コラム

2022.02.08 06:00

雇用調整助成金とは|特例措置の助成率や上限額、申請方法など詳しく解説

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この記事に書いてあること

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、売上が減少するなど事業の縮小を余儀なくされたという事業主も少なくありません。この記事では、雇用調整助成金について理解を深めたい人に向けて解説しています。また、助成金の申請方法や特例措置の概要、まん延防止等重点措置にも触れているため、助成金を活用する際の参考にしてください。

雇用調整助成金とは

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって事業を縮小せざるを得なくなった事業主をサポートするために設けられたのが、雇用調整助成金という制度です。従業員を雇用し続けるためにかかる費用の一部を負担してもらえる制度で、助成金は労働者個人に給付されるのではなく事業主に支払われます。自社で働く労働者のほかに、他社へ出向する自社の労働者も助成金制度の対象に含まれます。
また、すべての事業者が助成金の対象になるわけではありません。労使間の協定に基づいて労働者を休業させるなどの雇用調整を行った事業主のみに適用されます。

雇用調整助成金の特例措置について

特例措置によって、雇用調整助成金の助成率や助成金の上限金額はさらに引き上げられます。従来では、賃金の締め切り期間は2020年4月1日~12月末日までとされていましたが、2021年12月現時点では締め切り期間は2022年3月末日まで延長されています。特例措置の詳細について、以下で説明します。

参考:厚生労働省 「対象期間」の延長のお知らせ


特例措置は2022年12月まで延長されている

特例措置を受け、対象の賃金の締め切りは2022年3月末日までに延長されました(2021年12月現時点)。さらに、厚生労働省は対象としていた期間を2023年3月末日まで延長する方針を発表しています。

助成内容や対象

雇用調整助成金の助成率は、企業の規模によって異なります。大企業は3分の2で、中小企業では5分の4となっています。2020年1月24日以降に労働者を解雇等の対応を行っていない場合は、大企業が4分の3、中小企業が10分の9です。また、上限額が設けられており、対象となる労働者一人あたり1日15,000円まで受けとれます。

雇用調整助成金「特例措置」の条件や助成対象

雇用調整助成金の特例措置を受けるうえで、どのような条件や助成対象があるのか解説します。

特例措置の条件

雇用調整助成金の特例措置の条件として、助成対象となる休業に該当していなければ助成金は給付されません。ポイントとなるのは、休業の定義や経済上の理由について把握しておくことです。休業の定義は、本来、所定労働日だった日に労働者を休ませることです。経済上の理由とは、新型コロナウイルス感染症の影響によって経営状況が悪化したことを指します。
特例措置を受けるためには、売上や客数の減少などによって事業を縮小しなければならず、労働者を休業させるなどの対応を行っていることが求められます。ただし、休業手当が平均賃金の60%を下回っている場合は、特例措置の対象から外れるため注意が必要です。

対象となる事業主

特例措置はすべての事業主を対象としているわけではありません。対象は、コロナ禍において、売上が大幅に減少かつ雇用保険が適用される事業主です。申請の手続きを行うためには、以下の申請条件を満たす必要があります。
●新型コロナウイルス感染症の影響で事業を縮小しなければならない状況にある
●1ヶ月間の売上もしくは生産数などが、前年の同月比5%を超える減少率になっている
●労使間の協定に基づいて労働者を休業させるなどの措置をとったうえで、労働者に休業手当などを支給している

対象となる労働者

特例措置に該当しない雇用調整助成金の対象は雇用保険被保険者の休業のみですが、特例措置では正規労働者だけでなく非正規労働者も含まれます。非正規労働者の休業では、緊急雇用安定助成金が対象になります。通常の雇用調整助成金を申請しても対象から外れるので申請する際は注意しましょう。各制度で対象となる労働者は以下のとおりです。

助成金制度の種類 対象となる労働者
雇用調整助成金 正規労働者(雇用保険被保険者)
緊急雇用安定助成金 非正規労働者(雇用保険被保険者以外)

まん延防止等重点措置とは?

