事例集

2023.05.09 06:00

すべての人が購入でき、楽しく暮らせるマイホーム 独自のビジネスモデルを支える理念とICT 三承工業(岐阜県)

すべての人が購入でき、楽しく暮らせるマイホーム 独自のビジネスモデルを支える理念とICT 三承工業(岐阜県)
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制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

岐阜県岐阜市に本社を置く総合建設業の株式会社三承工業が、すべての人へのマイホーム提供を理念に2012年から展開している「SUNSHOW夢ハウス」が注目を集めている。リーズナブルな価格で住宅を提供し、ゆとりのある充実した生活を実現してもらうことを目指している。ほかにも様々な住宅ブランドを展開する中で、ICTやデジタル機器を活用して業務の効率化や顧客の利便性向上につなげている。(TOP写真:システムを使って顧客に提案する図面を作成する様子)

リーズナブルな価格で素晴らしい住宅を

価格を780万円台からに設定しているSUNSHOW夢ハウスのコンセプトは、徹底的なコストの抑制と品質の両立だ。「お客様の予算の範囲内で、最大限に素晴らしい住宅を提供したいと思っています。マイホームに住むことで幸せな生活を実現したいと思っていても、収入や将来の見通しに不安を抱いて、新築一戸建ての家に住むことをあきらめてしまっている人は大勢います。また、マイホームを建てたことで高額な住宅ローンや教育費に苦しみ、余裕のない生活を強いられる子育て世帯も数多く存在します。1000万円以下で建物を提供することができれば、多くの人がマイホームの夢を実現した上で、次の夢に向かって動きやすくなります。そういった人を増やしたいという思いで、SUNSHOW夢ハウスの事業に取り組んでいます」と株式会社三承工業の西岡徹人代表取締役は説明した。

SUNSHOW夢ハウスの販売窓口となる岐阜支店の外観

SUNSHOW夢ハウスの販売窓口となる岐阜支店の外観

SUNSHOW夢ハウスの実現に多くの企業が協力

新築、リフォーム、外構工事あわせて年間約100棟を施工しているSUNSHOW夢ハウスを事業として成立させるために、三承工業は、商圏が重ならない全国の工務店と共同で資材を大量購入したり、広報宣伝費を圧縮したり、用地を一括購入したり、工期を短縮するために独自の工法を考案するなど1棟あたりの建築コストを抑制するために様々な工夫を行っている。だが、自社の努力だけでは限界がある。SUNSHOW夢ハウスの理念に賛同してくれている約100社の企業の積極的な協力が事業を支えてくれているという。

SUNSHOW夢ハウスのホームページ

SUNSHOW夢ハウスのホームページ

三承工業のホームページでは、協力企業の代表者や社員がそれぞれのSUNSHOW夢ハウスへの思いを記したメッセージが掲載されており、多くの人が熱い思いで夢ハウスの事業に取り組んでいることが伝わってくる。

社会課題解決企業として知られているので、PRはネットと口コミが中心

三承工業は人口が増加傾向にある地域をターゲットに市場調査をした上でモデルハウスを建て、インターネットを活用してPRしている。見学者の半数以上はSNSやホームページ経由でモデルハウスの情報を入手している。また、実際に家を購入した顧客からの口コミも大きな効果を発揮し、購入客の半数に及ぶ。社会課題を解決している企業としてメディアに取り上げられることも宣伝につながっている。

住宅取得が難しい外国籍の顧客への購入支援と地域住民の交流を促進

夢ハウスの購入者にはブラジル、フィリピン、ペルーから来日して働いている人も多い。外国籍の顧客に対応するために、可児市内にグローバルオフィスを開設しているほか、美濃加茂市内の支店でも住宅ローンの組成をはじめとする家づくりの相談に応じている。言葉や文化の壁といった課題の解消につなげようと、スポーツやイベントを通じて外国籍の顧客と地域住民の交流を促進する取り組みも行っている。

その他、フィットネスジムのオーナーらの意見を参考に、健康寿命を延ばすことをテーマにトレーニングができる部屋や、要介護者の視点を取り入れた住宅の提案も行っている。災害発生時に地域で設けているモデルハウスを近隣住民の避難場所として活用してもらう取り組みも進めている。

オンライン商談の仕組みを導入してコロナ禍に対応

三承工業は2020年、コロナ禍で緊急事態宣言が発出されていた期間、整備したICTを活用して約半数の社員を在宅勤務にした。同年8月に新設した岐阜支店では、来店客が、大型モニターとパソコンを通じて在宅勤務している社員とオンラインで商談や打ち合わせができる仕組みを整えた。

