事例集

2023.09.15 06:00

誠実をモットーに躍進する企業が、グループウェアの情報共有で顧客対応力を強化 ミノルエンジニアリング(福井県)

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「水道管や電気設備などの見えないところを工事する会社だからこそ、誠実じゃないといけないんです」と語る家倉実代表取締役。その名前と「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の意味する謙虚さをモットーとする企業姿勢を社名の「ミノルエンジニアリング」に込めた創業31年の設備工事企業。従業員数は7人という会社だが、自治体や民間企業からも元請けで仕事をする会社だ。(TOP写真:家倉実社長)

浄化槽の販売から始まった起業への道。7〜8年は苦労の連続。実績を重ね市や県の仕事を請けられるようになり徐々に安定してきた

20代の頃から20年近く地元の浄化槽用ブロアメーカーに勤務していた家倉実代表取締役は、知人の助言で1991年5月に浄化槽販売会社を立ち上げた。しかし時代は既に戸別に設置する浄化槽から移行し始めた時期であったため、売上は低迷。家倉社長は事業の方向を設備工事に切り替え、軽トラックに工具を積んで様々な下請け工事をこなしていった。しかし朝4時から働くこともあった下請け工事は赤字続きで、それから7〜8年は苦労の連続だったという。やっと事業が好転したのは、工事の実績と施工品質で信頼を得て、市や県の仕事を請けられるようになってから。元請け仕事が少しずつ増え始めてからは売上も利益も確保できるようになり、従業員も雇えるようになっていった。今では敦賀市や福井県の仕事に加え、財務局関連の仕事や日本原子力機構からの仕事も受注できる体制になり安定した売上を確保できるようになった。

公共工事で得られた信頼を、民間の仕事へつなげ、地域の人々の安全と安心を守りたい。緊急なら夜中に対応することも

数年前からは民間の仕事にも力を入れており新聞広告や雑誌広告を始め、駅前や市役所の電子黒板などにも積極的に広告を展開。水道や空調などの設備工事は一般の顧客に社名を知られることの少ない業界だが、ミノルエンジニアリング株式会社の名を知ってくれている顧客も少しずつ増えているという。

敦賀市の設備工事業者の中でも元請け比率が高く、自治体や公社からも信頼を得ているミノルエンジニアリングにとって、民間の工事は決して効率の良いものではない。しかし小さな仕事であっても丁寧に対処していく姿勢は、地域の人々の安全で安心な生活を守りたいという気持ちが強いからだ。特にこのエリアは冬場の凍結や漏水などでの緊急の依頼が多い地域で、1日10件余りの修理依頼が来ることもあるという。市内に40社近くある同業者の中で敦賀市の漏水当番を担当する約20社の中にも名を連ねているので、そちらからの依頼にも対応しなくてはならない。そのためミノルエンジニアリングでは全従業員が協力して対応できる体制をとっている。

時には夜中でも出動する必要があるため工事担当者は携帯を枕元に置いて寝るそうだが、困っている顧客に真摯に対応することで、顧客との縁が生まれ信頼につながっていく。この姿勢は創業以来変わっていないという。自治体や公社からの元請け比率が高いということも、こうしたミノルエンジニアリングの変わらぬ姿勢が培ってきた成果に違いない。

地域のサポートのために住関連会社との連携を行い、リフォームトータルでサポートする体制を整える

一般顧客向けの自社対応(エコキュート)チラシと異業種コラボレーションのチラシ

一般顧客向けの自社対応(エコキュート)チラシと異業種コラボレーションのチラシ

また、民間の仕事を請ける中で大切にしているのが異業種との連携だという。一般の顧客から来る依頼の中にはミノルエンジニアリングでは対応しきれない分野もあり、それまではその都度土木業者や建設業者を探し協力を依頼してきたが、最近では異業種のネットワークを作り、チームで対処できる体制を整えている。

現在の事業ボリュームは公共が6割、民間が3割、その他が1割だが、これからは積極的に異業種とのコラボレーションも図り民間業務の比率を上げていきたいと家倉社長は積極的だ。

