事例集

2022.01.07 06:00

増床を機にコミュニケーションオフィスに変身、収益力が大幅アップ 中央コンピューターサービス(北海道)

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机が狭かったり椅子が座りにくかったりするだけでも仕事の効率が落ちることもある。一方で、打ち合わせのスペースを増やすだけで、新しいビジネスのアイデアが生まれるきっかけになる。働きやすいオフィス環境づくりは、ICTの活用に匹敵するパワーを持っている。

北海道中標津町の情報システムの開発・管理会社、中央コンピューターサービスは2018年、事業の拠点となっている札幌支社のオフィスを大幅リニューアルした。社員の要望を反映させたデザインに変更すると、社員同士のコミュニケーションが活発化。収益力が向上するなどさまざまなプラス効果が表れた。

更衣室や談話室がない…「これではいけない!」


「札幌支社のオフィスは、ごく普通の事務所で、快適性といったことは考えられていませんでした。女性専用のロッカーや更衣室がなかったり、社員が談話するスペースもなかったり。『これではいけない』という問題意識が生まれてきました」。谷田浩一社長はオフィスのリニューアルを進めた理由をこう説明する。

中央コンピューターサービスの谷田浩一社長

中央コンピューターサービスの谷田浩一社長


中央コンピューターサービスは自治体向けの総合行政システムの開発・販売を手掛けている。まだコンピューターが今のように普及していなかった時代から自治体と連携して行政事務のデジタル化に取り組み、総合行政システムを開発。道内を中心に約30の自治体に利用されている。フィールドは大都市ではなく地方都市。「地域の役に立ち、顧客に頼られる企業になる」(谷田社長)ことを信条にICTを活用した教育機関向けのサービスや地域活性化事業にも力を入れている。

本社は創業の地である中標津(なかしべつ)町に置いているが、社長をはじめ約100人が札幌支社に勤務。開発や営業など主力となる業務を集積させている。札幌市の中心部にある現在のオフィスビルに移転して約20年。当時に比べて大きく変化した職場環境に対する社会や社員の意識への対応に迫られていた。

「管理職を含めた女性社員の構成や勤務時間の管理など経営上の課題を検討する中で、働く環境も大きなテーマに上がりました。社員みんながどう思っているのか一度、聞いてみることにしました」。社員にアンケートをとると、具体的な要望が数多く上がってきた。ちょうど上の階のテナントが移転するタイミングで、オフィスを増床して大幅なリニューアルに踏み切ることを決断した。

若手中心にプロジェクトチーム 社員の声をリニューアルに反映


「リニューアルをするなら、社員の働きやすい職場にしたい」。若手社員を中心としたプロジェクトチームを編成。プロジェクトチームは社員から要望が上がった課題をもとに「提案依頼書」をまとめた。複数社に投げかけ、プロポーザル方式でデザインを選定した。

その中でも最も光る内容だった案を採用した。「抱えていた課題がすべて解消され、さらに独自の提案もちりばめられていました」。社員の間でも、ほぼ満場一致の評価だった。

リニューアルでオフィスはどう変わったのか。

オフィスのデスクを長机にすると、オフィス利用の幅も広くなる

オフィスのデスクを長机にすると、オフィス利用の幅も広くなる


まずは、「ごく普通の事務所」にありがちな事務机が一掃された。そこに置かれたのは、会議室にあるような複数人が着座できる大型デスクだ。そのデスクをフロアに何台も配置。同じテーブルで数人の社員が着座するスタイルにした。

最近はこうした机を使って、席を固定しない「フリーアドレス」と呼ばれるオフィスが流行しているが、まさにそのスタイルだ。ただ、開発部門では一人で複数の大画面ディスプレーを使って作業することが多く、席は固定されている。外出が多い営業部門は席を固定せず、一つのデスクに3人座ることもあり、5人が座ることもある。業務に応じてうまく使い分けた。

事務机を一掃…導入すると、「使い勝手がいい!」


谷田社長は、その第一印象を「まるで別世界にきたようなインパクト」と形容した。「導入してみると、非常に使い勝手がいい。こんな使い方ができるのだと思ったと感心しました」。

社員の休憩やちょっとした気晴らしに利用してもらうリフレッシュルームや、女性社員から要望の多かった女性専用の更衣室も新たに設置。リフレッシュルームは社員同士が会話を弾ませる場になり、更衣室を設けたことで女性社員の不満も解消された。

