コラム

2021.11.11 06:00

ハローワークからの雇用で利用できる助成金とは|要件や申請の手続きまで詳しく紹介

ハローワークからの雇用で利用できる助成金とは|要件や申請の手続きまで詳しく紹介
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この記事に書いてあること

実は、雇用に関係する助成金は、条件を満たしていれば申請が可能となり、原則受給されます。申請しても採択されるか分からない補助金とは異なり、申請する条件を満たしていなければならないためです。また、公共職業安定所(愛称:ハローワーク)を通じて申請できる雇用助成金も多くあります。

今回は、雇用助成金の申請条件や、ハローワークと雇用助成金の関係、活用できる雇用助成金の詳細などを紹介していきます。

雇用関係の助成金の特徴

厚生労働省が提供する助成金は、雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上などに役立つものが多数あります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により雇用環境は、サービス業・飲食業・宿泊業等に大きな影響がありました。これを受けて、ハローワークでは、多くの追加支援策に取り組んでいます。支援策の幅が広いため、取組内容や対象者から簡単に探すことができる、厚生労働省が公開している助成金検索ツールの利用が便利です。

【雇用関係助成金検索ツール】

返済義務がない

助成金は、補助金と同様に返済の義務がありません。要件を満たせば利用することが出来ます。政府は、雇用に対して積極的に支援していることから、従業員の雇い入れや雇用維持、従業員の職業訓練、雇用環境の整備が主な対象となります。対象者別としては、就職氷河期世代、有期契約労働者、高齢者、若年者、障害者、特定業種従事者などとなっていますので、一概にすべての雇用が助成金の対象要件となるわけではありません。

なお、受給される時期については、申請後しばらくしてからになりますので、それまでは一時的に費用負担が必要になります。また、助成金や補助金の会計処理は、本業の売上以外の収入にあたるため「雑収入」勘定で計上します。

社会情勢に応じて内容や種類が変化する

社会情勢により雇用の問題は大きく異なります。例えば、就職活動が難航して正社員で働くことができずに非正規社員が増加したことが社会問題化した「ロストジェネレーション世代」や「就職氷河期世代」(バブル崩壊による不景気が原因で、1993年〜2005年間に厳しい就職活動をすることになった世代のこと)支援策があります。

また、産業の新陳代謝を目的とする起業への支援やスタートアップ企業への支援などは、創業期には、優秀な人材確保が難しいという課題への対応が必要となります。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響への雇用不安への対応などその時々の課題に対応した支援策が拡充されています。

申請には条件がある

雇用助成金の申請には、条件があるため説明します。なお、厚生労働省が掲載している「各雇用関係助成金に共通の要件等」からも確認することが可能です。

【各雇用関係助成金に共通の要件等】

雇用助成金を利用するための条件とは

雇用関係助成金を受給する事業主(事業主団体を含む)は、各助成金の解説ページ中の「対象となる事業主」に記載した要件を満たし、加えて次の1~3の要件のすべてを満たすことが必要となります。

  • 1.

    雇用保険適用事業所の事業主であること

  • 2.

    支給のための審査に協力すること

  • 3.

    労働関係法令の違反がない

  • 4.

    審査に必要な書類(就業規則や出勤簿など)を作成・整備・保管している

  • 5.

    申請期間内に申請を行うこと

雇用保険適用事業所の事業主であること

雇用関係助成金の財源は、労働保険であるため、加入していることが受給条件の基本になります。労働保険(雇用保険、労災保険)は、労働者を1人でも雇えば、原則として適用されます。該当する労働者の条件として、「 1週間の所定労働時間が20時間以上であること」や「31日以上の雇用見込みがあること」であり、パートやアルバイトなど雇用形態に関わらず要件に該当すれば加入する必要があります。雇用保険の加入手続きは、ハローワークにて行いますので、相談しましょう。

【雇用保険の被保険者】

  • 1.

    一般被保険者:下記の3つの被保険者以外の被保険者

  • 2.

