事例集

2023.01.10 06:00

ジュエリーショップ運営と会社経営をシステムとホームページでカバー 新たなモデルを打ち出す サワダ(香川県)

ジュエリーショップ運営と会社経営をシステムとホームページでカバー 新たなモデルを打ち出す サワダ(香川県)
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この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

香川県の県庁所在都市、高松市中心部の百貨店や商業店舗が並ぶ繁華街の一角に一軒の瀟洒な店構えのジュエリーショップ「Lotus Beauty + crème+crème(ロータスビューティー+クレム+クレム)がある。オーナーの櫛橋利佳子さんは72年の歴史を持つジュエリー商品の企画・販売企業、株式会社サワダの代表取締役社長も務める。今年3月に友好的M&A(企業の合併・買収)を行って経営権を取得した。数千人の顧客リストを持つ会社の経営とジュエリーショップの運営という激務をICTの活用でカバーし、充実した毎日を過ごしている。(TOP写真:Lotus Beauty + crème+crèmeで販売しているジュエリー)

ジュエリーは心のビジネス 新しいジュエリーに生まれ変わらせる「リメイク」に力を入れている

Lotus Beauty + crème+crèmeの外観

Lotus Beauty + crème+crèmeの外観

Lotus Beauty + crème+crèmeの店内には宝石を加工した様々なデザインのジュエリーや高級時計が並ぶ。「ジュエリーそのものよりもジュエリーに関連したビジネスに関心があって起業したんです。歴史ある会社の経営を引き継ぐことになり、プレッシャーと同時にやり甲斐を感じています。ジュエリーはモノではなく心のビジネスです。お客様に喜んでいただくことを何より大事にしたいと思っています」と櫛橋社長は話した。ジュエリーの販売とともに古いジュエリーに手を加えて新しいジュエリーとして生まれ変わらせる「リメイク」に力を入れている。

株式会社サワダの櫛橋利佳子社長

株式会社サワダの櫛橋利佳子社長

国際的なジュエリーデザイナーの商品をそろえる

Lotus Beauty + crème+crèmeの最大の強みが、国際的なジュエリーデザイナーとして知られるサワダの前社長、澤田光生さんの存在だ。澤田さんは1980年代にサワダを先代の父親から継承し、ジュエリー販売を手掛ける一方、ディーラーとしての可能性を広げるためにジュエリーのデザインも手掛け始めた。宇宙や自然をモチーフにした作品に定評があり、1989年から14年間で国内外15の賞を受賞する快挙も成し遂げた。2014年からジュエリーデザインアカデミーを開校し校長を務めている。

株式会社サワダ前社長でジュエリーデザイナーの澤田光生さん

株式会社サワダ前社長でジュエリーデザイナーの澤田光生さん

澤田さんは櫛橋社長のジュエリーにかける思いと経営手腕を評価し、サワダの未来を委ねることにしたという。「幅広い人脈を持ち、企画と営業の両面でその人脈を生かすことができるのが櫛橋社長の最大の持ち味です。今後はジュエリーデザイナーとして、櫛橋社長が舵を取るサワダの事業をしっかりと支えていきたい」と澤田さんは話した。

澤田光生さんのデザイン画

澤田光生さんのデザイン画

社長に就任するまでの波乱万丈の人生

櫛橋社長がジュエリーショップの運営を軌道に乗せ、サワダの社長に就任するまでの人生はまさに波乱万丈だった。櫛橋社長は40歳で離婚して1人で3人の子どもを育てていくことを決意。生活と子育てを両立させる道としてあえて起業を選択し、しっかりと準備した上で2015年にジュエリービジネスを始めた。だが、事業はすぐに行き詰まってしまったという。2年ほど厳しい状況が続いたが、ジュエリーデザインを基礎から学ぼうと澤田さんのジュエリーデザインアカデミーに入学したことが大きな転機になった。

その後、櫛橋社長は、澤田さんの指導を受けながら取り組んだジュエリーの販売で実績を上げ、2018年2月にサワダのフランチャイズ店舗として「ロータスビューティー」をオープン。2019年2月には20年来のサワダのジュエリーブランド「クレム・クレム」を引き継いだ。

