事例集

2022.06.30 06:00

勤怠管理システムで勤務状況を可視化 働きやすい職場実現 サカイ自動車販売(香川県)

勤怠管理システムで勤務状況を可視化 働きやすい職場実現 サカイ自動車販売(香川県)
関連記事のお知らせを受け取る
問い合わせをする

この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

自動車メーカー、ホンダの特約自動車販売店として香川県で事業を展開するサカイ自動車販売は、健康経営優良法人としての認定を受けるなど働きやすい職場環境の整備に努めている。その取り組みを支えているのが勤怠管理システムをはじめとするICTの活用だ。

ホンダの特約自動車販売店として3店を運営

サカイ自動車販売は1970年の設立以来、自動車メーカー、ホンダの特約自動車販売店として事業を営んできた。ホンダカーズ善通寺の屋号で善通寺東店、善通寺西店、宇多津店の3店を運営し、約50人の社員、パート、アルバイト、技能実習生らが新車・中古車の販売、自動車の車検・点検・整備・修理、自動車損害保険代理業といった多様な仕事に取り組んでいる。

「自動車は地域の生活と密接にかかわっています。単に自動車を販売するのではなく、お客様に喜んでいただける心のこもったサービスと最高の技術を提供したいと考えています。そのためには何が必要かを考えて仕事に取り組むようにしています」と酒井忠行社長は話す。

給与計算システムへの入力作業が負担になっていた

サカイ自動車販売は、定期的な健康診断の実施やストレスチェックなど働きやすい環境にするためのさまざまな取り組みを推進している。社員・従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人を顕彰する健康経営優良法人としての認定も受けている。

しかし、自動車販売店は、サービス業の宿命で、お客様のスケジュールや都合に合わせなければならないことが多い。販売活動の主要な場となるショールームは平日よりも休日が書き入れ時だ。ボーナス商戦などの繁忙期は特に忙しくなる。営業の担当者は、お客様の仕事が終わる夕方以降に連絡、訪問しなければならないことが多い。車検・点検・整備・修理の仕事でも、依頼が短期間に集中したりする場合は、残業を余儀なくされる。勤務時間のコントロールが利きにくい面があるだけに、削減できる業務を削ることは長年の大きなテーマだった。

バランスがとれた働き方を実現するために業務を効率化するさまざまな取り組みを進める中で、決断したのがタイムレコーダーと勤怠管理、給与計算が連動した新しいシステムの導入だった。

システムを導入する前、社員やアルバイトの勤怠状況は、3つの店舗ごとに紙製のタイムカードで記録し、各店舗の事務担当者が週に1度、それぞれの出勤時間と退勤時間、休日出勤の状況などを集計し、本社のサーバーに保存している給与計算用シートに入力していた。本社総務部の悩みだったのが、毎月の締め日の後、シートに入力されている約50人分の勤怠記録を給与計算システムに入力し直す作業だった。

「業務ごとに社員一人ひとりの勤務形態や残業時間が異なることから確認しなければならないことも多く、入力ミスがないようにチェックを重ねるため人手と時間がかかることは避けられませんでした」と一連の業務を統括する島田八康総務部長は振り返った。ショールームを訪れるお客様への対応などほかの業務もこなしながら、給与計算システムへの入力を行うのは、心理的な面でもかなりの負担になっていたという。

勤怠管理システムで社員との新たなコミュニケーションが可能に

新しく導入したシステムは、勤怠管理システムを通じてタイムレコーダーと給与計算システムが連動している。それぞれの店舗に設置しているレコーダーにタイムカードで出退勤の時間を記録するだけでデータが勤怠管理システムに転送され、集計したデータを給与計算システムに取り込めば、自動的に給与を計算してくれる。そのおかげで、各店舗での入力作業や本社で給与システムに入力し直す必要がなくなった。

善通寺東店の外観

善通寺東店の外観

「システムのおかげで、社員の就業時間、残業時間、有給休暇の消化状況がリアルタイムで管理できるだけでなく、これまで経験則をベースにしていた繁忙期、閑散期の勤務体制もデータを基に根拠を持って組み立てることができるようになりました。働き方改革を進めていく上で本当に役立っています」。島田総務部長は、システム導入後の効果についてこのように話した。「全員の前日の残業状況が朝にはわかるので、残業で遅くなった社員には『体は大丈夫? 大事にしてね』と声掛けできるようになりました」。システムのおかげで適切なタイミングで会話ができるという。

「落ち着いた気持ちでお客様に対応できるようになっただけでなく、勤務状況が可視化されたことで、効率的な働き方をしなければならないという気持ちが強くなりました。システムを導入したことで、以前は当たり前と思っていた再入力という作業自体が無駄だったことがよくわかりました。これからも幅広く情報を集めてICTを活用することで、省力化できる業務を探していくつもりです」と島田総務部長は話した。

環境対策を意識してEV用充電器を販売店に設置

環境対策にも積極的に動いている。2013年から二酸化炭素の排出量を前年度比で5%削減することを目指し、省エネ、省資源、リサイクルの推進や電気自動車(EV)用の充電器を善通寺東店に設置するなどさまざまな取り組みを進めている。

EV用の充電器

EV用の充電器

ホンダカーズ善通寺のホームページを通じた情報発信に加え、3つの店舗がそれぞれインスタグラムやブログを活用して各店舗のイベントやキャンペーンの告知を行っている。ホームページへのアクセス件数や滞在時間、アクセス手段の分析に力を入れ、常に改善することを心掛けている。「今後、お客様のニーズを見極めながらオンライン商談の体制を整えることを検討したい」(島田総務部長)という。

酒井社長は「自動車産業のビジネス環境が大きく変化する中、ホンダの自動車販売店として環境に配慮したEV車、HV(ハイブリッド)車の販売を積極的に展開しながら、香川県の中讃エリアを牽引できるように取り組んでいきたい」と話す。

ICTを活用した業務改革を通じて、働きやすい職場環境を生み出しているサカイ自動車販売。心のゆとりは、充実したサービスを生み、お客様との継続的な取引という成果につながっていくはずだ。サカイ自動車販売のICT活用がもたらすさまざまな相乗効果に、これからも注目していきたい。

事業概要

会社名

サカイ自動車販売株式会社

本社

香川県善通寺市上吉田町418-2

電話

0877-62-3223

設立

1970年4月

従業員数

47人

事業内容

新車販売、中古車販売、車検・点検・整備・修理、自動車損害保険代理業、レンタカー、部品用品販売

関連記事のお知らせを受け取る
問い合わせをする