    高年齢被保険者:65歳以上の被保険者で、下記2つの被保険者以外の被保険者

  • 3.

    短期雇用特例被保険者:季節的に雇用される場合で、次のいずれにも該当しない人

  • 4か月以内の期間を定めて雇用される

  • 1週間の所定労働時間が30時間未満

  • 4.

    日雇労働被保険者:日々雇用される人、または30日以内の期間を定めて雇用される人

【雇用保険の適用除外の主な要件】

  • 1.

    1週間の所定労働時間が20時間未満

  • 2.

    同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれない

  • 3.

    季節的に雇用される場合で、次のいずれかに該当する場合

  • 4か月以内の期間を定めて雇用される

  • 1週間の所定労働時間が30時間未満

  • 4.

    学校教育法で規定される学校・専修学校・各種学校の学生または生徒(昼間学生)

支給のための審査に協力すること

雇用関係助成金を受けるためには、支給のための審査に協力することが支給要件として設定されています。なお、審査内容としては「労働局の実地調査」や「支給・不支給の決定に必要な書類(就業規則、出勤簿、労働保険料など)の確認」などがあります。労働局からこれらの調査や書類の提出を求められた際に応じる必要があります。

なお、次の1~3の要件のすべてを満たすことが必要となります。

  • 1.

    支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管していること

  • 2.

    支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること

  • 3.

    管轄労働局等の実地調査を受け入れることなど

※労働局とは、厚生労働省管轄下にあり、労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)の上部組織にあたります。

組織的には、上から、労働基準局>労働局>労働基準監督署・ハローワーク

労働局は、各都道府県や地方に複数存在し、労働者からの相談に対して受付を行っています。

労働関係法令の違反がない

労働関係法令とは、以下の法律を指し、これらの違反が無いことが条件となります。

・労働基準法

労働者の賃金や労働時間、休暇等の主な労働条件について、最低限の基準を定めた法律です。すべての労働者(パートタイム労働者等を含む)に適用されます。

・労働契約法

有期労働契約の反復更新の下で生じる雇止めなどに対する不安を解消し、働く方が安心して働き続けることができるようにするため、有期労働契約の適正な利用のためのルールが定められています。

・次世代育成支援対策推進法

労働関係の権利義務を定める労働契約に関して、使用者と労働者の間の基本的なルールをわかりやすい形で明らかにした法律です。

・育児・介護休業法

育児又は家族の介護を行う労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるよう、事業主が講ずべき支援措置等を定めた法律です。

・労働組合法

集団的な労使関係を規律する最も基本的な法律です。労働組合の資格、不当労働行為・労働委員会・労働協約などについて規定しています。

・個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律

個別労働紛争の未然防止、迅速な解決を促進することを目的とした法律です。この法律に基づいて、無料で個別労働紛争の解決援助サービスを提供しています。

・労働安全衛生法

労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的に施行された法律です。

・労働者災害補償保険法(労災法)

労働者の業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に必要な保険給付を行うことを定めた法律です。

・雇用保険法

労働者が失業した場合に支給される失業給付のほか、雇用の安定と就職の促進を図るために、教育訓練給付、雇用継続給付などについて定めた法律です。

・過労死等防止対策推進法

過労死等の防止のための対策を推進し、過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的に施行された法律です。

審査に必要な書類(就業規則や出勤簿など)を作成・整備・保管している

雇用関係助成金を受給するため、その審査に必要な書類(就業規則や出勤簿など)を作成・整備・保管していることが必要となります。出勤簿は、日数の記録だけでなく、タイムカードやパソコンなどで労働時間を管理した記録が必要になります。

申請期間内で申請を行う

雇用関係助成金は、それぞれ申請期間が定められていますので、期限内に申請する必要があります。助成金によっては、申請に必要な書類が多いことから、想定以上に書類準備に時間を要すると考えておきます。また、申請不備を指摘されることも想定して、早めに提出するようにします。

