事例集

2023.01.30 06:00

デジタル導入は小さく始めて大きく育てる。アナログも大事にしながら働きやすい環境を構築する こだま(三重県)

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産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

三重県津市に本社を構え、愛知県、静岡県、岐阜県に拠点を置く株式会社こだまは、シロアリを中心とした害虫やネズミなどの害獣の駆除、駆除した後の対策、除菌、リフォームを総合的に手掛けている。顧客からの要望が強い紙文書を中心としたアナログでの仕事の進め方を大事にしながら、徐々にICTや機器を導入するというスタイルでデジタル化を進めている。

害虫・害獣対策のエキスパート企業

「床下や天井といった目に見えない場所で作業をさせていただく上で、なにより大事なのはお客様からの信頼です。地域密着でお客様の気持ちに寄り添ったサービスをこれからも続けていきたいと思っています」と津市内にある株式会社こだまの本社で取材に応じた福島健一朗代表取締役社長は話した。

こだまの福島健一朗代表取締役社長

こだまの福島健一朗代表取締役社長

こだまは内閣府認定の公益社団法人「しろあり対策協会」に加盟し、協会が認定する資格を保有した上でガイドラインに沿った防除方法の実施や薬剤の使用を行っている。シロアリが生息しているのは床下だけとは限らない。対策が遅れた場合、通し柱や天井まで被害が進行しているケースもあるという。「依頼をいただいた後、まずはしっかりとシロアリの種類や被害状況を調査した上で、ベストな対策を社内で徹底検証し、丁寧に駆除と防除作業を行っています。屋内で作業する場合は、防除剤で家の中を汚したりすることがないよう配慮を徹底しています」と福島社長は説明した。

シロアリ防除作業の様子

シロアリ防除作業の様子

年間5,000件から6,000件の依頼をこなす

こだまには、毎年、年間5,000件から6,000件の依頼が寄せられる。従業員は、シロアリだけでなく、ハチやムカデといったそのほかの害虫、ネズミやイタチといった害獣についてもそれぞれの性質を熟知しており、これまで培ったノウハウや経験を活かしてサービスを消費者に提供している。床下や天井をチェックすることが多いので修理が必要な箇所を見つけた時はリフォームの提案も行っている。

ハチの駆除の様子

ハチの駆除の様子

害獣対策の様子

害獣対策の様子

2年前から社内文書のデジタル化を推進

こだまは、2年前から社内業務で扱う文書のデジタル化とペーパーレス化を進めている。社内業務のデジタル化を進めるにあたって今年3月から導入したのがMicrosoft365だ。84人の従業員全員に個別のアカウントを配布している。

仕切りがなくコミュニケーションが取りやすい設計になっているこだまの本社

仕切りがなくコミュニケーションが取りやすい設計になっているこだまの本社

現在、デジタル化プロジェクトの一環としてチャット、ビデオ会議、音声通話、予定表、ファイル共有など仕事で使う様々な機能をまとめたグループウェア、Teamsの活用を社内で浸透させている。部署単位でのグループ分けを機動的に行うことができることに加え、Word、Excel、PowerPointとの連携も行えるので使いやすいという。

「DXはこれから先のことを考えると企業にとって避けて通ることができない道であることは確かです。ですが、お客様からの要望が強い紙文書中心で行ってきたこれまでの仕事の進め方を急に変えてしまうとハレーションも大きくなります。従業員に負担がかかってしまっては意味がありません。ICTの導入にあたっては、小さく始めて徐々に広げていきたいと思っています」と福島社長はこれからのICT導入の方針を説明した。

事務所には仕切りがなく、従業員が顔を合わせてコミュニケーションを取りやすいデザインにしている。アナログでのコミュニケーションとデジタルでのコミュニケーションの優れた部分をうまく融合していきたいという。

デジタル化で従業員が働きやすい環境に

社内業務のデジタル化を担当する経営管理部の永里由紀さんは、これまで会社が蓄積してきた害虫、害獣駆除の事例に関する資料や具体的な対策のノウハウをデジタル化することで、従業員が仕事をしやすい環境にしていきたいと考えている。

経営管理部の永里由紀さん

経営管理部の永里由紀さん

「紙文書のままだと探す時に一定の時間を取られてしまいますが、デジタル化しておけば検索機能を使うことですぐに探し当てて活用することができます。日々のチャット機能でのやり取りを含めた情報は、限界を気にすることなくクラウドに保存できるので物理的な保管場所を気にしなくて済むのもありがたいですね。必要な情報に自分からアクセスして仕事に活用する企業文化を育んでいきたいと思っています」と永里さん。若い世代が上手に検索機能を活用しているのを見て大きな可能性を感じているという。

社内ポータルサイトやMicrosoft Teamsを有効活用して、組織内のコミュニケーションを活性化させている
社内ポータルサイトやMicrosoft Teamsを有効活用して、組織内のコミュニケーションを活性化させている

社内ポータルサイトやMicrosoft Teamsを有効活用して、組織内のコミュニケーションを活性化させている

スマートフォンを使って社外から出退勤の時間を記録

従業員は以前、出退勤の時間を記録する際、本社にあるパソコンで行わなければならなかったが、現在は外部からスマートフォンを使ってネットワークを介して記録できるようになった。そのおかげで現場から会社に寄らずに直帰しやすくなり、ワークライフバランスの改善にもつながっている。情報の共有がしやすくなったので、会議ではできる限り紙の資料を配布しないようにするなど徐々にペーパーレス化を進めている。

こだまは会議などでのペーパーレス化を進めている

こだまは会議などでのペーパーレス化を進めている

販売管理や技術継承などでもICT活用を検討

今後、新しい販売管理システムの導入を考えている。見積書を作成する段階で入力したデータを請求書などほかの帳票の作成にそのまま活用できるようにしたいという。また、依頼主への報告書などの作成も蓄積した過去のデータを使って効率的に作成できるようにしていきたいとしている。

こだまの本社外観

こだまの本社外観

「ICTを活用して従業員が働きやすい環境を作ることで、お客様へのサービス向上につなげていきたい」と話す福島社長。情報発信や業務の効率化でデジタル技術活用の成果は着実に生まれている。これからもこだまは、地域に密着しながら着実に会社のデジタル化を進めていくに違いない。

事業概要

会社名

株式会社こだま

本社

三重県津市藤方2251-1

電話

059-225-3170

設立

1976年7月

従業員数

84人

事業内容

シロアリ予防・駆除、害虫・害獣対策、床下環境改善(湿気・カビ対策)、塗装、リフォーム

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