コラム

2021.04.13 06:00

2021年度IT導入補助金で新設された「低感染リスク型ビジネス枠」とは?

IT導入補助金のススメ 2021年度IT導入補助金で新設された「低感染リスク型ビジネス枠」とは?
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IT導入補助金リスク型ビジネス枠【C類型・D類型】判別早見表

IT導入補助金低感染リスク型ビジネス枠【C類型・D類型】判別早見表

C類型とD類型の条件や考えられるツール活用例を手早く確認できる早見表を作成しました。条件や注意点をチェックしつつ導入を検討してください。

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※本記事の内容は、記事作成日(2021年3月)時点の情報に基づいています。最新の情報は各施策の公式サイトなどをご参照ください。

中小企業に使いやすい補助金として人気のある「IT導入補助金」。

2021年度のIT導入補助金には、A、B、C、Dの4つの公募枠(公募類型)が用意されています。

このうちA・B類型は、従来から存在するものであり、C・D類型が「低感染リスク型ビジネス枠」となっています。

2020年度には、緊急的に「コロナ対応特別枠」(C類型)が設定され、注目を集めました。

本2021年度では、昨年度のコロナ対応特別枠(C類型)が、「低感染リスク型ビジネス枠」(C・D類型)へと改編されることとなりました。

今回は、「A・B類型」と、「C類型」「D類型」の3種類の使い分けについて説明します。

2021年の特別枠、「低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)」とは?

本記事を制作している2021年3月時点では、国内でのコロナワクチン接種は始まったものの、コロナ感染症の流行終息にはほど遠い状況です。引き続き、社会全体でソーシャルディスタンスの確保、三密を避けるなどの感染症予防策、いわゆる“新常態(ニューノーマル)”への対応が求められています。

中小企業においても、リモートワーク導入などによる職場環境の改善、遠隔会議による商談や、ECの導入などによるビジネスモデル転換など、感染リスクを抑えるための経営施策を維持・推進していかなければなりません。

そのために、ITツールを導入し、労働生産性を向上させるとともに、業務の非対面化の推進を図る中小企業への支援を趣旨として設けられたのが、この「低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)」です。

低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)の対象となるITツールとは

C・D類型において、補助の対象となるITツールは、大分類Ⅰ「ソフトウェア」、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」に大別され、それぞれの分類はさらに以下のようなカテゴリーにわかれています。

大分類Ⅰ「ソフトウェア」

カテゴリー1:単体ソフトウェア

カテゴリー2:連携型ソフトウェア(C類型のみ。後述)

大分類Ⅱ「オプション」

カテゴリー3:機能拡張

カテゴリー4:データ連携ツール

カテゴリー5:セキュリティ

大分類Ⅲ「役務」

カテゴリー6:導入コンサルティング

カテゴリー7:導入設定・マニュアル作成・導入研修

カテゴリー8:保守サポート

カテゴリー9:ハードウェアレンタル(C・D類型のみ。後述)

ソフトウェアのプロセス

大分類Ⅰ「ソフトウェア」のカテゴリー1,2は、それぞれ「プロセス」が設定されます。

プロセスとは、簡単にいえば業務工程、または業務種類のことです。プロセスは全部で7種類にわかれており、プロセスごとに対応するITツールの機能が細かく設定されています。

たとえば、「顧客対応・販売支援」プロセスには、MA(マーケティング自動化)、SFA(営業自動化)、CRM(顧客関係管理)などの機能が対応します。

C・D類型において導入するITツールは、2つ以上のプロセスを必ず含んでいる必要があります。ただし、ツールが1つである必要はありません。2つのツールを同時に導入して2つのプロセスを含んでいてもよいということです。

類型判断のポイント

IT導入補助金は中小企業の「生産性向上」を目的としたITツールの導入を支援することが制度趣旨であるため、生産性向上という点はどの類型においても共通して求められます。

その上で、導入するツールが、

①非対面化ツールであるか否か

②複数プロセスの連携型ツールであるか否か

③テレワーク環境整備(クラウド対応)ツールであるか否か

という点で、3種類が使い分けられています。

該当する類型を判断するためのポイント

①非対面化ツールであるか否か

非対面化ツールとは、テレワーク環境の整備をはじめ、対人接触の機会を減らすようなビジネスモデルへの転換(業務形態の非対面化)に役立ち、労働生産性を向上させるものです。たとえばWeb会議システム、タッチパネルによる注文システムのようなものが該当します。