ハローワークと雇用助成金の関係とは

一部の助成金の条件にハローワークの利用がある

雇用関係助成金の種類によっては、ハローワークの利用が求められることがあります。これは、先にも述べたようにハローワークの上部組織が労働局や厚生労働省であり、ハローワークが「雇用保険の適用事業所」の認定書類提出先となっているためです。

書類の申請先がハローワークの場合も多い

初めて適用事業所になった場合の手続きとして、雇用保険の他、労災保険にも加入することになります。なお、労災保険の保険料は事業主のみ負担し、労働者である被保険者の保険料負担はありません。一元適用事業(農林水産業・建設業など以外)と事業の実態から労災保険と雇用保険の適用を区別する必要がある二元適用事業(農林水産業・建設業など)により申請手続きが変わります。

◯一元適用事業(農林水産業・建設業など以外)

1.保険関係成立届

提出期限:保険関係が成立した日の翌日から10日以内

提出先:所轄の労働基準監督署

2.概算保険料申告書

提出期限:保険関係が成立した日の翌日から50日以内

提出先:所轄の労働基準監督署または所轄の労働局または日本銀行(銀行・郵便局などでも可)

3.雇用保険適用事業所設置届

提出期限:設置の日の翌日から10日以内

提出先:所轄のハローワーク

4.雇用保険被保険者資格取得届

提出期限:被保険者ごとに資格取得の事実があった日の翌月10日まで

提出先:所轄のハローワーク

※賃金台帳、労働者名簿、出勤簿またはタイムカード、他の社会保険の資格取得関係書類、雇用契約書等雇用期間を確認できる資料を合わせて提出する。

◯二元適用事業(農林水産業・建設業など)

【労災保険に関する手続き】

1.労働保険保険関係成立届

提出期限:保険関係が成立した日の翌日から10日以内

提出先:所轄の労働基準監督署

2.労働保険概算保険料申告書:労働基準監督署

提出期限:保険関係が成立した日の翌日から50日以内

提出先 :所轄の労働基準監督署または所轄の労働局または日本銀行(銀行・郵便局などでも可)

【雇用保険に関する手続き】

1.保険関係成立届

提出期限:保険関係が成立した日の翌日から10日以内

提出先:所轄のハローワーク

2.概算保険料申告書

提出期限:保険関係が成立した日の翌日から50日以内

提出先:所轄の都道府県労働局または日本銀行(銀行・郵便局などでも可)

3.雇用保険適用事業所設置届

提出期限:設置の日の翌日から10日以内

提出先:所轄のハローワーク

4.雇用保険被保険者資格取得届

提出期限:被保険者ごとに資格取得の事実があった日の翌月10日まで

提出先:所轄のハローワーク

※賃金台帳、労働者名簿、タイムカード、他の社会保険の資格取得関係書類、雇用契約書等雇用期間を確認できる資料を合わせて提出します。

その他に変更があった場合には、「労働保険名称、所在地等変更届」は、労働基準監督署への提出が必要です。ハローワークへ必要な提出書類は、「雇用保険被保険者離職証明書」「雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書」「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」となっています。提出が必要になる書類は、以下の、厚生労働省の「手続き一覧表」が参考になります。

ハローワーク雇用で利用できる助成金を紹介

雇用継続給付

◆高年齢雇用継続給付

・概要

高年齢雇用継続給付は、「高年齢雇用継続基本給付金」と基本手当を受給し、60歳以後再就職した場合に支払われる「高年齢再就職給付金」とに分かれますが、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。

・支給額

支給額は、例として、高年齢雇用継続基本給付金について、60歳時点の賃金が月額30万円であった場合、60歳以後の各月の賃金が18万円に低下したときには、60%に低下したことになりますので、1か月当たりの賃金18万円の15%に相当する額の2万7千円が支給されます。

◆育児休業給付

・概要

育児休業給付には、育児休業期間中に支給される「育児休業給付金」があります。 育児休業給付は、被保険者が原則1歳又は1歳2か月未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、原則休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある完全月が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます(その他の条件があるため詳しくは以下「ハローワークインターネットサービス」を確認してください)。