来店客はモニターを通じて社員と打ち合わせを行う

来店客はモニターを通じて社員と打ち合わせを行う

「コロナ禍において、対面での対応をできる限り避けなければならない状況下、顧客の利便性を損なうことなく商談や打ち合わせができたのはICTのおかげでした。コロナ禍が落ち着いた後もオンラインは新しい営業スタイルとして対面とともに重視していきたい」と西岡社長は話した。

住宅営業の支援システムを活用

三承工業はICTやデジタル機器を活用して業務の効率化や顧客の利便性向上につなげている。協力業者との情報共有は現場ごとにコミュニケーションアプリ、LINEを通じて、出勤・退勤の報告や作業報告、働く人の検温報告、写真の共有などを行っている。

2020年4月には、設計士のようにCADを使いこなすことができない人でも短時間で住宅の立体・平面図や3Dモデルなどの提案資料を作成できる住宅営業の支援システムを導入した。システムには住宅設備機器や家具、エクステリアなどのデータが豊富に搭載され、直感的な操作で、紙で下書きしなくても簡単に図面を作成できるので、顧客にスピーディに間取りなどの提案ができるという。プランを基に自動的に資材を積算する機能や屋根、外壁、床、壁などの面積を自動計算する機能を備えているので、見積書などの作成も短時間で済ませることが可能だ。1人あたりの担当件数が増えても結果として残業時間の削減につながっているという。

「設計の未経験者でも使いながら提案資料の作り方を覚えることができるので、住宅販売の営業現場で活躍できる人材の幅が広がりました。平面図だけでなくわかりやすい立体図を見ることで、希望を細かく反映できるのでお客様にも好評です。外国籍のお客様と打ち合わせをする時も立体図を見てもらうことで、スムーズにコミュニケーションが取れるので非常に助かっています」と岐阜支店の河村政勝課長は話した。

岐阜支店の河村政勝課長

岐阜支店の河村政勝課長

社長の思いを顧客に伝えたい

2006年に入社した河村課長は、会社の風土が10年前と比較して大きく変化したことを実感している。三承工業の取り組みを知る取引先から社内風土の改革について相談される機会も増えているという。

「SUNSHOW夢ハウスの事業の成長は、すべての人にマイホームを提供したいという社長の熱い思いがあったからこそだと思っています。社長の思いを共有してお客様にどのように伝えるかということを常に意識しています。社長の行動力に負けないように我々社員も日々、切磋琢磨しなければならないと思っています」と河村課長は表情を引き締めた。

ZEH基準対応の新しい住宅ブランドを展開

三承工業は2022年から優れた断熱性能と太陽光発電パネルを標準装備したZEH(Net Zero Energy House=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準対応の新住宅ブランド「ユメハウス→Z」の販売を開始するなど住宅事業で脱炭素社会に対応した新しい取り組みを始めている。

ZEH基準対応の新住宅ブランド「ユメハウス→Z」
ZEH基準対応の新住宅ブランド「ユメハウス→Z」

ZEH基準対応の新住宅ブランド「ユメハウス→Z」

「お客様に安心かつ安全で経済的な生活を提供すると共に、地球規模の課題解決の一端も担っていただける住宅です。住宅を通じて新しいライフスタイルを提案することで脱炭素社会の実現に貢献していきたい」と西岡社長は力を込める。

住宅の業界もプレカットや3D-CADの普及を通じて品質の確保が進んでいる。昔は「家を建てることが男一生の仕事」という時代もあったが、その分給与の大半をローンにつぎ込む人も多かった。しかしもうそんな時代ではない。家を手に入れるということは、豊かな生活を送ってこそ価値がある。「夢ハウス」は普通の人が様々な生活をエンジョイするための家でもある。そう考えると「夢ハウス」普及への道はスタートしたばかりと言える。

事業概要

会社名

三承工業株式会社

本社

岐阜県岐阜市水主町2丁目53番地

HP

https://www.sunshow.jp

電話

058-275-5556

設立

2006年3月

従業員数

68人(2023年1月時点)

事業内容

新築工事、建築工事、リフォーム工事、土木工事業、管工事業、タイル・レンガ・ブロック工事業、舗装工事業、造園工事業、水道施設工事業、産業廃棄物収集運搬業

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