コラム

2022.06.13 06:00

【2022年度版】IT導入補助金の注意点は?導入検討から申請後まで

IT導入補助金のススメ IT導入補助金の注意点は?導入検討から申請後まで
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IT導入補助金の注意点!フェーズ別チェックシート

【2022年度版】IT導入補助金の注意点!フェーズ別チェックシート

導入前の検討から業者選定、申請時、交付決定後まで、IT導入補助金の注意すべき点をフェーズごとにまとめてチェックリスト形式にしました。お手元においてご確認ください。

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※本記事の内容は、記事作成日時点(2022年4月)の情報に基づいています。最新の情報は各施策の公式サイトなどをご参照ください。

IT導入補助金の導入プロセスは、導入検討→ツール選定→申請・交付→導入・利用と進みます。本記事では、それぞれのプロセスで注意すべき点を確認していきます。

利用検討段階の注意点

「補助金ありき」はNG!ITツール導入の目的を明確に

IT導入補助金に、補助金一般についていえることですが、ともすれば「利用しなければ損かも?」と考えてしまう経営者の方がいるかもしれません。

しかし「補助金があるからITツールを導入しよう」と、まず補助金ありきで考えてしまうことは本末転倒です。まず、業務改善のためにITツール導入の必要があるのかを考え、もし導入によって業務が改善され、生産性が向上すると判断するなら、補助金の利用を考えるというのが正しい順序です。

ITツールは導入すればそれでおしまいとなるものではなく、むしろその後事業に活用して生産性を向上させることこそが、本来の目的です。

その目的のために、どんなITツールが必要なのか、コストと効果のバランスは取れているか、自社業務に適したシステムなのかなど、総合的に考えて、導入を決定することが最初のポイントになります。

この最初のポイントをしっかりと吟味せずに導入してしまい、「導入したけど失敗だった」とならないよう十分に注意しましょう。

長期的、全社的な視点で導入を検討する

ITツールを導入する分野にもよりますが、通常は一度ITツールを導入すれば最低でも5年程度は利用します。長期的に使い続けることを考慮し、継続的に効果が見込めるIT導入を図るようにしましょう。

また、最終的には経営トップの判断で導入可否は決定しますが、そのツールを利用する現場の意見を採り入れることも重要です。

たまにあるのが、ツールを導入した後も、既存のやり方を完全に代替することができずに、結局2通りのやり方、システムが併存しかえって効率が落ちてしまうというパターンです。

現場の意見を聞かずに導入した新ツールを現場の担当者が利用せず、古いやり方を利用し続けるということもあります。

このような事態にならないためにも、現場の意見を採り入れ、全社的な意思一致をしながら導入を検討しましょう。

また、最適なITツール導入には、3つの視点で専門家が必要と考えます。経営、現場、そして、ITの専門家です。経営者がこれら、すべてに精通していれば良いですが、それはレアケースでしょう。

そこで、ITツール導入の検討にあたっては、経営、現場、ITのそれぞれに詳しい担当者を集めたチームを組んで、ツールの検討をするのがベターです。ITでは信頼できるパートナー探しも重要になります。

本補助金の利用にあたっては、従業員への給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加目標が、「必須項目」(通常枠B類型)もしくは「加点項目」(通常枠A類型)になります。「必須項目」の場合、目標が達成できなければ、補助金の全部の返還が求められる場合もあるのです。

それも踏まえて、しっかりと導入効果を見極め、自社が描く未来に向けて効果的なIT投資を実施しましょう。

ツール選定における注意点

補助が出るのは汎用品だけ。カスタマイズが必要な場合は注意

IT導入補助金(通常枠)の対象となるソフトウェアは、CDなどの媒体で提供されるパッケージソフトウェア、およびクラウドサービスです。(デジタル化基盤導入枠では、一部ハードウェアも補助対象となります)。

いずれも、汎用品のみであり、自社の業務用にカスタマイズした専用システムは補助対象になりません

基幹系の業務システムなどは、自社業務にあわせたカスタマイズをしてほしい場合もあるでしょう。そういった場合は、補助を受けられないカスタマイズ費用が別途、必要になるかもしれません