・支給額

育児休業給付金の支給額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額となっています。

◆介護休業給付

・概要

家族を介護するための休業をした被保険者で、原則として介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上ある方が支給の対象となります(その他の条件があるため詳しくは以下「ハローワークインターネットサービス」を確認してください)。

・支給額

支給額は、原則として休業開始時賃金日額×支給日数×67%(1か月ごと)です。

雇用継続給付については、以下の「ハローワークインターネットサービス」を確認してください。

雇入れ関係の助成金(特定求職者雇用開発助成金)

特定の求職者を雇用した際に助成金が支給されます。主な支給要件として、いずれも以下2点を満たす必要があります。

(1)ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること

(2)雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること。

◆特定就職困難者コース

・概要

高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。

・支給額

短時間労働者以外の者・[1]高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等

支給額

60万円(50万円)

助成対象期間

1年(1年)

支給対象期ごとの支給額

30万円×2期(25万円×2期)

短時間労働者以外の者・[2]重度障害者等を除く身体・知的障害者

支給額

120万円(50万円)

助成対象期間

2年(1年)

支給対象期ごとの支給額

30万円×4期(25万円×2期)

短時間労働者以外の者・[3]重度障害者等(※3)

支給額

240万円(100万円)

助成対象期間

3年(1年6か月)

支給対象期ごとの支給額

40万円×6期(33万円※×3期)※第3期の支給額は34万円

短時間労働者(※4):[4] 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等

支給額

40万円(30万円)

助成対象期間

1年(1年)

支給対象期ごとの支給額

2-万円×2期(15万円×2期)

短時間労働者(※4):[5]重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者

支給額

80万円(30万円)

助成対象期間

2年(1年)

支給対象期ごとの支給額

20万円×4期(15万円×2期)

◆生涯現役コース

・概要

雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、一年以上継続して雇用することが確実な労働者(雇用保険の高年齢被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。

・支給額

短時間労働者以外の者

支給額

70万円(60万円)

助成対象期間

1年(1年)

支給対象期ごとの支給額

35万円×2期(30万円×2期)

短時間労働者(※2)

支給額

50万円(40万円)

助成対象期間

1年(1年)

支給対象期ごとの支給額

25万円×2期(20万円×2期)

◆発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

・概要

発達障害者や難治性疾患患者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。

・支給額

短時間労働者以外の者・中小企業

支給額

120万円

助成対象期間

2年間

支給対象期ごとの支給額

第1期:30万円、第2期:30万円、第3期:30万円、第4期:30万円

短時間労働者以外の者・中小企業以外

支給額

50万円

助成対象期間

1年間

支給対象期ごとの支給額

第1期:25万円、第2期:25万円

短時間労働者(※)・中小企業

支給額

80万円

助成対象期間

2年間

支給対象期ごとの支給額

第1期:20万円、第2期:20万円、第3期:20万円、第4期:20万円

短時間労働者(※)・中小企業以外

支給額

30万円

助成対象期間

1年間

支給対象期ごとの支給額

第1期:15万円、第2期:15万円

◆被災者雇用開発コース

・概要

平成23年5月2日以降、東日本大震災による被災離職者や被災地求職者を、ハローワーク等の紹介により、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れる事業主(1年以上継続して雇用することが確実な場合に限る。)に対して助成されます。

・支給額

短時間労働者以外の者

支給額

60万円(50万円)

助成対象期間

1年(1年)

支給対象期ごとの支給額

30万円×2期(25万円×2期)

短時間労働者(※2)

支給額

40万円(30万円)

助成対象期間

1年(1年)

支給対象期ごとの支給額

20万円×2期(15万円×2期)

◆就職氷河期世代安定雇用実現コース

・概要

いわゆる就職氷河期に正規雇用の機会を逃したこと等により、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な方をハローワーク等の紹介により、正規雇用労働者として雇い入れる事業主に対して助成されます。

