事例集

2021.03.15 06:00

社員の多様な勤務形態に、対応できる管理システムで働き方改革実現中 新潟日報サービスネット(新潟県)

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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


新潟県はこの冬(2020年~2021年)、記録的な豪雪に見舞われた。一日で1メートル以上の積雪がある日もあり、県民の生活に大きな影響を与えた。

「雪に慣れているわれわれでもこのレベルの積雪は大変でした。新聞を配ろうにも雪で配達員が出社できないエリアも出ました。実際に4日間、配達できなかった地域もありました。新聞は何が何でも届ける、ということが昔から言われてきましたが、今はそんな時代ではありません。従業員の安全も大切です。今回は、難しい対応を迫られました」。新潟日報サービスネットの中川史隆社長(取材当時)は、厳しい表情でこう語った。

新潟日報サービスネット 中川史隆社長

新潟日報サービスネット 中川史隆社長


新潟県内で約40万部の発行部数を誇る地方新聞、新潟日報の販売や折込広告などの事業を展開している。新聞事業の中でも、最も読者との接点が近い業務を担っている。新潟市など下越エリアを中心に県内18地域に拠点を設け、約7万部の新聞を配達する一方、販売店に向けて折込広告を供給している。

親会社の新潟日報社総務局長から2019年3月に現職に就任した中川社長。販売畑から社長に着任するケースが多かっただけに「青天の霹靂」(中川社長)だったという。事業内容を一から学び、経営企画に携わった親会社での経験を生かし、経営を指揮している。

紙とネットを両輪にした事業展開


新聞事業とともに新たな事業も展開。その一つがインターネット事業だ。新潟日報サービスネットでは、地域情報や折込広告を掲載するサイト「Gatachira(ガタチラ)」を開設。

新潟のオンリーワン商品を紹介、販売する「ガタ市」

新潟のオンリーワン商品を紹介、販売する「ガタ市」


さらにEC(電子商取引)サイト「ガタ市」を新たに開設するなどネット展開を強化。県民に向けた情報発信の幅を広げている。

「新聞の折込広告は一過性のところがありますが、サイトでは長期的な掲載が可能です。ECサイトで商品販売もできることもクライアントに提案をしています。あくまで紙がメインになりますが、紙とネットの相乗効果により新たなクライアントの獲得につなげています」と中川社長は説明してくれた。

長時間労働の上限規制に対応


一方で、従業員の「働き方」にも細やかな目配りを欠かさない。長時間労働の上限規制強化を受けて導入したのが、「TimePro-VG(タイムプロブイジー)就業」という勤怠管理システムだ。

パートやアルバイトなどの勤務シフトのスケジュール管理や変形労働制などさまざまな勤務形態に柔軟に対応できるシステムで、勤務時間のオーバーをいち早く見つけ出す機能なども備えている。

従業員は約600人。新聞販売や折込広告の二大事業に加え、旅行業やイベントなど多角的に事業を展開しており、働く従業員たちの勤務形態は実に多種多様だ。「配達のスタッフには朝刊時間帯だけ働くケースもあれば、朝刊時間帯の仕事を終え、帰宅した後に夕刊時間帯に働くケースもあります。隔週で勤務するパートタイムのスタッフもいます。それだけに勤務実態を把握しにくい状況でした」と中川社長は語る。

今回の大雪のような事態になれば、家庭やオフィスへの配達までの作業に遅れ、通常の勤務時間帯では間に合わないことも起こる。折込広告は年末年始が書き入れ時。この時期になると、膨大な折込広告を出稿するため、担当者は時間外労働になることもしばしばだ。

こうした多様な勤務形態に対応できるシステムになかなか巡り合えず、勤怠管理は従業員による自己申告制で行われてきたという。従業員の出退勤は手書きで記録し、18ある営業所の所長と事務担当者でいったん集計して本社に送付。さらに本社の総務担当者が給与支給に必要な情報入力などの事務処理を行っていた。営業所の中には100人規模のスタッフを抱えているところもあり、期日になると、担当者は作業に追われていたという。

勤務状況を把握できるのは勤務表の集計の後になり、会社が従業員の「働きすぎ」に気付くまでに時間がかかってしまう。働き方改革への対応が求められる中、スピーディーに対応できる管理体制が急がれた。

勤務状況を「見える化」 残業時間25%減に

イメージイラスト

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リコージャパンから提案を受け、導入したソフトは、多様な勤務形態があった会社の課題をクリアできる機能を備えていた。従業員は出退勤の記録を毎日、タイムカードで申告。システムがつながっているため、一人ひとりの勤務状況をリアルタイムで記録できる。勤務状況はシステム内で自動的に集計され、勤務状況を「見える化」してくれる。

これまで、月ごとに集計するまで見つからなかった打刻のミスなども翌日にはシステムが知らせてくれる。従業員もそれぞれの勤務状況が把握でき、勤務時間を自己管理できる。会社も働きすぎの社員をスピーディーにチェックできるため、定時退社や休暇取得を促して未然に超過勤務を防ぐことも可能だ。

新システムの導入後、会社全体で時間外労働が約25%減少した。部署(職種)によっては、約4割の削減につながったという。「従業員のみなさんは時間外を減らすことで自分のための時間を作ることができます。会社としても時間外手当が削減でき、経営への効果も上がっています」と中川社長は評価している。

働き方改革の一環として設けられた労働時間の上限規制が2020年4月に中小企業に適用されて間もなく1年が経過しようとしている。時間外労働に対する社会の目は厳しく、「働きすぎ」を未然に防ぐことは企業経営者の重要な使命だ。一方で、対応を後回しにしている経営者も少なくないのではないか。

パートやアルバイトなど多くの従業員を抱える企業の中には、一人ひとりの出退勤の管理を大きなストレスに感じるところがあるかもしれない。だが、ICTを活用することで手間や時間をかけずに運用することが可能だ。システムの組み合わせによっては、勤怠管理だけでなく、さまざまな業務の効率化や平準化にもつなげられるものもある。「働き方改革」はもう待ったなしだ。未対応の企業経営者は早急な対応が求められる。

会社概要

会社名

株式会社新潟日報サービスネット

本社

新潟市西区流通3丁目1-1

電話

025-233-3311(代表)

設立

1965年11月

従業員数

674人

事業内容

新聞販売・折込広告・旅行・オウンドメディア「Gatachira」運営・ECモール「ガタ市」運営など

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