事例集

2022.01.11 06:00

コツコツと顧客との信頼関係を築き上げて下請け脱却 エフ・ピーアイ(新潟県)

コツコツと顧客との信頼関係を築き上げて下請け脱却 エフ・ピーアイ(新潟)
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制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


「エフ・ピーアイ新聞」というWebで配信するPDF情報紙がある。記事は防災システムの最新情報からグルメ情報、プロ野球情報まで多岐にわたっている。令和3年11月号で通巻136号を数えるこの「エフ・ピーアイ新聞」(PDF)を、2010年8月号から執筆・発行し続けているのが、新潟市にある消防設備点検会社、エフ・ピーアイの藤﨑俊晃社長だ。

顧客との縁を大事にするために11年以上毎月PDF新聞送信


「お客さまとのつながりを深めたいという思いがありました」。消防設備点検会社は、顧客との接点が多くても半年から年1回程度で、関係が希薄になりがちだ。そこで毎月新聞をPDFで送信し、会社への関心を持ち続けてもらおうと考えた。2011年3月に発生した東日本大震災の直後からは、防災意識の向上に役立つような記事も増やした。直接対面しなくても、大勢とのコミュニケーションがとれるネットの利点を活かした施策と言える。 顧客からの口コミで良い顧客が徐々に増えて行った。

PDF新聞 実際にはA3縦長のサイズ。防災の情報だけでなく生活で参考になる情報も多い

PDF新聞 実際にはA3縦長のサイズ。防災の情報だけでなく生活で参考になる情報も多い

ホームページも15年前からスタート


こうしたネットの利点に、目を付け実践してきた。それが、15年ほど前に立ち上げた自社のホームページだ。「最初は、ホームページ作成ソフトを買ってきて、自力で作って入れていきました。当初は全く反響がありませんでしたが、途中から『おりこうブログ』というサービスを使うようになり、徐々に問い合わせも増えて行きました。今はデザインなどにも注意を払い、SEO対策も強化したホームページになっています」。ホームページを見ると、連絡先の表示から見積りの案内から、実に分かりやすくデザインされている。防災に関する法令・設備・時事・豆知識などを紹介する「防災アドバイス.com」という姉妹ホームページも作って、顧客の情報ニーズに応えている。

エフ・ピーアイのホームページ。わかりやすくデザインされている

エフ・ピーアイのホームページ。わかりやすくデザインされている

背景には下請けを脱却し直接顧客とつながる、という思い


エフ・ピーアイが、このようにネットを積極的に活用しようと考えたのには目的があった。下請けがメインだった売上げ構造の改革だ。「お客さまとの直接取引を増やしたかったんです。そのためにホームページを通して広く宣伝する必要があると考えました」。ホームページを作り、最初は連絡先を載せて顧客を呼び込もうとした。新しいホームページは見てもらうのが大変だと感じ、「チラシを商工会議所の会報に同梱してもらって、そこにホームページの情報を載せて誘導しました」。仕事の内容や見積り価格などを載せて、初めての顧客でも安心して依頼できるような道筋を作った。

話は控えめだが、コツコツきちんと改革を進めている藤﨑俊晃社長

話は控えめだが、コツコツきちんと改革を進めている藤﨑俊晃社長

消防設備点検はサービス業、きちんとした挨拶、礼儀


こうしたネット面での展開に並行して、リアル面でも改善を進めた。「お客さまのところに伺ったら、しっかりと挨拶をしよう。靴やスリッパは脱いだら揃えて置くようにしよう。身なりもきちんと整えよう。そう普段からの態度を徹底したことで、お客さまの間に口コミで会社のことが広がっていきました」。こうした取り組みを進めた結果、新規の顧客が増えて、現在は全体の8割が直接の取引先になった。

顧客が困っている小口仕事の対応のため、顧客データベース強化


外部へのアンテナも張り巡らせて来た。事業構造への取り組みを模索する中で、島根県にある島根電工という会社のことを知った。「島根電工の荒木社長は、事業改革の柱を公共工事に依存していては先がないと考えて、小口の工事を受注するように業態を変えていったんです」。その荒木社長の著書(『「不思議な会社」に不思議なんてない』)を読み、東京で開かれた講演にも行った。もっと詳しい話が聞きたいと、直接島根に荒木社長を訪ねた。
小口の仕事ほど顧客は困っている、そういう仕事に丁寧に対応することで、信頼を得て顧客を増やしていった。しかし、小口の仕事で利益を出すためには、システムによる効率化が必須だ。
そうやって得た情報から、顧客DB(データベース)の一元化が生み出す効果を知った藤﨑社長は、エフ・ピーアイでも導入することを決意した。それまでExcelで管理していた見積などの業務を、⼯事積算見積システム「本丸EX」 や工事原価管理システム「二の丸EX」に移し替えた。「見積書の作成から請求書の発行、入出金調書の作成などを同じデスクトップ上で行えるようになりました」。

