の事業を行っている会社なのに、それを引き継ぐ後継者がいないばかりに消えていってしまうのは、国にとって大変な損失です。ぜひ、本記事でご紹介したような支援策を活用して、次の世代へと事業のバトンをつないでいってください。

自社に合った支援策は何か、どこに相談すれば良いのかわからないという方のために、状況に応じたおすすめ支援策や相談先をフローチャートで確認できる、ダウンロード資料をご用意しました。無料配布中ですので、ぜひこちらからダウンロードください。

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※本記事の内容は、記事作成日(2021年6月)時点の情報に基づいています。最新の情報は各施策の公式サイトなどをご参照ください。

【文】編集部

監修

石井照之(いしい てるゆき)

2018年3月より事業承継センター株式会社取締役。事業承継士と中小企業診断士の資格を活かして事業承継コンサルティングと後継者育成、セミナー等を数多く実施。寄り添って一緒に悩みを解決する、伴走型支援を心がける。

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