・支給額

本助成金は、対象期間を6ヵ月ごとに区分し、一定額を支給されます。支給額は企業規模に応じて1人あたり下表のとおりです。

大企業

支給対象期間

1年

支給額

第1期25万円、第2期25万円

支給総額

50万円

中小企業

支給対象期間

1年

支給額

第1期30万円、第2期30万円

支給総額

60万円

特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)

◆生活保護受給者等雇用開発コース

・概要

ハローワークまたは地方公共団体において、通算して3ヶ月を超えて支援を受けている生活保護受給者や生活困窮者を、ハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成します。

・支給額

短時間労働者以外の者

支給額

60万円 (50万円)

助成対象期間

1年(1年)

支給対象期ごとの支給額

30万円×2期(25万円×2期)

短時間労働者(※)

支給額

40万円 (30万円)

助成対象期間

1年(1年)

支給対象期ごとの支給額

20万円×2期(15万円×2期)

※「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者をいいます。

特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)

トライアル雇用助成金

職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成するものであり、それらの求職者の適性や業務遂行可能性を見極め、求職者および求人者の相互理解を促進すること等を通じて、その早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。

◆一般トライアルコース

・支給期間

(1)支給対象者のトライアル雇用に係る雇入れの日から1か月単位で最長3か月間(以下「支給対象期間」という)を対象として助成が行われます。

(2)この支給対象期間中の各月の月額の合計額がまとめて1回で支給されます。

・支給額

本助成金の支給額は、支給対象者1人につき月額4万円です。ただし、対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円となります。また、トライアル雇用に係る雇用期間が1か月に満たない月がある場合等は、その月分の月額は、それぞれに示す期間中に実際に就労した日数に基づいて次のハによって計算した額となります。

◆障害者トライアルコース

・概要

ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、就職が困難な障害者を一定期間雇用することにより、その適性や業務遂行可能性を見極め、求職者及び求人者の相互理解を促進すること等を通じて、障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。

・支給額

支給対象者1人につき対象労働者が精神障害者の場合、月額最大8万円を3か月、月額最大4万円を3か月(最長6か月間)。これ以外の場合、月額最大4万円(最長3か月間)。

◆障害者短時間トライアルコース

・概要

継続雇用する労働者として雇用することを目的に、障害者を一定の期間を定めて試行的に雇用するものであって、雇入れ時の週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし、障害者の職場適応状況や体調等に応じて、同期間中にこれを20時間以上とすることを目指すものをいいます。

・支給額

支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12か月間)

◆新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース

・概要

新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた方で、離職期間が3か月を超え、かつ就労経験のない職業に就くことを希望する求職者を、無期雇用契約へ移行することを前提に、一定期間試行雇用(トライアル雇用)を行う事業主に対して助成することにより、離職者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。

・支給額

新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース:支給対象者1人につき月額4万円が支給されます。

新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース:支給対象者1人につき月額2万5千円が支給されます。

その他の助成金を紹介

雇用環境の整備関係等の助成金:人材確保支援助成金

◆雇用管理制度助成コース

事業主が、雇用管理制度(諸手当等制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度(保育事業主のみ))の導入等による雇用管理改善を行い、離職率の低下に取り組んだ場合に助成するものです。

◆介護福祉機器助成コース

護事業主が介護福祉機器の導入等を通じて、離職率の低下に取り組んだ場合に助成対象となります。

◆中小企業団体助成コース

事業主団体が、その構成員である中小企業者(以下「構成中小企業者」という)に対して労働環境の向上を図るための事業を行う場合に助成するものであり、雇用管理の改善を推進し、雇用創出を図ることを目的としています。

◆人事評価改善等助成コース

生産性向上に資する人事評価制度を整備し、定期昇給等のみによらない賃金制度を設けることを通じて、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る事業主に対して助成するものであり、人材不足を解消することを目的としています。