新型コロナウイルス感染症にかかわる特別措置法が改正されたことを受け、2021年2月に新設されたのがまん延防止等重点措置です。感染が拡大する地域を対象に集中的な施策を講じることで、全国規模での緊急事態宣言の発令を防ぐ目的で実施されます。
緊急事態宣言は各都道府県のすべてのエリアが対象ですが、まん延防止等重点措置では、市区町村などのエリアを細かく指定して対策を講じる点が両者の違いです。また、緊急事態宣言で可能な各自治体の知事による企業への休業要請は行えません。可能な措置は、営業時間の短縮に関する要請や命令です。

まん延防止等重点措置への特別措置

まん延防止等重点措置の実施期間は、各都道府県知事が判断するため各地域によって異なります。事前に確認しておくことが大切です。都道府県知事から営業時間の短縮などの要請を受け、従った事業主は雇用調整助成金を申請できます。営業時間の短縮などにおける助成率は10分の10となり、1日あたり15,000円まで受けとれます。
助成率は、解雇などの措置をとっている場合は5分の4まで、解雇などの措置をとっていない場合は10分の10です。

雇用調整助成金の申請手続について

具体的な手続きの流れや申請に必要な書類などについて解説します。

雇用調整助成金を申請するには

雇用調整助成金の申請は、労使協定の締結はもちろん、所定労働日に労働者を休業させる必要があります。申請は、オンラインもしくは事業所の管轄内の労働局やハローワークで行えます。申請期限は「支給対象期間」の最終日の翌日から起算して2か月以内となっているので、期間中に申請するようにしましょう。
オンラインで申請する場合は、厚生労働省の特設サイトの「雇用調整助成金等オンライン受付システム」を利用できます。
参考:厚生労働省 | 雇用調整助成金・産業雇用安定助成金オンライン受付システム

「支給申請」に必要な書類

雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書 売上の減少などを証明するための書類(会計システムの帳簿、売上簿など)
支給要件確認申立書・役員等一覧 役員名簿及び役員一覧表
休業・教育訓練実績一覧表 自動計算が可能な様式を用いる
助成額算定書
(休業等)支給申請書
休業協定書

労働組合あり:組合員名簿
労働組合なし:労働者代表選任書

事業所の規模を確認する書類 労働者数や資本額を確認できる書類
労働・休日の実績に関する書類 労働者を休業させた日や時間を確認できる書類
休業手当・賃金の実績に関する書類 支払った休業手当や賃金を確認できる書類

申請の流れ

雇用調整助成金の申請手続きから支給までは約3週間かかるといわれています。申請から支給までの流れは、以下のとおりです。
1. 労使協定を締結する
2. 労働者に対して休業などをさせ、休業手当などを支給する
3. 雇用調整助成金の支給申請を行う ※非正規労働者の休業は緊急雇用安定助成金を申請する
4. 労働局による審査
5. 支給決定後に指定口座へ振込

雇用調整助成金に関する問合せ先

雇用調整助成金に関して不明点や疑問などを確認したい場合は、厚生労働省の公式LINEアカウントや各都道府県の労働局・ハローワークの窓口、雇用調整助成金専用のコールセンターなどに問合わせしましょう。主な問合せ先の詳細は、以下のとおりです。

厚生労働省公式LINEアカウント 友だち追加後、「情報を探す」の「雇用調整助成金の特例措置」から、各種メニューを閲覧できる
各都道府県の労働局・ハローワーク 事業所の管轄内にある労働局やハローワークの窓口で対応(都道府県内ではエリア別に対応している地域もあり)
雇用調整助成金コールセンター 電話番号:0120-60-3999
受付時間:9:00~21:00(土日・祝日も可)

参考:雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省
参考:新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言・まん延防止等重点措置|内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室

まとめ

コロナ禍で国や自治体などから営業時間の短縮や休業を要請された場合は、上記の手続き方法などを参考に助成金を申請しましょう。申請の対象期間は随時更新されているため、最新情報や事業活動に役立つ情報を入手できるWebメディアも参考にしてみてください。

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記事執筆

中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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