誠実で対応が速いという企業姿勢を最も重視してきたミノルエンジニアリングは、敦賀市6万3千人(2万9千世帯)の人々の生活に密着した小回りの利く工事業者として、地元の優良な異業種企業と連携し、顧客の幅広いニーズに対応できる企業づくりを目指している。

一般顧客へのシフトは管理・情報体制の根本的な変更を迫られた

グループウェアの導入前はホワイトボードで現場管理やスケジュール管理をしていたという。公共工事のみだとそれでも大丈夫だったが、一般顧客からの細かな仕事や急な依頼にも対応していこうとすると手書きでの対応は不可能。これから一般顧客の割合を増やしていこうという時にこれではダメだということになった。

社長の子息である家倉崇吏専務取締役を筆頭にグループウェアを導入し、情報の共有化を推進した。「当初は予定を書ける電子黒板で良いと思っていたんですが、グループウェアがスマートフォンやタブレットにもつながって進捗まで共有できると聞いて、思い切って入れることにしました。進捗表も全員が見られるようになって、どこまで進んでいるとかこの現場は済んだとか事務員から現場の従業員まで全員が確認できるのはいいですね」と、家倉専務は声を弾ませる。

グループウェアの活用により顧客満足と信頼を強固なものにしたい

グループウェアの導入効果を語る家倉専務

グループウェアの導入効果を語る家倉専務

グループウェアの導入により、従業員同士の連携や物件情報の共有、スケジュール管理などを社内外どこからでも閲覧・管理できるようになり業務は飛躍的に楽になった。しかしそれは、家倉社長が培ってきた誠実な対応や信用につながる公開性と、技術力に裏打ちされた安心を顧客へ確実に届けるためだった。

「どの従業員も陰日なたなく真面目に働いてくれる環境でしたから情報共有はスムーズに導入できましたし、グループウェアのお陰で手の足りない現場に職人を融通するとかのやり取りもしやすくなりました」と家倉専務も様々な対応のスピードアップを喜んでいる。社内の事務処理が軽減されたと同時に、現場から帰ってくる従業員たちの事務処理時間も減った。従業員の資格取得も積極的に会社が後押しし、除雪や大型特殊の免許など従業員の能力向上と企業としてのパワーアップを図るべく、未来の発展へ向けて歩を進めている。

ここ数年はコロナ禍の影響で給水加圧ポンプやパイプ類の納期が遅れたり、様々な材料も5年前と比較して約20~30%ほど値上がりしているが、激変していく環境の中でもミノルエンジニアリングは着実に力をつけ、成長するためのノウハウを自分のものにしている。

グループウェアの導入により「タイムリーで的確な情報をお客様に届けることで、お客様の安心と信頼が得られることが一番うれしい」と家倉専務は語った。

スケジュール管理や現場管理も以前よりずっと楽になった

スケジュール管理や現場管理も以前よりずっと楽になった

小さな企業でも「元請け」を目指すなら、ICTの導入と従業員への信頼が必須

規模の小さな企業はどんな業界でも下請け仕事が多くなりがちだが、「業績を上げていきたいなら元請け仕事の割合を増やすしかない」と家倉社長は断言する。それには「少ない従業員でも情報の共有ができ、仕事の効率も上がるICTの導入は絶対に必要だ」と話す。ここ最近では様々な業務ソフトが以前よりずっと安価に出てきており、自社に適したものを選べば業務効率は格段に上がる時代になったと言える。

北陸の小さな優良企業が積極的にICT化を推進し地域で輝く姿を見て、様々な業務ソフトがここまで身近な時代になったのだと改めて実感できた取材だった。

企業概要

会社名

ミノルエンジニアリング株式会社

本社

福井県敦賀市昭和町1丁目17-10

電話

0770-23-8988

HP

https://minoru-eng.com/

設立

1991年5月1日

従業員数

7人

事業内容

給排水衛生設備設計施工、空調換気設備設計施工、とび・土木工事業、鋼構造物工事業、機械器具設置工事業、水道施設工事業、消防施設工事業、浄化槽工事業、各種リフォーム工事

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