②複数プロセス間での連携型ツールであるか否か

複数のプロセス間で情報共有や情報連携しながら活用されるのが「連携型ツール」になります。プロセス間での情報共有や情報連携をしないのは「連携型ではないツール」です。

たとえば、店舗にキャッシュレス決済システムと会計システムを導入するとします。キャッシュレスで決済した販売データがそのまま会計システムに渡されて会計処理されるような場合が、連携型ツールの例です。

一方、在宅勤務のために、Web会議システムと、クラウド型勤怠管理システムを導入した場合、それぞれのシステムは別々に利用され情報共有はおこなわれません。この場合、連携型ツールにはなりません。

なお、連携型ツールであっても、ツールが1つであるか複数であるかは問いません。(複数のツールを使って、プロセス間で情報共有や情報連携をする場合、「連携型ツール」になります)。

③テレワーク環境整備(クラウド対応)ツールであるか否か

テレワーク環境整備に役立つツールは、自宅から接続して利用できる、つまりクラウド環境で利用できるものとなります。会社のパソコンにインストールして、そのパソコンだけで使うソフトウェアなどは、これに該当しません。

低感染リスク型ビジネス枠、C・D類型の概要

以上①~③を踏まえた上で、「低感染リスク型ビジネス枠」のC類型、D類型に該当するツール、および、補助金額、補助率、要件をまとめると、以下のようになります。なお、要件については、今後の賃上げ(年1.5%)が求められる場合があります。

C類型の概要

対応ITツール

①の「非対面化ツール」であり、かつ、②の「連携型ツール」であって、2つ以上のプロセス間でデータ連係するもの。ハードウェアレンタルも含む。

想定事業例

データを連携させながら利用できるキャッシュレス決済システム、会計管理システムを同時導入し、連携活用によりECシステムを構築するケース。

タッチパネルによるセルフ注文システムのレンタルと、そこからデータを受けて商品在庫を管理できる在庫管理システムを導入するケース。

補助金額

30万円~300万円未満(C-1類型)、または、300万円~450万円以下(C-2類型)

補助率

3分の2以内

要件

賃上げ目標につき、加点項目(C-1類型)(※1)、または必須項目(C-2類型)(※2)

(※1:必須ではないが、目標を表明することにより審査の際に加点される)

(※2:必須ではないが、目標を表明が必須であり、未達の場合、補助金を返還しなければならない場合がある)

D類型の概要

対応ITツール

①の「非対面化ツール」であり、かつ、②の「連携型ではないツール」であり、かつ、③の「テレワーク環境整備(クラウド対応)ツール」であるもの。ハードウェアレンタルも含む。

想定事業例

Web会議システムとクラウド型の勤怠管理システムを同時に導入して、社員のテレワークを実施するケース。

社員のテレワーク用にノートPCをレンタルし、そこにリモートデスクトップシステムをインストールして運用するケース。

補助金額

30万円~150万円未満

補助率

3分の2以内

要件

賃上げ目標は加点項目(必須要件ではない)

C類型とD類型の使い分け

各類型の使い分けについては、公募要領にチャートが掲載されていますが、パッと見ても少しわかりにくいかもしれません。

非対面化を図るための導入を前提にしてざっくりと違いを理解するなら、まず「連携型ツール」を利用したい場合は、C類型になります。

次に、連携型ではないツールを利用したい場合、テレワーク環境(クラウド)対応できるツールの場合はD類型になります。その他の場合はA・B類型です。

一般的には、連携型ツールのほうがより高度なシステムになるので、C類型のほうがD類型より補助金額上限が高くなっています。

さらにC類型にもC-1とC-2とがありますが、これは補助上限金額と賃上げ目標の違いです。C-2のほうが補助金額は高くなりますが、必須とされる賃上げが実施できない場合、補助金を返還しなければならない場合があるので、導入には慎重な計画が必要です。

なお、適用できる類型を判断できるダウンロード資料もご用意しましたので、活用してください。

ハードウェアレンタルには注意が必要

C・D類型は、ハードウェアレンタルも補助対象となる点が特徴です(A・B類型では不可)。ただし、いくつか注意点があります。

まず、ハードウェアは、必ず他のソフトウェアなどのツールとセットで申し込む必要があります。ハードウェアレンタル単体での申請は認められません。

また、ハードウェアのレンタル料は、レンタル開始日から1年分までを上限として補助対象になります。2年目以降は補助が出なくなる点に注意してください。期間利用後に無償譲渡することを前提とした契約も対象外となっております。

