事例集

2021.04.14 06:00

ICTを駆使した集客、連絡、コミュニケーションで、成長路線を実現するリフォーム会社 匠和美建(佐賀県)

ICTを駆使した集客、連絡、コミュニケーションで、成長路線を実現するリフォーム会社 匠和美建(佐賀県)
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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


明るく元気な松本直也社長を中心にICTに真正面から取り組んで、着実に効果を上げているのが、佐賀県を中心に事業展開する匠和美建だ。

佐賀市を東西に走る佐賀バイパスにつながる幹線道路沿いに立地する匠和美建の本社はショールームを併設し、各メーカーの設備機器を幅広くそろえている。施工事例を詳しく紹介し、リフォームのアドバイザーも常駐させている。リフォームを検討しているお客さんに豊富な情報を提供する上でショールームは重要な拠点だ。

匠和美建のリフォーム工事は、下請けの工事店に対する丸投げはせず、お客さんとの契約を担当した営業担当者が最後まで責任を持って施工管理する。営業担当者が現場を一括管理することで、工事中に発生するリフォームに対するクレームなどのトラブルを未然に防ぐことができる。職人も同社専属の人材をそろえ、品質を維持するため3か月に1回のペースで勉強会を開催している。

こういったさまざまな取り組みが、お客さんからの信頼の獲得につながってきた。大手住宅設備メーカーのリクシルが主催するリフォームの販売実績を競い合うコンテストで、佐賀、福岡南エリアにおいて7年連続トップを受賞した実績もある。

集客のカギは、お客様が思わず行きたくなるスマホホームページ


松本直也社長は、1995年に24歳で起業するとき、社名に「匠の技で、和を重視して、美しい建物づくりに貢献したい」との思いをこめた。外壁の塗り替えを中心にした塗装業からスタートし、足を使った訪問販売を繰り返して実績を重ねた。事業を拡大していく中で、リフォームに着目したのは、まだ参入のチャンスがあるという読みと、新築以上にニーズが高まると判断したからだ。


「企業が生き残るためには、常にアンテナを張り巡らせて潮流をつかみ、変化し続けていかなくてはならないと常に意識しています」。これまでの取り組みを振り返りながら、松本社長はそう話す。2004年に株式会社化し、従来の訪問型スタイルから、反響型に切り替え、更に2010年には、来店型ショールームを用意した。8年前には若い世代を中心に人口の流入が続く福岡県内にもショールームを設立した。従来のチラシにオンする形でWebでの集客力を入れたい。そんなときに出会ったのが、自分で自由にホームページを作成できるソフト(おりこブログ)だ。基本は、全てオリジナルで外注し、その後は、社内で自在に情報追加、変更を行っている。現在は、専任の女性が頑張ってやっているが、今でも最後は松本社長自ら納得するまでチェックする。
まさに松本社長の頭の中では一人一人のお客様と向き合っている。

特に気を付けているのが、スマホでの見え方。リフォームを最初に検討するのが主婦、ほとんどがパソコンではなくスマホだ。スマホユーザーは、パソコンに比べ、画面がわかりづらかったり、興味のないことだとすぐ他に行ってしまう。お客様との最初の大事な接点だからこそ、社長自らがチェックする。

ホームページはチラシに比較してコスト対効果が大きい


印刷代が必要なチラシと比較するとコストパフォーマンスが高いのがHPの利点だ。
ホームページを通じて問い合わせてきたお客さんが、成約手前の「現地調査」まで結びつく件数は、新しいシステムを導入してから月あたり5倍に上昇した。それでも「紙広告」の影響力は依然として強く、チラシを通じて現地調査に結び付く件数はHPの約3倍に上るが、1件あたりの獲得コストはホームページの方が半分以下におさまる。スマートフォンの使用頻度が高い世代がお客さんの中心になっていくことを考えると、ホームページを使った広告の費用対効果はますます高まっていくはずだ。