Lotus Beauty + crème+crèmeの店内

Lotus Beauty + crème+crèmeの店内

SNSとホームページで情報発信の相乗効果を図る

「一人ひとりのお客様とのご縁を大事に、コミュニケーションを定期的に取ることを心掛けています」と櫛橋社長。地元を中心にリピーターを獲得する上で、信頼感で結ばれた人脈とリアルなコミュニケーションは大きな効果を発揮している。その一方で、幅広い顧客を獲得していく上で必要な情報発信も重視している。以前はInstagramなどのSNSを活用していたが、最近、ホームページの運営にも力を入れることにしたという。

ホームページは会社概要や過去の情報といった豊富な情報の掲載が可能なことから消費者に安心感を与える効果が高く、リアルタイムに情報を発信できるSNSと組み合わせれば相乗効果を発揮することができる。ホームページのリニューアルにあたり2021年11月に導入したのが、プログラムの専門知識がなくても簡単に記事や写真の追加といった編集ができる企業向けのホームページ作成システムだった。会社案内や採用情報など企業ホームページに不可欠な豊富なテンプレートが用意されているので非常に使いやすいという。

ホームページの編集を行う様子

ホームページの編集を行う様子

自らホームページを編集することで顧客に思いを伝える

「ホームページの記事や写真はできる限りこだわりを持って掲載していきたいと考えているので、運営を外部委託することは全く考えていませんでした」と櫛橋社長は振り返った。他社に任せて自らの思いが反映されていないホームページになるのを防ぐため、自分の裁量で機動的に情報更新ができるシステムを探していたという。

「手間はかかりますが、その分、自分自身の思いをしっかりとお客様に伝えたいと思っています。ホームページの運営についてはまだまだ駆け出しですが、地道に取り組んでスキルアップをすることで少しずつ内容を充実させていきたい」と櫛橋社長。欧米に比べると日本ではあまり知られていない宝石に関連した文化や歴史の情報も積極的に発信し、いずれはリメイクなどの受注もホームページからできるようにしていきたいと考えている。「ホームページの情報が多くの人に香川に足を運んでいただくきっかけになればうれしいですね」と櫛橋社長はにこやかに話した。

販売管理システムを活用して営業や企画のための時間を生み出す

販売管理システムも導入し、これから本格的に活用していく。サワダが所有する顧客の情報は数千人にのぼる。顧客情報や商品情報の管理において販売管理システムは大きな役割を発揮しそうだ。「販売管理システムを導入したのは、時間を作ることでこれまで以上に企画や営業の仕事に集中できるようにしたかったからです。経理などの事務仕事もできるだけICTを使って短時間で済ませるようにしたいと思っています」と櫛橋社長。

澤田光生さんがデザインしたジュエリー

澤田光生さんがデザインしたジュエリー

旧本社ビルを地域情報発信の拠点に

源平合戦が行われた屋島に近い幹線道路沿いにあるサワダの3階建ての旧本社ビルには、ジュエリー・時計の修理専門ステーションを設けている。地域の文化発信の拠点として活用してもらうことを想定し、3階にある多目的ホールでバイオリンとピアノのコンサートを企画するなど新しい取り組みを始めている。成長した3人の子どもたちがジュエリーやファッション関係のビジネスに関心を持ってくれていることも、前向きな挑戦姿勢を維持する原動力になっている。

地域の情報発信拠点としての活用を考えているサワダの旧本社ビル

地域の情報発信拠点としての活用を考えているサワダの旧本社ビル

今後、ICTを活用した様々な新しい企画を検討していきたいという。「ここに至るまで周りのたくさんの人たちに支えていただきました。事業を通じてしっかりと恩返ししていきたいと思っています。デジタル技術を活用することで会社の土台を整えて、地道に一歩一歩前進していきたい」と櫛橋社長はこれからの抱負を明るい表情で語った。地域発の新しいジュエリー文化の発信に期待がかかる。

事業概要

会社名

株式会社サワダ(Lotus Beauty + crème+crème)

本社

香川県高松市内町2-15 エクセルビル1F

HP

https://lotusbeauty.net/

電話

087-811-2233

設立

1950年

従業員数

3人

事業内容

宝石小売業、宝石アクセサリー製造業、宝石加工業、趣味雑貨関連

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