2020年の特別枠(C類型)との違い

2021年度のC、D類型は、2020年度に設けられたC類型の後継となる枠ですが、いくつかの点での違いがあります。

まず昨年度のC類型では、サプライチェーンの毀損への対応も範囲に含まれていましたが、本年度はその目的は外されました。

また、昨年度のC類型では、1つのプロセスに対応するITツールから対象になりましたが、今年はC類型、D類型ともに2以上のプロセスに対応するツールでなければなりません。

さらに、昨年度は補助率の上限が、C-1類型においては3分の2以内、C-2類型においては4分の3以内とされましたが、今年度はC類型、D類型ともに3分の2以内となっています。(ちなみに、A、B類型補助率は2分の1以内です)。

採択されるコツは早めの申請。準備は急ごう

昨年度のIT導入補助金では、コロナ感染症流行により多くの中小企業が悪影響を受け、その対応へ補助がなされるコロナ対応特別枠(C類型)への応募はかなり殺到した模様です。申請に対する採択率は公式には発表されていませんが、くわしい専門家によると2~3割程度だったのではないかといわれています。

そして本年度も、引き続きC・D類型への応募は多く、採択率は低くなるのではないかと予測されています。

その中で少しでも採択につながるコツを以下にまとめます。

採択のコツ1:なるべく早く申請をする

IT導入補助金に限りませんが、補助金は年間の予算枠が設定されています。それもあって、年度の初め(1次公募や2次公募)のほうが採択率は高く、年度の後半になるしたがって採択率が下がるといわれています。(公式にはそのようなアナウンスはされていないため、あくまでたくさんの申請を実施している導入支援事業者などの経験から推測です。)

そのため、少しでも採択の可能性を高めるためには、年度の早い時期(1次、2次など)に応募するのがコツです。

なお、2021年度の交付申請は、4月上旬頃受付開始の予定となっています。

採択のコツ2:実績の豊富なITツール(IT導入支援事業者)を選ぶ

IT導入補助金は、登録されたツールを提供しているIT導入支援事業者(ITベンダーなど)とパートナーを組んで申請します。IT導入支援事業者が作成する申請書の書き方も、採択には影響を与えます。そのため、過去の採択実績の多いIT導入支援事業者のほうが、ツールの選択や申請書の書き方といった点で安心感があります。

採択のコツ3:遡及申請も可能

IT導入補助金は、申請が採択されて交付決定が通知された後で、IT導入支援事業者との契約、支払いをすることが原則です。

しかし、3月決算の会社では、年度予算消化の関係などから、2月、3月にITツールを導入してしまうこともあるでしょう。その場合でも、ITベンダーがITツールを事後的に登録すれば、遡及申請が可能になることがあります。すでに契約、支払いをしてしまった場合でもあきらめずに、ITベンダーに相談してみましょう。

まとめ

コロナ禍は多くの中小企業にピンチをもたらしています。しかし、今回のIT導入補助金「低感染リスク型ビジネス枠」などを活用し、生産性の向上や業務効率化を図れば、長期的に見れば、強い企業に生まれ変わり競争に勝ち抜くチャンスだとも捉えられるでしょう。

せっかく国が用意してくれているIT導入補助金、ぜひ有効に活用してください。

C類型とD類型の違いや考えられるツールの活用例、補助金額などをまとめたダウンロード資料を無料で配布中です。ぜひダウンロードし、お手もとに置いてIT補助金活用にお役立てください。

なお、IT導入補助金の導入から申請までの注意点については、こちらの記事も参考にしてみてください。

※本記事の内容は、記事作成日(2021年3月)時点の情報に基づいています。最新の情報は各施策の公式サイトなどをご参照ください。

【取材・文】編集部

井浪竜馬氏の顔写真

取材協力

井浪竜馬(いなみ たつま)

行政書士、宅地建物取引士。新宿、秋葉原、名古屋、大阪に拠点を構える日本最大級の行政書士法人である「サポート行政書士法人」所属。各種許認可、ビザ、補助金等幅広く手掛ける。補助金申請は法人全体で年間2,000件以上の実績を持つ。

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