お客様の現地調査日の確定にグループウエアは必須だった


ショールームでの接客が中心の匠和美建では、ショウルームスタッフが対応する。しかしお客様の現地調査の訪問日を決めるのに、営業兼工事管理者(10人)に連絡する手間と時間がかかり、お客様にその場ですぐ返事できずにお待たせしたり、後日になることが多かった。しかしグループウエアを導入することで、全員のスケジュールの把握が可能なった。そのおかげで、適切な担当者を選択して、その場でスケジュールを確定し、お客様にお知らせすることが出来るようになった。
グループウエア導入当初は、従来の手帳との併用で、手帳には書くがグループウエア入力を忘れる人がいたためアポが重複することもあったが、全社的にグループウエアを最優先にすることで解決した。

施工管理システムの工事進行上の効果は大きい。利用率をいかに高めるか


年間の施工案件は約千数百件。工期日数が数日程度のバス、トイレ、洗面台などの水回り関係の工事が中心で、常に複数の工事が平行して動いている。施工管理システムも導入し、社内の情報共有化を進めている。社内では、内勤の人も案件ごとに資料を入れたり写真を入れたりも出来るので全員で使ってすごく重宝している。ただ、委託している職人さんたちへの普及が大きな課題となっている。
「今後、施工管理は、このシステムなしに考えられない。ただ職人さんは、使いこなしている人が20%と、共有情報のチェックはするけれどもそれ以上は活用しない人との差が大きいですね。仕事の見える化が出来ることで、いかに仕事がはかどるようになるのかをわかってもらえるよう地道に取り組んでいきたい。活用している職人さんは、超便利!と言っている。」(松本社長)。
更に今後はこの情報をお客様と共有したいと思っている。現状はLINEでお客様とのやり取りをしているが、情報一元化のため施工管理システムの活用を広げてお客様とのやり取りを行うため、また、使用しているCADとの連動性を確保するためにシステム変更を検討するという。

全員参加のオンライン朝礼で気軽に情報共有、受付も職人さんも参加


以前からグループウェアを導入し、社員全員の情報共有を進めているが、その一方で対面でのコミュニケーションの場として毎朝午前9時半から朝礼を行っている。以前は、福岡のショールーム勤務や直接現場に向かう社員は、参加できないという課題があったが、コロナウィルスの感染拡大に伴って緊急事態宣言が発令されたことをきっかけに朝礼をオンラインに切り替えたことで全員が参加できるようになった。
「コロナ禍で朝礼がかえって充実したものになったのは正直、怪我の功名でした。朝礼では、社員全員がそろうので、会社にとって重要なことを確実に周知できますし、オンラインですが、お互いに毎日顔を合わせることで、気軽になんでも話し合える雰囲気を作ることができます。どれだけネットワークで情報共有が容易になったとしても朝礼は絶対に続けます」。熱のこもった口調で松本社長は話した。

オンライン会議に参加者を招待するホスト役は社員が順番で務めている。コロナ禍の中、オンラインでの面会を希望するお客さんも増えつつあり、日々朝礼に参加するだけでオンライン商談のノウハウが身に着く一石二鳥の効果も生まれている。

お客様対応強化のため、本社を移転し、ショールームを拡大


デジタル、アナログ両面でのさまざまな取り組みが功を奏して、着実に成約件数は伸びている。コロナ禍をきっかけに在宅時間が増えたことで、居住空間の充実を検討する人が増えていることも追い風になっている。順調に事業が拡大していることを受けて、佐賀市内で新たに本社・ショールームを建設し、4月から移転する。建物の面積は現在の約6倍に拡大し、展示内容をこれまで以上に充実させて、訪れた人にリフォームの多様な選択肢を提案したいという。
特にICT環境の強化で、お客様にも快適なWi-Fi環境の提供、ご提案環境の強化を行い、お客様によりリラックスしてきめ細かな対応ができるショールームを目指している。
「よろこばす」(買い手、作り手、売り手、地域の4者全てが喜ぶ事)をスローガンに、
「働き甲斐があると同時に、地域に喜びを提供できる企業としてこれからも成長していきたい」と力強く語る松本社長。ICTを活用した今後の戦略に注目したい。

会社概要

会社名

株式会社匠和美建

本社

佐賀市兵庫町若宮4-20(3月10日現在)

電話

0120-296-234

設立

1995年4月

従業員数

20人

事業内容

増改築工事、水回りリフォーム、屋根・外壁塗装、省エネリフォーム、エクステリア、インテリア、マンションリモデル、営繕工事など



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