事例集

2021.09.28 06:00

FAXのデジタル化で年間9万枚超の印刷物削減、社員の意識も変わった 宮脇鋼管(大阪府)

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「FAXのデジタル化によってペーパーレス化が進み、印刷枚数が減ったことによるコストダウンはもちろん、仕事の効率化や質の向上、社員の意識改革に思った以上の効果がありました。
社員を大切にするうえでデジタル技術が欠かせないものであることを改めて実感しました」
昨年7月からFAX文書をデジタル化する新しいシステム(※上記PC画面は、デジタル化された受信FAXの一覧)を本格的に稼働した大阪市西成区の宮脇鋼管。購買部長と情報システム室長を兼任する秋元広宣取締役は、1年の成果をこのように振り返った。

鋼管の切断加工に強み 24時間の即納体制

24時間体制で稼働する宮脇鋼管の工場

24時間体制で稼働する宮脇鋼管の工場


宮脇鋼管は、全国トップレベルの即納体制をさらに強化するため10年以上前から仕入、生産、在庫管理、受注管理、請求までの業務を効率的に素早く行う業務システムの構築に積極投資してきた。秋元取締役は「図面さえそろっていれば注文をいただいてから30分程度で出荷することも可能です」と話す。

その本社と工場は大阪市西成区内を南北に走る幹線道路、新なにわ筋の西側に広がる工場エリアにある。約2万3000平方メートルの敷地に並ぶ複数の工場棟では40台の工作機械が据えられ、24時間体制で鋼管の切断加工にあたっている。
ただ単に鋼管を販売するのではなく、お客様の要望を聞いて完成品に近い状態に加工した上で届けることを強みにしている。独自技術で切断加工した鋼管の販売は売上高の8割を占め、同社の成長の原動力となっている。
寸法精度、品質への評価は高く、技術力には自信がある。宮脇鋼管が加工した鋼管は東京スカイツリー(東京都墨田区)や但馬ドーム(兵庫県豊岡市)、OSAKA WHEEL観覧車(大阪府吹田市)など日本を代表する様々な構造物で活用されている。

課題だった紙中心の取引慣例


自社の業務効率化は着実に進んでいたが、大半の仕入先や得意先との連絡、受発注をFAXの紙でやりとりしなければならないことが課題になっていた。紙を介したやりとりは「業界の慣例」ということもあって、自社だけFAXなしの業務に移行することは難しかった。同社の複合機の印刷枚数はモノクロだけで年間64万8000枚にのぼり、そのうちFAXによる印刷が21万6000枚と3分の1を占め、コストだけでなく手間もかかっていた。

購買部長兼情報システム室長の秋元広宣取締役

購買部長兼情報システム室長の秋元広宣取締役


「見積もり依頼や注文書はFAXでひっきりなしに入ってきます。受信したFAX文書は、担当の係が複合機から回収して宛先の社員に直接渡すか、不在の場合は机の上に置くという方法で振り分けていました。
複合機の受信棚から必要な文書を見つけるのに手間がかかり、確認できずに再送してもらった後に当該の文書が見つかるといったことも度々ありました。ひとつひとつは小さなことでも積み重なれば大きなロスです。担当者が不在の間に処理されないまま文書が机にたまる状況も改善したいと思っていました。
課題ははっきりしていたのですが、いきなりのデジタル化は取引先にも社内にも大きなハレーションを生むので、スムーズに移行するにはどうすればいいか頭を痛めていました」(秋元取締役)

FAX受信文書をデジタル化

滞留する文書がなくすっきりした複合機

滞留する文書がなくすっきりした複合機


昨年1月ごろに情報システム室が中心となって改善案を検討することが決まった。リコージャパンの担当者に相談したところ、提案を受けたのが、新型の複合機やサーバーをベースに、デジタル化したFAX文書、画像などをパソコンで振り分け、編集、保管することができるアプリケーション。複合機のパネルに利用者ひとりひとりの「私書箱」を設定できるアプリケーション。それらをまとめたシステムだったという。

取引先は今まで通りで負担をかけない


「FAX機能を持った複合機に取り込んだ文書がそのままデジタル化され、パソコンから複合機を通して送受信できるので非常に便利で使いやすいと思いました。取引先はこれまで通り、紙ベースでのやりとりを変える必要がないので、ご負担をかけないで済むことがなにより魅力でした」と秋元取締役。昨年4月に営業部、購買部、管理部、生産部と東京の拠点で7台の複合機を導入し、3カ月程度の試行期間を設けて130台のパソコンでシステムを使えるようにした。

