事例集

2021.03.04 06:00

ドローン測量のパイオニア、出先での大容量データ転送の方法は? 技術開発コンサルタント (埼玉県)

ドローン測量のパイオニア、出先での大容量データ転送の方法は? 技術開発コンサルタント (埼玉県)
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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


これまで紙に図面を描く「2次元」が主流だった土木測量・設計の世界。埼玉県北部の深谷市にある株式会社技術コンサルタントは、2014年にいち早くドローンを使った測量を開始。ドローンに搭載したカメラやレーザースキャナーから得る3Dデータを使用した設計に力を入れ、注目されている。

創業以来、設計業務の大幅改善を推進した技術開発コンサルタントの飯野英雄社長は、積極的にICTに取り組んできた。2014年にはすでにドローンに着目し、UAV(無人航空機)測量を始めている。
「当時はまだ趣味の延長線上の位置づけだったドローンですが、私はこの技術が測量の世界を一変すると確信し、大型ドローン導入や写真測量をスタートさせました」

風の影響もそれほど受けずブレない写真・・・これは・・・


導入の背景には、同社は当時大規模な造成現場の設計を担当することが多く、広範囲に写真を撮ったり、造成計画をしたりすることが必要だった。元々ラジコンが趣味だった飯野社長は、ドローンを見て仕事に活かすことを思いつき、すぐに導入。上空から撮影したところ、風の影響もそれほど受けずブレない写真が撮れたという。
「その頃から、世界のどこかの企業でドローンの写真測量をやっているという話は出ていましたし、使えそうだなと思って調べてみたんです。すると、世界の6~7割のシェアを占めるDJI(中国のドローンメーカー)製が、一眼レフのカメラを積んで地上の写真を撮ると、それが測量用のデータになるということがわかり、すぐに導入を始めたのです」

同社で使用しているドローン機材の1部

同社で使用しているドローン機材の1部

手探りで始めたドローン測量、3D化で新たな展開


今でこそ、国土交通省が整備した作業規定が存在するが、飯野社長は手探りで、試行錯誤を繰り返してやり方を確立していった。当時自分たちが行った方法と、国交省のマニュアル(作業規定)などが類似していたというから驚きだ。
その後、ドローンにカメラだけでなくレーザースキャナーを搭載してデータを収集する手法で、大規模な造成現場や山林などの現況測量をもとにした3D設計を実施、さまざまな民間事業から公共事業まで営業展開し、着実に実績を上げてきている。
また同じころ、測量・設計データは2Dから3D化へとシフトしていき、同社のCADなども本格的な3D化へ移行していった。
「今までは測量しても、平面のポイント(x、y座標点)データしか扱えない状況でした。それが現在では、撮影時のドローンの位置情報や、GPSなどの人工衛星から得られる情報などを組み合わせることで、X、Y、Zの座標軸データをもつ無数のポイント(点)の群れ、点群で対象を立体的に表すことができます(3次元点群データ)。そういうものが、レーザーで瞬時に測れるのです」
3D点群データがあると、たとえば傾斜地に土を盛って造成するときに、いつ計画の高さになるか、日々動く土量を監視する必要があった。「これまでは日々の測量をもとにした施工管理が大変でした。しかし今は、運土計画を3D化することで精度の高い施工管理が可能になりました」。3D化=“見える化”によりドローンの重要性が認められ、発注数も増えた。

特殊なCADソフトの重いデータを社外で動かす方法は?

3次元点群データを用いて作成したCAD画像(導入当初)

3次元点群データを用いて作成したCAD画像(導入当初)


ドローン測量で得た3次元(3D)点群データを、これらの3DCADで処理するためには、会社のコンピュータで作業する必要があり、外では作業ができなかった。データ量が膨大なためだ。飯野社長はコロナ禍になる前から、いざというときには外で動かせるようにしておかなければならないと考えていたという。
VPN(仮想専用線)については15年前から独自に自社サーバー上で運用してきたが、昨年本格的な「FortiGate」を追加採用、そしてセキュリティ対策として「SKYSEA Client View」の導入を決めた。
「ある測量現場に、社員数名が1週間出張作業をすることになった場合、1日や2日は天候が悪くて作業ができないことがよくあります。その場合内業も同時に行い日程を詰めなければいけないのですが、宿泊先のホテルからVPN接続のリモートで、持参したパソコンを使って作業を止めずに対応ができました。在宅勤務だけでなくリモートワークも想定はしていましたが、こうした利点が得られたのは大きいですね」
これらの導入を裏で支えた立役者の1人が、従業員であり長女の綾さんだ。導入費を中小企業庁の「ものづくり補助金」を受けることで捻出するために、弁理士さんに助言をもらいながら煩雑な申請書類を作成し、採択にこぎつけた。子どもの頃には仕事に奔走していた父と一緒にいる時間は少なく、大学でも土木を学んだわけではないが、今は1級土木施工管理技士やドローンパイロットの資格を取得し、社長である父を支えている。

飯野社長と、社員で長女の綾さん。入社して父の苦労がわかったそうだ

飯野社長と、社員で長女の綾さん。入社して父の苦労がわかったそうだ

ドローンで地域の自治体と災害協定、地域への貢献活動


飯野社長は、こうしたドローンの測量技術を、最初から仕事だけに使おうとはしていなかった。たとえば同社のある深谷市、そして東松山市、寄居町、美里町、小川町と同社は災害協定を結んでいる。2019年10月に埼玉県にも甚大な被害をもたらした大型台風の経験が背景にある。災害時にはドローンで写真や動画などをリアルタイムに情報提供したり、温度の違いを検知出来るカメラを搭載して生存者を探すことや山林火災にも役立てることができるそうだ。
また飯野社長は2018年には、近隣の小学校でドローンと測量の授業を行った。創立60周年の記念に、ドローンで校舎等を撮影してほしいとの依頼があり、飯野社長は即快諾。その代わりに、測量のことを知ってもらう授業をしたいと打診し、実現した。飯野社長も60歳になる年のことだ。
「地域に貢献することで、会社の信頼にもつながることはもちろんですが、商売につながるかどうかは別の話、先の話です。自分がやってみたいとチャレンジしたことがいずれ何かのかたちで人のためになればいいなと思っています」

日々生活の中で、創意工夫の気概を常に持ち、役に立つこと、できることは何でもやってみる、という飯野社長。その姿勢は、従業員や顧客、そして地域住民の心に確実に響いている。今後の活動に目が離せない会社だ。

ドローンで撮影した、同社の近隣小学校【開校60周年記念】(子どもたちのデザインをもとにGoogleEarth上でデータを作成、測量の特別授業にて制作)

ドローンで撮影した、同社の近隣小学校【開校60周年記念】(子どもたちのデザインをもとにGoogleEarth上でデータを作成、測量の特別授業にて制作)

会社概要

会社名

株式会社技術開発コンサルタント

本社

埼玉県深谷市上野台440

電話

048-572-8226

設立

1986年4月

従業員数

27人

事業内容

土木設計コンサルタント、測量・調査、企画開発、情報システム、環境アセスメント

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