それまで2室しかなかった会議室は10室に増やした。立ったまま打ち合わせするスタンディングミーティングができるスペースもある。座るよりも効率的で、スピーディーに話が進むメリットがある。「打ち合わせやミーティングが増え、会議室はけっこう満室の時が多い。2室しかなかったときはどうやっていたのか、思い出せないくらいです」。活発化したコミュニケーションが新しいアイデアを生む呼び水になっている。

会議室は10室に増えたが、満室になることも多い。活発なコミュニケーションを後押ししている

会議室は10室に増えたが、満室になることも多い。活発なコミュニケーションを後押ししている

営業所の見直しにも着手 コンセプトは「カフェ」


札幌での成果を受けて、十勝営業所と恵庭ビジネスデザインセンターのリニューアルも同じ会社に依頼した。札幌と全く同じコンセプトではなく、支店の業務の内容に対応した形でのリニューアルだ。

十勝営業所にはセミナーや打ち合わせができるカフェ風のスペースを設けた

十勝営業所にはセミナーや打ち合わせができるカフェ風のスペースを設けた


十勝営業所は教育機関向けのビジネスが中心になっている。教育現場でICTを活用する場面が増え、教員向けに活用法などを伝授する事業を展開している。教育関係者の訪問が多く、セミナーや打ち合わせができるスペースを設けた。デザインのコンセプトは「カフェ」。気軽な気持ちで支社に立ち寄ってもらえるようおしゃれな空間を演出している。

「『十勝営業所はこうあるべき』という営業所長の地域性・事業性を生かした意見が反映されています。札幌とは一味も二味も違うデザインです」と谷田社長は説明してくれた。

新型コロナウイルス対策では思いがけないメリットが


谷田社長によると、大型のデスクを配置した札幌支社のリニューアルでは、新型コロナウイルスの感染対策で思いがけない効果が表れたそうだ。

一人ひとりの机の幅が決まった事務机と違い、大型デスクは座る人数を変更すれば、社員同士の間隔を自由に広げることができる。社員間のソーシャルディスタンス対策も比較的容易だった。

札幌市中心部にある中央コンピューターサービス札幌支社のエントランス

札幌市中心部にある中央コンピューターサービス札幌支社のエントランス


取引先とはオンラインでの打ち合わせが増えたが、10室に増やした会議室が大活躍している。コロナ禍で営業のスタイルは一変。最後に契約を決める直前までデジタルで対応する時代になっている。会議室と顧客の会社をつないで、提案やデモまですべてオンラインで行う。それでも成約率は落ちることはなく、「最初は必要に迫られて、という感じでしたが、今は逆にメリットも感じています」と谷田社長は話していた。

複数社で実施したプロポーザルの中で、採用したデザインは価格が最も高いものだったが、谷田社長は提案の内容を重視。決定に躊躇はなかった。

「ふだんの事業の中で、『投資』といえば、システム開発投資です。しかし、ある時から『投資』をもっと拡大解釈しないといけないと考えるようになりました。教育訓練や事務所の環境整備も含めて投資をする。そういった部分を予算化して対応できるようにしていました」

財務面からみてもリニューアルの効果は顕著に表れていると谷田社長は分析する。経費や人件費、一人当たりの粗利などの指標を追っていくと、前年の成長に対して、大きく変わったのはオフィスのリニューアルだけ。前年からの成長の原動力になった表れだと評価している。

固定観念を排除して、働きやすい職場をつくろう


オフィス環境への配慮は、歴史の古い会社ほど見落としがちになる。事務机が並ぶ旧態依然としたオフィス像が固定観念のようにこびりついているが、果たしてそれが社員にとって働きやすい環境なのか。谷田社長はリニューアル前のオフィスを「男性目線で作られていた」と指摘。女性の意見を最大限に組み入れた。「昔からこうだから」では通らない意識の変化への対応も経営者には求められている。

職場環境の整備には、それなりのコストがかかり、経営者の判断を鈍らせる壁になっている。だが、注目してもらいたいのは、生産性を高める効果だ。「なぜか社員の生産性が上がらない」。そう感じている経営者は、まずは社員の声を聞き、オフィスの環境に目を向けてみてはどうだろうか。会社が変わる大きなきっかけになるかもしれない。

事業概要

法人名

中央コンピューターサービス株式会社

所在地

本社 北海道中標津町北町2-22
札幌支社 北海道札幌市北区北7条西1-1-2 SE札幌ビル 10階

電話

011-700-5588(札幌支社)

設立

1981年7月

従業員数

107人

事業内容

コンピューターのプログラム開発及び開発に関する調査・分析・設計・コンサルティング業務、システムの販売・サポート業務、情報通信に関する教育・指導・助言

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