事例集

2022.09.22 06:00

情報セキュリティにUTMを積極導入、ICTの積極活用で電力インフラを支える 児島工業(富山県)

情報セキュリティにUTMを積極導入、ICTの積極活用で電力インフラを支える 児島工業(富山県)
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富山県高岡市に本社を置く児島工業株式会社は、北陸エリアの電力インフラを支える送電線鉄塔の基礎工事を中心に官公庁が発注する道路、河川、下水道の工事に携わっている。電力インフラに携わる企業として情報管理を重視し、情報セキュリティの様々な機能を併せ持つ「UTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)」を積極活用している。

送電用鉄塔の基礎工事に強みを持つ

山間部での建設機械を使った作業の様子

山間部での建設機械を使った作業の様子

発電所と変電所、変電所と変電所を結ぶ送電線を支持する高さ数十メートルの巨大な鉄塔。その基礎部分は、台風や地震で倒壊しないように強固にすることが求められる。深さ10メートル近い穴を掘って、基礎材を据え付け、鉄筋を配筋し、コンクリートを打設して埋め戻す一連の作業には知識と経験が要求される。

工事現場は山間部が多く、生コンクリートや資材の搬入も簡単ではない。掘削に使う建設機械は、そのままでは現場に搬入できないので、分解してヘリコプター、モノレールで運んで組み立てなければならない。基礎工事の完了には準備から含めて1ヶ月半~3ヶ月ほどかかるという。

「基礎部分にわずか数ミリでも設計との違いがあると鉄塔全体の組み立てに大きな影響が出てしまうので、責任の大きさを常に意識しながら作業に取り組んでいます。ミリ単位での正確な作業は機械で代替することが難しく、職人だからこそできる仕事と自負しています」。2020年4月に児島工業の4代目社長として創業家から事業を引き継いだ大能崇志社長は、力強く語った。

高校時代から縁のある企業に社長として就任

大能社長と児島工業とのつながりは、アルバイトとして働いた高校時代にさかのぼる。人々の生活を支える仕事、誰かが取り組まなければならない仕事であることに魅力を感じ、これまで取り組んできたという。「アルバイト先に選んだのは自宅から通いやすいことが理由だったのですが、社長として仕事をすることになって改めてご縁があったのだとしみじみ感じています。社長になっても現場ファーストの思いを最優先に頑張りたいと思っています」と大能社長は穏やかな表情で話した。

大能崇志社長

大能崇志社長

重複していたUTMを1台に集約してコストと手間を削減

※UTM(ユーティーエム)はUnified Threat Managementの略で、「統合脅威管理」と訳されるネットワーク上のセキュリティ対策に用いられる機器です。

児島工業は、今年1月、UTMを一新した。導入したUTMは、不正アクセスを遮断するファイアウォール、パソコンなどの端末へのコンピューターウイルスの感染を防ぐアンチウイルス、スパムメールを遮断するアンチスパム、システムへの不正侵入を探知・防御するIPS・IDSのほか、内部からのインターネット上のサイト閲覧に制限をかけるWebフィルタリングといった機能を兼ね備えている。

UTMには5年以上前から関心を持ち、一新する前は、異なるタイプのUTMを3台導入していたという。「送電線の基礎工事という公共性が高い分野に携わっていることもあって、情報セキュリティには以前から気を使ってきました。サイバー攻撃ははっきりと目に見えない脅威だけに、対策を取るに越したことはないという思いもあって、複数の機器を継続的に購入してそのまま併用していたんです。結果的に機能が重複して無駄な支出になっていただけでなく、機器や配線がオフィスの机を占拠して雑然とした状態になっていました」と大能社長は振り返った。

UTMと周辺機器を1台のキャビネットに収めている

UTMと周辺機器を1台のキャビネットに収めている

社長に就任して事業の見直しを行う中、改めて情報セキュリティの体制を一新する必要があると考えた。「中小企業を対象にしたサイバー攻撃は年々巧妙化しています。改めて、セキュリティ情報をこれまで以上に更新して対応していかなければならないと思ったんです」と大能社長。情報を集めた上でUTMの取扱業者に相談し、最新の機能を持つ1台に集約することにしたという。「集約するにあたっては多様なセキュリティ機能を備えていることはもちろん、導入時の設定から何か困った時にはしっかりサポートしてくれるサービスがあることも重視しました」と大能社長は話した。

UTMの集約でオフィス環境もすっきり

UTMの機能集約は管理の手間とコストの削減に繋がっただけでなく、オフィス環境にも変化をもたらした。「関連する機器は一つのキャビネットに配線ごと収まるようになったので、机がきれいになってオフィス全体が本当にすっきりしました。環境が変わったことで社員同士のコミュニケーションも以前より活発になりました」と大能社長は満足そうに話した。UTMはルーターとしての優れた機能も備えているので、社内の通信もよりつながりやすくなった。トラブルが発生した時は取扱業者が24時間体制で復旧や機材の交換に対応してくれるので、安心感があるという。

コミュニケーションが取りやすくなった児島工業のオフィスの様子

コミュニケーションが取りやすくなった児島工業のオフィスの様子

会社の成長のため更なるICT活用に目を向ける

大能社長は更なるICTの活用にも目を向けている。「山間部での手作業が中心となる鉄塔の基礎工事では、ICTを活用できる余地が少ないこともあって、これまではそれほど現場でのICT活用に目を向けてはいませんでした。しかし、これからは違います。企業として成長していくには主力の鉄塔の基礎工事だけでなく、その他の道路や下水道といった公共工事の受注に力を入れていかなければなりません。その過程で、ICTの活用を避けて通ることはできないと考えています。ICTを導入して仕事の幅を広げることで将来性を高めていきたい」と大能社長は意欲的に語った。

児島工業のオフィスの様子

児島工業のオフィスの様子

YouTubeで動画を配信 若い人材に技術を伝えたい

事業拡大の意欲は強く、昨年11月には会社の魅力を発信する動画を作成し、YouTubeでの配信を始めた。「人材が増えなければ事業は拡大できません。ICTを積極活用することで若い人が働きやすい職場にしていきたい」と大能社長。測量用アプリや、現場で撮った写真を自動的に保存できるシステムの導入も検討している。リモートで現場の様子を発注者に確認してもらえる遠隔臨場への対応も進めていこうと考えている。

工事に臨む児島工業の社員

工事に臨む児島工業の社員

3D-CADにも関心を持っている。「3Dで現場の図面を制作できるようになれば、これまで以上に状況を事前に把握して、効率的に作業に取り組むことができるようになります。ベテランの知識と技術を生かしながら若い世代に技術を伝えていく上でも、活用できる場面は多いのではないかと思っています」と大能社長は話した。

児島工業の本社の外観

児島工業の本社の外観

情報セキュリティという守りの分野に加え、現場作業の効率化という攻めの分野でもICTを活用していこうとしている児島工業。社会にとって重要なインフラを支える技術と思いを次世代に伝える上で、ICTの導入は大きな支えになるはずだ。

事業概要

会社名

児島工業株式会社

本社

富山県高岡市醍醐551

電話

0766-63-2885

設立

1966年12月

従業員数

9人

事業内容

電気土木工事、一般土木工事



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