「ICTを活用した施工管理モデル事業」申請、全国で16社の1社に選ばれた


さらに2020年、国土交通省が建設業の生産性向上に対する取り組みを支援するため、一般財団法人建設業振興基金を通じて募った「ICTを活用した施工管理モデル事業」に応募した。「建設業界をもっとやり甲斐があってきやすい場所にしたかったんです」。そのためにはICTによって業務を効率化し、働き方を改める必要があった。

どのようなシステムが最適かをシステムベンダーと相談しながら考え、分厚い資料を作って応募した。「制度を紹介していただいた中小企業診断士の先生にアドバイスを頂きながら、申請書類などは自分で作成しました」と藤﨑社長。こうした申請を過去に行ったことはなく、まるで勝手が分からなかったが、投げ出すことはしなかった。「火が付いてしまったんですね。高い壁でしたが、乗り越えたいと思い完成させることが出来ました」。

苦心した結果、全国で採択された16社のうちの1社に見事に選ばれた。「嬉しかったですね」。すでに自費で進めていた「本丸EX」「二の丸EX」の導入にプラスして、業務の効率化に役立つ仕組みの導入を進めている。その一例が、移動時間の短縮に役立つようなオンラインでのやりとりの拡充だ。

LINEで事前に現場写真・動画で確認、仕事の効率化と時間活用へ

PDF新聞にもチラシにも必ず上記を載せて、手軽に相談頂けるようにしている

PDF新聞にもチラシにも必ず上記を載せて、手軽に相談頂けるようにしている


従来は、顧客から問い合わせがあれば担当者が現場まで出向いて対応していた。これを、「スマートフォンでお客さまに現場の様子を撮ってもらって、手元のスマートフォンで見るようにしました」。広い新潟市を移動すると、顧客のところまで2時間3時間かかる場合がある。現地での対応も含めれば、さらに時間がかかるが、ネットを介したやりとりに変えれば、移動時間は削減できる。

スマートフォンのディスプレイ越しでも、「長い経験を持った従業員なら、不具合がどういった原因によるものかはほぼ分かります」。スマートフォンが普及した現在、顧客の方も画像や映像を撮って送る操作も楽々こなす。Zoomのような会議アプリの利用も想定していたが、画像をLINEにアップしてやりとりするだけで、十分な対応が可能だという。

移動時間の短縮であり、見積や精算など書類を作成する時間の短縮といった生産性の向上によって生み出された時間は、新たな事業の創出にあてることができる。着々と構造改革を進めてきたエフ・ピーアイが、ICTによって得た時間とリソースを使い、どのような取り組みを始めるのか。同じ建設業にとって今後の動きから目が離せない会社だ。

下請けからの脱却に成功、そしてNEXTステップへ


ちなみに、10年前下請80%で、元請は20%だったのが、現在は85%が元請の仕事となった。更に今後は、より顧客との関係を深めるためにサービスメニューの充実を目指している。そのためには、日進月歩に進化しているICTは欠かせないという。
一見地味だが、革新を続けるエフ・ピーアイに期待したい。

会社概要

法人名

株式会社エフ・ピーアイ

本社

新潟県新潟市江南区曽野木 2-16-17

電話

025-284-8640

設立

1984年2月1日

従業員数

13人

事業内容

消防施設の設計・施工・保守・点検・販売/自動火災報知設備、非常用放送設備、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、ガス漏れ警報設備、不活性ガス消火設備、泡消火設備、粉末消火設備、連結送水管、防排煙連動制御設備、可搬動力ポンプ、誘導灯設備、避難器具、消火器
電気設備の設計・施工・管理・保守/照明設備、コンセント、放送設備、ナースコール、テレビ共聴設備、監視カメラ、LAN設備、電話設備、インターホン設備

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