◆外国人労働者就労環境整備助成コース

外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識の不足や、言語の違いなどから労働条件・解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向にあります。この助成金は、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して、その経費の一部を助成するものです。

◆テレワークコース

良質なテレワークを新規導入・実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主が助成対象となります。

◆通年雇用助成金

季節労働者を通年雇用する

雇用環境の整備関係等の助成金:65歳超雇用推進助成金

◆65歳超継続雇用促進コース

65歳以上への定年引上げ等を実施する

◆高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高年齢者の雇用管理制度を整備する

◆高年齢者無期雇用転換コース

高年齢の有期契約労働者を無期雇用に転換する

◆高年齢労働者処遇改善促進助成金

60歳から64歳までの高年齢労働者に適用される賃金規定等の増額改定を実施する

雇用環境の整備関係等の助成金:キャリアアップ助成金

令和3年4月から正社員化コース、諸手当制度等共通化コース(令和2年度における諸手当制度共通化コースの名称変更)、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コースに関する要件の変更、健康診断制度コースの諸手当制度等共通化コースへの統合および障害者正社員化コースが新設されました。

◆正社員化コース

有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用する

◆障害者正社員化コース

障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換する

◆賃金規定等改定コース

すべてまたは(雇用形態別等)一部の有期雇用労働者等(契約社員・パート・派遣社員など)の基本給の賃金規定等を改定し、2%以上増額させる

◆賃金規定等共通化コース

有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を作成し、適用する

◆諸手当制度等共通化コース

有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用するまたは有期雇用労働者等を対象とする法定外の健康診断制度を新たに設け、延べ4人以上実施する

◆選択的適用拡大導入時処遇改善コース

労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置の導入に伴い、その雇用する有期雇用労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組を実施し、当該措置により新たに被保険者とする

◆短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用する

仕事と家庭の両立支援関係等の助成金:両立支援等助成金

◆出生時両立支援コース

男性の育児休業等取得推進に取り組む

◆介護離職防止支援コース

中小企業が仕事と介護の両立支援に取り組む

◆育児休業等支援コース

中小企業が労働者の円滑な育児休業取得・職場復帰に取り組む

◆女性活躍加速化コース

300人以下の中小企業が女性が活躍しやすい職場環境を整備し、目標を達成する

◆事業所内保育施設コース

事業所内保育施設を設置・増設・運営する

◆新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として休業が必要とされた妊娠中女性労働者に有給の休暇を取得させる

◆不妊治療両立支援コース

不妊治療のための休暇制度等を利用しやすい雇用環境整備に取り組み、不妊治療を受けている労働者に休暇制度等を利用させる

人材開発関係の助成金

◆特定訓練コース

OJTとOff-JTを組み合わせた訓練、若年者への訓練、労働生産性向上に資する訓練等を実施する

◆一般訓練コース

職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を実施する

◆教育訓練休暇付与コース

有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得する

◆特別育成訓練コース

有期契約労働者等(契約社員・パート・派遣社員など)に対して職業訓練を行う

◆建設労働者認定訓練コース

建設業の中小事業主等が認定訓練を実施する、または建設業の中小事業主が建設労働者に有給で受講させる

◆建設労働者技能実習コース

建設業の事業主等が建設労働者に有給で技能実習を受講させる

◆障害者職業能力開発コース

障害者に対して職業能力開発訓練事業を実施する

雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。 また、事業主が労働者を出向させることで雇用を維持した場合も、雇用調整助成金の支給対象となります。

労働条件等関係の助成金

業務改善助成金

事業場内で最も低い労働者の賃金(事業場内最低賃金)を引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行う