ITツール導入にあたっては、カスタマイズの必要性についても十分に検討する必要があります。

IT化されていないか、ITレベルの低いバックオフィス部分への導入がおすすめ

IT補助金は汎用品が対象になることからいえば、基幹業務のシステムより、会計、給与管理、販売管理など、バックオフィス業務用のツールの方が、一般的には導入しやすいといえるでしょう。

こういったバックオフィスの管理業務を紙でおこなっている、あるいは、手作業のエクセルでまとめている、といった会社にとっては、ITツール導入による生産性向上効果は絶大なものがあるので、ぜひ検討なさってください。

補助対象期間が限られている

IT導入補助金は、ソフトウェアの購入費のほか、クラウド利用料も補助対象となります。ただし、通常枠の場合は、1年間、デジタル化基盤導入枠の場合は2年間に限定されています。

システム導入時の見積りの段階で、補助対象となるイニシャル(初期導入)費用はどこまでで、1~2年目の後、補助対象にならないランニング(運用)費用がどれだけかかるのか、十分に確認する必要があります。

導入支援事業者選定における注意点

長い付き合いが可能な業者を選ぶ

IT導入補助金の申請において、いわばパートナーとなるのが導入支援業者(ITベンダー等)です。

ITツールは導入しておしまいとなるものではなく、長く使い続けるものです。利用していくうちに拡張したり、追加で他のツールを導入して連携させたくなるようなことはよくあります。そういう時にも対応してもらえるように、長く付き合える導入支援業者を選ぶことが大切です。

一般的には、もしすでに付き合いのある出入りIT業者がいるのであれば、まずはその業者に相談をしてみて、その者では目的となるツールの利用が難しい場合、大手ベンダー等に相談してみるのが良いでしょう。

なお、IT導入補助金の公式サイトには、導入支援事業者の検索システムがありますが、あくまで一般的な情報源として見るのが良いでしょう。

導入実績の多い、慣れた業者の方が安心

IT導入補助金は登録された導入支援事業者と共同で申請、運用をする点が特徴です。あまり慣れていない支援事業者の場合、申請の準備に時間がかかったり、申請書類の作成に不備が生じたりするといった事態も考えられます。

そのため、多くの申請・採択の実績がある支援事業者を選ぶ方が、申請・採択面で安心感があります。

さまざまな種類のツールを扱うことができ幅広い対応が可能で、申請実績が豊富な大手ベンダーの支援事業者に依頼するほうがなにかと安心です。

会社の「身の丈」にあったツール提案をする業者を選ぶ

IT導入補助金の補助額は類型によっても異なりますが、最大で450万円(通常枠B類型)です。支援事業者の中には、できるだけこの最大金額に近づくように、さまざまなツールの組み合わせを提案してくる業者もいるようです。

しかし、導入費用の全額が支給されるわけではなく、定められた補助率(通常枠で1/2、デジタル化基盤導入枠で3/4または2/3)を上限とされます。つまり、1/4~1/2は、自社で負担をしなければならないのです。さらに、クラウド利用料の場合、1~2年分だけの補助です。

自社の現状から見て背伸びした、過大なツールの導入は、弊害が大きくなります。やたらと高額、大規模なツールの導入を提案する業者には注意しましょう。

中小企業庁や中小機構でも、中小企業にあった「身の丈IT」を推奨し、最初に導入するのに適した市販流通する業務用クラウド型ツールを紹介するサイト「ここからアプリ」を公開しています。迷ったときは参考にしてみましょう。

申請段階の注意点

申請は時間的な余裕をもって進める

IT導入補助金の申請は、定められた期間におこなわなければなりません。締切に間に合うように、時間的な余裕をもって準備を進めましょう。

申請に必要な「gBizプライム」の登録には2週間程度の時間が必要ですが繁忙期はもう少し長くかかることもあります。また印鑑登録証明書など必要書類もあります。もし、gBizプライムを未取得の場合、早めに取得しておきましょう。

また、支援事業者のほうでも、会社内部の手続に数日から1週間程度の時間がかかることがあります。締切直前に支援事業者に依頼しても間に合わないことがある点も注意してください。