「使いながら慣れる」ペーパーレス化推進


リコージャパンのアドバイスを受け、最初は、各部署の少数のキーパーソンに研修を受けてもらい、システムの使い方を習熟してもらった上で、それぞれの部署のメンバーに実際に使ってもらうようにした。便利さを伝えるだけでなく紙中心からペーパーレスに切り替えても仕事の進め方に支障が生じないことを納得してもらった上で本格稼働した。
情報システム室主任の三澤和重さんは「いきなり大勢で説明を受けるだけでは、かえって浸透しないのではないかと思い、使いながら慣れてもらうことを心掛けました。若い世代はすぐに馴染んでくれましたし、2週間も経てばみんな使いこなせるようになっていました」と話した。

情報システム室のメンバー,左から三澤和重さん、木村友美さん、秋元広宣さん、河合真波さん

情報システム室のメンバー,左から三澤和重さん、木村友美さん、秋元広宣さん、河合真波さん

9万2000枚の削減とお客様対応のスピード化、ミスの軽減


この1年間で削減した印刷枚数は9万2000枚。大きなコスト削減につながったが効果はそれだけではない。部署ごとに責任者が自席のパソコンからFAXとして届いたデジタル文書を担当者に振り分けることができるので、文書を迅速かつ確実に渡すことができるようになった。フォルダを見ることで情報の共有もできるので、担当者が外出している時に取引先から問い合わせがあった時もその場で、ある程度対応できるようになった。

「バックアップシステムのおかげで紛失の心配もありません。複合機で文書を印刷するときも私書箱機能のおかげで事前に確認できるのでプリントミスが無くなりました。見積依頼や注文がきても、複合機で滞留することが無くなり、迅速に対応できるようになったので、お客様からの評価も高まり、それが励みになってモチベーションもあがるという好循環が生まれています」と三澤さん。

外出先から遠隔操作でデスクトップを確認 受信FAXもスマホで見ることが出来る


営業の社員は外回り中でも、必要であれば携帯電話、タブレットで遠隔操作が可能なアプリを導入しているので各自のデスクトップからフォルダ内のFAX文書も確認ができ、 いったん会社に戻って仕事を処理することも減ったので、働き方改革にもつながっている。

当初、想定していなかった効果もあった。コロナ禍が広がる中、出社比率を減らす必要にせまられたときは、営業職を中心にスムーズにテレワークに移行できる体制を整えることもできた。

仕事の質の向上と社内全体で高まったコスト意識

ペーパーレス化を進めている宮脇鋼管のオフィス

ペーパーレス化を進めている宮脇鋼管のオフィス


「わざわざ数十秒かけて複合機と自席を往復する必要がなくなったので、仕事がはかどるようになりました。デスクワークの最中に思考がとぎれることがなくなり、ひとつひとつの仕事の質が向上し、細かいミスが激減しました」と秋元取締役は1年間、システムを使った感想を話した。業務の効率化によって新たな企画に時間を使うことができるようになり、マーケティング活動を自動化するマーケティングオートメーションの専任部署の設立など新しい取り組みにつながっているという。

社内全体でコスト意識がより一層高まるという効果も生まれた。「机にたまっていた文書が目に見えて減って、効果が実感できるようになったのが大きいですね。部署単位で紙を減らしていこうという意識が高まりました。『こうすればもっと減らせるのではないか』という前向きな提案が自然な形で出てくるようになりました」と秋元取締役は目を細める。

宮脇鋼管の工場の外観

宮脇鋼管の工場の外観

人を生かすためのデジタル改革をさらに推進


宮脇鋼管は資源、労力、時間を有効活用することを重視している。秋元取締役は、今後、製造現場でのさらなるデジタル改革も提案していきたいという。「今のところ生産現場への加工指示は紙で行っているのですが、こちらもペーパーレスにすることはできないか考えています。5Gをどのように活用するかも大きなテーマです。データを機械に送り込んで自動で加工するなど工場のスマート化を通じて、社員の負担軽減や製品のさらなる品質向上を図っていきたい。2025年の大阪・関西万博に向けて、地域の活性化にも貢献していきたいですね」

「人を生かすため」にデジタル技術を導入し、活用していこうとしている宮脇鋼管。これからどのような「人とデジタルの相乗効果」を生み出していくかに注目したい。

事業概要

会社名

宮脇鋼管株式会社

本社

大阪市西成区津守3-7-10

電話

06-6658-3801

設立

1961年3月

従業員数

187人

事業内容

鋼管・鋼材の販売並びに加工販売

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