事例集

2023.03.13 06:00

高齢者やパソコンが苦手でも問題なし、グループウエアで業務のシステム化 四国たばこ販売協同組合連合会(香川県)

高齢者やパソコンが苦手でも問題なし、グループウエアで業務のシステム化 四国たばこ販売協同組合連合会(香川県)
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「香川、愛媛両県のたばこ販売店の組合組織、四国たばこ販売協同組合連合会は従来、傘下の単位組合との連絡は郵送か電話かFAX。単位組合事務局には高齢者も在籍しているため、ファイル管理などのシステム(グループウエア)導入は簡単ではないとも思われたが、導入してみると慣れるのは早かった。メール機能やファイル管理機能で手間もコストも削減でき、利用者を増やしてさらなる効率化を目指している。(TOP写真・単位組合との連絡をシステム化させた西山和秀事務局長)

郵送と電話とFAXの不安

「従来の連絡は郵送か電話かFAX。郵送は未開封、FAXは紛失のリスクがあり、電話も大変だった」。こう話すのは、四国たばこ販売協同組合連合会の西山和秀事務局長。電子メールによる連絡を試みたことはあるが、「送信先の単位組合から反応がなく、一方通行のまま終わった」ため、使わなくなっていた。結果、「郵送か電話かFAX」が続いていたのだ。

四国たばこ販売協同組合連合会は、全国たばこ販売協同組合連合会の傘下にあり、全国の連合会と、香川、愛媛両県にある7つの単位組合との連絡調整が主な仕事。20歳未満の喫煙防止活動や環境美化活動などの開催連絡、たばこ販売促進施策の伝達など、単位組合などと日々連絡を取り合っているが、きちんと伝わっているかどうかの確認だけでも一苦労だった。

2022年に高松市で行われた20歳未満喫煙防止街頭啓発パレード

2022年に高松市で行われた20歳未満喫煙防止街頭啓発パレード

新会長の一声がきっかけ

そんな状況を変えるきっかけは、2017年に会長に就任した玉井芳二会長の「各組合にパソコンがあるならグループウェアを活用してはどうか」との一声だった。

単位組合の事務局にはネット環境が整ったパソコンが配置されていた。しかし、高齢の事務局担当者やパソコン操作が苦手な人もいて、十分活用されているとは言えない状況だった。

四国たばこ販売協同組合連合会の事務所(右は西山事務局長)

四国たばこ販売協同組合連合会の事務所(右は西山事務局長)

就任早々の会長からの提案に、西山事務局長の頭をよぎったのは、コストのこと。初期費用や月額費用がどのくらいかかるかわからず、心配だった。

グループウエア導入済の連合会や全国連合会が参考

そんな時に耳にしたのが、中国地方の連合会が取り入れていたファイル管理やメンバー間だけでメールができるシステム(グループウエア)。低価格で初期費用も不要だった。

同様のシステムは全国の連合会も取り入れており、西山事務局長自身も使い慣れていた。「システムの管理者としてどうすればいいかがわかれば、導入できる」。そう思った事務局長は複合機で世話になっているシステム支援会社に連絡し、使い方を学んだ。

使い慣れたシステムだけに、間もなく習得でき、「ファイル管理」内のフォルダ設定方法は、全国連合会のフォルダを参考に作成した。あとは、連合会の単位組合の事務局の人たちに使い方を教えればできる。理事長会議で現状の問題点を示すとともに、システム導入で時間のロスや経費のムダを削減できると説明した。

理事長会議でシステム導入のメリットを示した説明資料

理事長会議でシステム導入のメリットを示した説明資料

事務局長が直接出向いてグループウエアの使い方の3時間研修

西山事務局長は自らシステムの使い方マニュアルを作成した。単位組合の事務局にはパソコンを使い慣れていない人が多いだけに、なるべく懇切丁寧に説明するよう心掛けた。

初期画面を示した西山事務局長作成の操作マニュアル

初期画面を示した西山事務局長作成の操作マニュアル

そして、各単位組合の事務局に直接出向き、それぞれのパソコンにシステムをインストールしてIDやパスワードを設定。3時間ほどで全員が使えるようになった。玉井会長のパソコンにも導入し、2020年春から使い始めた。

パソコンが使えない1組合は郵送も、他組合は全てシステム送信もきちんと既読となり不安なし

各事務局ともさほど混乱することなく、使いこなせた。使い方がわからない場合でも、電話のやりとりだけで使えるようになった。ただ、1単位組合だけは今も使えていない。事務局担当者がパソコンを使っていない状況だったからだ。このため、この組合への連絡は従来通り、郵送と電話、FAXで対応しているが、6組合はすべてシステムを活用している。

システムのメールには既読の際にクリックする「確認」ボタンがあるため、郵送やFAXのように読んだかどうかに不安を覚えることがない。「システムを1日2回は確認してほしい」と伝えているため、ほぼ当日にメールが既読になる。メンバー間だけの間で使用するため、ジャンクメールやフィッシングメールに悩まされることもなく、西山事務局長は「非常に快適」と話す。

申請書式変更もグループウエアで随時表示

メール機能とともに、大きなメリットになっているのが、ファイル管理システム。組合には報告書や申請書などさまざまな書類があるが、たばこの銘柄や値段が変わることなどによって書式の変更が多い。

新しく作られたマニュアルのファイル管理説明ページ。フォルダがわかりやすく配置されている

新しく作られたマニュアルのファイル管理説明ページ。フォルダがわかりやすく配置されている

これまでは書式が変わるたびに新たな書式を単位組合に送っていたが、送った書式を紛失するなどして以前の書式が使われることも多かった。今は、ファイル管理内の「報告・申請書式」フォルダ内にいつも新しい書式を入れているため、古い書式が使われることがなくなった。また、フォルダの変更などを行うこともあるため、マニュアルを随時更新してお知らせしている。

グループウエアの使用も副会長や単位組合理事長にも拡大へ

このシステムには「スケジュール」や「ToDoリスト」などさまざまな機能があるが、その多くは今のところ使っていない。それでも西山事務局長は「時間ロスやコスト削減に大きく貢献している」と話す。

その利便性は従業員はもちろん単位組合内にも伝わっている。現在、単位組合の理事長には、単位組合事務局から郵送や電話、FAXで連絡しているが、システムの利便性を知った理事長らからも導入依頼が来ているのだ。本年度中に、連合会の副会長と専務理事、組合支部1組織のパソコンに導入することにしている。

複合機も導入し無駄な印刷を防止した

また、四国の連合会事務所では複合機も更新。パソコンからの印刷指示を複合機サイドでいったんストックし、送ったデータを確認しながらプリントできる。ここでも無駄の削減が見込まれている。

更新された複合機

更新された複合機

四国連合会の事例は高齢者やパソコンが苦手な人でも、きちんとしたマニュアルと丁寧なサポートがあれば、多くがICTのメリットを享受できることを示している。

事業概要

組合名

四国たばこ販売協同組合連合会

所在地

香川県高松市西内町3-15

電話

087-821-6753

設立

1950年6月

従業員数

3人

事業内容

全国たばこ販売協同組合連合会と傘下単位組合との連絡調整役

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