事例集

2022.03.03 06:00

人を育てる事が会社をよくするコツ。そのためにICTに積極的に取り組む 城東テクノサービス (東京)

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この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


「3K職場ではありません」。そう話すのは、東京都江東区で消防設備の保守・点検・管理業務や建築物調査業務、建築設備定期検査業務などを行っている城東テクノサービスの齋藤政浩社長。実際の業務は、手にチェックシートや検査機器を持って建物の中を行き来し、しっかりと動作するか、安全性に問題はないかを調べて歩くといったもの。社員も建築士や特定建築物調査員、建築設備検査員、電気工事士、消防設備士などの資格を持った専門家集団だ。

社員募集したが入社率が低い


「今は総勢で20人弱が働いています。下は26歳から上は80代の点検のプロが在籍しています。30代の二級建築士の方もいて各世代の人がいます」。採用にも意欲的で、「昨年末にいくつかの求人サイトに応募をかけました。16人の方から応募があって採用の返事を差し上げたのですが……」と齋藤社長。「実際に入社したのは4人でした。どのような仕事なのか、どのように働くのかが伝わっていなかったんですね」と残念がる。

ホームページで、経営姿勢やエピソードを発信することに


「働き始めた皆さんには、入って良かったと思ってもらっています」。実際に働けば分かる仕事の面白さ、そして、雰囲気の良さを事前にどれだけ知ってもらえるかが、採用にとって重要なことだと、以前から強く感じていた。そこで2022年2月、ホームページをリニューアル。齋藤社長自らがブログを書き、会社のことを知ってもらうために情報発信を始めることにした。「自分の経営姿勢や、様々なエピソードによって仕事の事や会社の雰囲気を伝えていきます」。

パソコンに向かう齋藤社長。ICT改革と情報発信を進める

パソコンに向かう齋藤社長。ICT改革と情報発信を進める

社員は、時間をかけて育てる


働く人の自主性を重んじる社風だ。顧客を相手にしたサービス業である以上、「遅刻はだめです」と命じはするが、やむをえず遅刻する場合もある。「遅れるなら遅れると連絡することが大切です。同僚のことを思いやりながら行動するようになれば、行動は変わります。大切なのは思いやりと敏速な行動です」

残業についても、「残業しろとか、するなとか言いません。納期に間に合わせる必要性を伝え、本人たちの仕事の進め方に任せます」。そうした齋藤社長の心配りを理解して、社員もメリハリのある行動をするようになる。「当社は火曜日と日曜日が休みですが、中には休みは週に1日だけで良いという人もいます。労基法と照らし専属の社労士と相談しながら、働きたい人のためになる職場環境を作るようにしています」

積極的にICT導入を進める


システム導入によって合理化・効率化でき、働き方の環境が改善されるなら前向きに取り入れる。例えば、「建物調査をする際に図面を預かりますが、古い紙の図面などを頂いた場合、それをCADデータに変換して利用しています」。使っているのは、複合機から図面を読み取ると、クラウド上でCADデータに変換してくれるサービスだ。「元の図面から、自分たちでCADのデータを作ろうとしたら時間がかかります。今は一瞬できれいな図面が出てきます。これに建物の不良箇所を記入していけるようになりました」と喜ぶ。社員の負担も大幅に減った。

紙の図面を複合機でスキャンしてデジタル化していく

紙の図面を複合機でスキャンしてデジタル化していく


新しいシステムの導入も検討を重ねている。城東テクノサービスでは現在、「従業員にはスマートフォンを持たせて、それで就業管理・勤怠管理のシステムに打刻してもらっています」。このスマートフォンを業務にも活用できれば、一段の効率化が図れる。そこで、「消防設備点検関係のソフトをスマートフォンにインストールして、不良箇所や指摘箇所を記入したデータを、会社のパソコンと同期させられないかと考えています」

現在は、現場で紙のチェックシートに赤ペンで不良箇所や指摘箇所を記入し、必要な箇所の撮影を行っている。そして、事務所に帰ってから報告書を作り、カメラやスマートフォンの写真をパソコンに取り込み、書類に手作業で添付している。クラウド対応の消防設備点検ソフトがあれば、スマートフォンに不良箇所や指摘箇所を入力しスマートフォンで撮影した写真をその場で添付し、クラウドに上げれば報告が終わる。大幅な働き方改革になる。

「建設工事の現場で撮った写真を管理するようなソフトはありますが、保守点検や検査用のソフトはまだ開発されていません。思っているシステムが出来れば、合理的に人が動けるようになって無駄な動きがなくなります」と期待する。今は、構築に向けてシステム会社と話し合っているとのこと。開発されれば同じような業務を手がけている事業者にも福音となる。現場に直行してそのまま直帰するような働き方も、今以上に可能となる。

会って話すコミュニケーションは重要


一方で、「コミュニケーションが不足する心配があります」と齋藤社長は語る。そのため城東テクノサービスでは「金曜日と月曜日は1度会社に全員来てもらうようにしました」

会議や訓示などを行う訳ではなく、集まってその日あったことや気になることを話してもらうだけ。10分20分といった短い時間だが、「それがコミュニケーションの活性化に役立ちます」。風通しが良く働きやすい職場にすること。人のことを第一に考える齋藤社長ならではの発想だ。

働きやすさをアピールしても、向く人と向かない人がいることだけは変えられない。「派遣会社に登録しておけば仕事が得られて、そこで1日働けば終わりですから、その方が楽だという人もいます」。ただ、「当社の場合は、実務経験がしっかりと積めます」。資格の取得にはたいてい何年といった実務経験が求められる。「本人によりますが、将来的なことを考えているなら、当社なら応じてあげられます。資格を取得していく意欲、点検を覚える向上心を持っている人にはぜひ、来てもらいたいですね」。

社員の働き方改革のために積極的にICTの導入を進める斎藤社長、まだまだ挑戦は続く。

会社概要

法人名

城東テクノサービス株式会社

本社

東京都江東区東砂7-5-12

電話

03-5690-4888

設立

1998年7月

従業員数

20人

事業内容

消防設備の保守、点検、管理、及びその請負/消防設備工事の設計、施工、及び管理、並びに請負/特定建築物調査業務・建築設備定期検査業務/外壁劣化調査(赤外線カメラ調査自社保有)業務/消火器・住宅用火災警報器・避難はしご・その他消防設備機器の販売/建物の管理業/消防・建築設備不具合箇所改修工事/防火設備定期検査業務

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