事例集

2021.05.10 06:00

人材把握一元化が生むグループシナジー NSGホールディングス(新潟県)

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この記事に書いてあること

執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


新潟県を拠点に30校以上の専門学校を運営し、大学や高校、学習塾等の教育事業から、医療、社会福祉、出版、エンターテインメント分野に至る幅広い事業を展開しているのがNSGグループだ。持株会社のNSGホールディングスで会長を務め、プロサッカーチームに地域密着型のビジネスモデルを取り入れ、サッカーJリーグのアルビレックス新潟をリーグ屈指の人気チームに育てたことでも知られる池田弘氏が、1976年に新潟総合学院を創設したのが始まり。以後着々と規模を広げ、傘下に100法人超の企業と約12,000人もの従業員を抱える一大グループへと成長した。

堂々たる大企業としての風格を持っているが、「急激に大きくなったのは1990年代に入ってからのことですし、事業グループごとに中間持株会社があったり、M&Aで仲間になったグループもあったりで、今も中小企業が集まっているような感じです」と、NSGホールディングス人事本部の山本圭子部長は打ち明ける。

NSGホールディングス人事本部の山本圭子部長

NSGホールディングス人事本部の山本圭子部長


2000年代以降も事業規模の拡大は続き、所属法人も社員も増えていった。「近年になり持株会社のNSGホールディングスを中核に、経営方針の策定や管理業務をとりまとめて、グループの一体化を図ろうということになりました」。多彩な群を擁していても、それぞれが違う方向を向いていては力が分散してしまう。2020年4月に創業者の後を継いだ、新代表池田祥護の、グループのシナジー効果を発揮したい、という思いがガバナンス面の改革へと踏み出させた。

業務効率化のために必要だった勤怠管理システム

多彩な事業1-医療福祉事業

多彩な事業1-医療福祉事業


グループの一体化を進めるうえで課題が浮かび上がった。それぞれが人事制度や給与制度を持っていた上に、業種も教育に医療、福祉施設に商業施設といった具合に多岐に及んでいたことだ。「業種が変われば労働条件も働き方も違ってきます。細かい制度などは各社に問い合わせをしないと分からない状態が続いていました」

せっかく一体化できても、こうした違いが業務の非効率化を招いては意味がない。どこに優れた人材がいるかを把握して、有効な人材活用を行う上でも、人事や労務の一体化が必須だった。「急ぎシステム化をする必要があると考え探していたところ、OBCの勤怠管理システムGM Editionに行き当たりました」

2019年から導入を始めたが、傘下の法人全てを一気に切り替えることはせず、9法人ほどを対象に一元化に取り組むことにした。「これまで勤怠管理に何を使ってきたのか、給与計算ソフトやデータベースは何を使っているかを尋ねて、切り替えています」

AWSやAzure等パブリッククラウドへのダイレクト接続を持つリコーのデータセンターサービスを活用し、且つ、リコーマネージドサービス(機器監視、ワンストップサポート&サービス)により運用管理をアウトソーシングすることでNSGホールディングス、各法人ともに機器運用管理に時間を費やすこと無く、勤怠管理システムを運用できている。

合理化効果だけでなく人材活用効果も


メリットは多々現れた。「給与計算に必要な勤怠データも紙ベースの出勤簿で管理するため、集計するのが大変でした。有休の申請も超過勤務の申請も紙で行っていました。こうした手続きが端末からの申請で済むようになって、作業効率が改善しました。同時にペーパーレス化にもつながりました」。24時間の勤務態勢で動いている医療法人や、営業担当の直行直帰が多い法人など業態や働き方に合った手段で勤怠を管理できる柔軟性は、多業種にわたるNSGグループにとってはありがたいとのこと、いずれはグループ全体に広げていきたいという。

多彩な事業2-専門学校事業

多彩な事業2-専門学校事業


個々の働き方を把握できるようになれば、人材の活用面でもメリットが出てくる。OBCの人事・給与奉行を既に個社単位で運用しているグループ法人もあった。一元化されたシステムが導入されれば、有用な人材を臨機応変に見つけ、異動や転籍などを通してより有効に活用できるようになる。

NSGグループではこれまでも、人材活性状況調査を行い、社員にどこでどのように活躍したいかを自己申告してもらい希望に応えてきた。「2000年設立の日本アニメ・マンガ専門学校(JAM)は、新潟県は水島新司さんら大勢のマンガ家を輩出した土地柄で、日本全体でもマンガやアニメの分野は将来性が期待できる、と提案があって実現した事例の一つです」

設立から20年が経って、JAMでは100人を超えるプロマンガ家を輩出した。期待できる分野ということで、グループでは2020年設立の開志専門職大学に、2021年4月開講でマンガ・アニメ学部も設立した。システムの一元化によって人材の有効活用が進めば、こうした新規事業も生まれやすくなる。新潟を豊かにしたいという創業者の思いも大きく進む。

制度変更により会社を越えた一人一人の活躍の場が広がる

多彩な事業3-スポーツ事業

多彩な事業3-スポーツ事業


人材の流動性を促す仕組みも整えてきた。「2003年に一部の法人にあった退職金制度を廃止して、確定拠出年金に移行させたんです」。適材適所を狙って転籍を考えても、以前は辞めて退職金などを受け取ってから再入社する形を取らざるを得なかった。勤務年数に連動した退職金が減ってしまうかもと不安がる人もいた。「確定拠出年金は転籍先にそのまま持って行けます。不安に思う心のハードルも下がります」。外部に任せることで保全や運用についても安心を得られる。

こうした仕組みの上に、勤怠や人事・給与システムの一元化という仕組みが乗ることで、さらに強力なグループシナジーを得られるようになる。それは、新潟という地盤を経済面で豊かにし、文化面での発展を期待させるものとなる。これからも攻めのビジネスを続けるグループを、システムの一元化が支える。

会社概要

会社名

株式会社NSGホールディングス

本社

新潟市中央区古町通二番町495番地

電話

025-210-8571

設立

2012年4月

従業員数

約100人

事業内容

持株会社・NSGグループ全体の経営方針策定、経営管理及びそれに付帯する業務

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