働き方改革推進支援助成金

◆労働時間短縮・年休促進支援コース

労働時間の短縮や年次有給休暇取得促進に向けた環境を整備する

◆勤務間インターバル導入コース

勤務間インターバルを導入する

◆労働時間適正管理推進コース

労務・労働時間の適正管理の推進に向けた環境を整備する

◆団体推進コース

事業主団体において、傘下企業の生産性向上に向けた取組を行う

◆テレワークコース

在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む

受動喫煙防止対策助成金

職場での受動喫煙を防止するための対策を行う

産業保健関係助成金

◆ストレスチェック助成金

ストレスチェック等を実施する

◆職場環境改善計画助成金

ストレスチェックの集団分析の結果を活用し、職場環境の改善を行う

◆心の健康づくり計画助成金

心の健康づくり計画(ストレスチェック実施計画を含む)を作成し、計画に基づきメンタルヘルス対策を実施する

◆小規模事業場産業医活動助成金

産業医・保健師と契約し、産業保健活動を行う

◆治療と仕事の両立支援助成金

傷病の特性に応じた治療と仕事を両立するための制度の導入または活用を行う

◆副業・兼業労働者の健康診断助成金

副業・兼業労働者に対して一般健康診断を実施する

既存不適合機械等更新支援補助金

既存不適合機械等を、最新の構造規格に適合した機械等への改修又は買換を行う

エイジフレンドリー補助金

高齢者を対象とする安全衛生確保に係る取組を実施する

被ばく線量低減設備改修等補助金

眼の水晶体が受ける被ばく線量を低減するための器具を購入して実施する設備改修等に要する経費の一部を助成する

中小企業退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成

◆一般の中小企業退職金共済制度に係る掛金助成

新たに中小企業退職金共済制度に加入する

◆建設業退職金共済制度に係る掛金助成

新たに建設業退職金共済制度の被共済者となる労働者等を雇い入れる

◆清酒製造業退職金共済制度に係る掛金助成

新たに清酒製造業退職金共済制度の被共済者となる労働者等を雇い入れる

◆林業退職金共済制度に係る掛金助成

新たに林業退職金共済制度の被共済者となる労働者等を雇い入れる

厚生労働省「労働条件等関係助成金のご案内」

その他に確認しておきたい助成金

この他にも地方公共団体からも給付金が出されていますので、ホームページ等から確認することをお勧めします。特に新型コロナウイルス感染症拡大を受けて多く出されており、支援金、協力金等と異なる名称の場合もありますので留意します。以下に東京都の一例を挙げます。

東京都中小企業等月次支援給付金

飲食店の休業・時短営業や外出自粛等の影響により、売上額が減少した都内事業者の事業の継続・立て直しに向け、東京都が月ごとに給付金を支給します。

助成金を申請するには

詳細な手続きは、助成金の種類によってことなるため、厚生労働省のホームページなどの一次情報を必ず確認します。助成金を申請するには計画をたて、各必要書類の用意が必要となります。その多くは、「雇用保険の適用事業所」の認定書類提出の書類と重複しますので、特別に難しいことはありません。

必要な書類(例)

  • 各種申請書

  • 就業規則(写)

  • 労働条件通知書(雇用契約書)(写)

  • 賃金台帳(写)

  • 出勤簿またはタイムカード(写)

  • 履歴事項証明書

まとめ

企業は「人、モノ、金、情報、知財」などと言いますが、いずれも大切な経営資源です。どれが欠けても企業の成長を制約する要因になります。このため、政府は、経済成長の源泉となる起業や企業の成長を促す施策に補助金や助成金を設けて支援していることが分かります。

本サイトでは、中小企業を中心に最新ソリューションによる経営革新の事例についての記事を掲載しています。事業継承や補助金、中小企業支援施策など中小企業経営者が持つ悩みに応えるコラムなども掲載されていますので、参考にされてください。

三海泰良氏の顔写真

執筆者

三海泰良(さんかい やすよし)

静岡県浜松市出身、東京都世田谷区在住。大学卒業後に農業関連団体へ入会。自費でMBA(経営管理学修士)を取得し、2013年中小企業診断士登録。2014年中小企業診断士事務所設立。主に経営戦略、マーケティング、創業支援、M&A、補助金申請書作成支援、HACCP構築等を中心に活動しています。創業セミナーや食品表示の講師の他に各種執筆を行う。

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