さらに、2021年度からは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言が必要となりました。こちらを事前に済ませておくことも必要です。

加点項目を満たすことで採択されやすくなる

IT導入補助金では、採択の選考にあたってプラスになる複数の「加点項目」が設けられています。できるだけ多くの加点項目を満たすことで採択の可能性が高まります。一方「減点措置」もあり、これに該当すると採択の可能性が低くなります。

●加点対象となる取り組み(一部)

  • 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること

  • 導入するITツールとして「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定していること

など

●減点措置

  • 過去3年間に、類似の補助金の交付を受けていること

など

交付決定前に契約や支払いをしたものは対象にならない

申請後、採択を経て交付決定になる前に、導入契約をしたり、代金の支払いをしたツールは、補助の対象になりません。契約、および代金の支払いは必ず交付が決定した後で実施しなければなりません

事業実施(ITツール導入)段階以後の注意点

交付決定から補助金が出るまでの資金繰りにも注意

交付決定後、契約と代金の支払いをしてから、事業実施報告をしますが、その報告から補助金が支給されるまで、1か月程度の時間がかかります

最大で450万円の補助金分を、会社がいわば立て替えて「前払い」をしなければならないので、その間の資金繰りを考えておく必要があります。

金融機関からの短期的なつなぎ融資を受けるのも1つの方法です。その場合、交付決定通知書を提示することで、融資審査にも通りやすくなるでしょう。

再申請や他の補助金との重複、不正に関する注意点など

採択されなかった場合、年度内の再申請も可能

IT導入補助金を申請して、採択されなかった場合、その年度内の再度の募集があれば、再び申請することはできます。その場合、申請書の書き方が以前と同じではまた不採択になる可能性が高いので、加点要素や生産性向上の内容などを見直す必要があります。

事業が異なれば、他の補助金と重複して受給することも可能

IT系の補助金には、IT導入補助金のほかに、小規模事業者持続化補助金や、ものづくり補助金などもあります。同一の事業で、複数の補助金を受けることはできません。しかし、事業が異なるものであれば、複数の補助金を受給することも可能です。

また、異なる事業を対象として、IT導入補助金を数年にわたって複数回受けることも可能です。

ただし、これらの場合「減点措置」の対象になります。

不正申告が疑われる場合、立ち入り検査もある

ITツール導入の金額をごまかしたり、補助金をもらって実際には導入しないといった不正がおこなわれていると疑われる場合、立ち入り検査がおこなわれる場合があります。当然ですが、不正申請は必ずばれますので、絶対におこなわないようにしましょう。

まとめ

IT導入補助金に限りませんが、補助金はその名の通り、あくまで「補助」をしてくれるものです。補助金ありきでITツールの導入を決めることは本末転倒ですが、もしツールの導入を検討しているのであれば、補助金は大きな力になるでしょう。

ぜひ、本記事の注意点を参考にして、補助金制度を有効に活用してください。注意点をまとめ、ひとつひとつチェックして確認できる無料のダウンロード資料も用意しましたので、お手もとに保存して参照してください。

※本記事の内容は、記事作成日(2022年4月)時点の情報に基づいています。最新の情報は各施策の公式サイトなどをご参照ください。

戸羽晃洋氏の顔写真

監修

戸羽晃洋(とば あきひろ)

中小企業診断士。経士会 中小企業診断士チーム所属 同令和二年度中小企業診断士二次試験対策講師、月刊企業診断、診断士テキストの執筆等。 兵庫県立大学経営学科卒 企業内診断士として活動 営業から総務を歴任、現在、シェアードサービス、IT化、RPAを推進

森藤啓治郎氏の顔写真

総合監修

森藤啓治郎(もりどう けいじろう)

中小企業診断士。経士会・経士会中小企業診断士チーム代表。関西大学法学部卒、兵庫県立大学大学院経営研究科修了(MBA)。著書「中小企業のための補助金・助成金徹底活用ガイド」(同友館)。30年の会社経営の経験を活かし、伴走型の支援で事業継続・事業再生等を実施。現在中小企業庁のオンライン経営相談に参加。

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記事執筆

中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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