事例集

2021.03.31 06:00

FAX受信の自動PDF化&クラウド化により本格テレワーク可能体制へ 信越工業(新潟県)

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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


信越工業株式会社のある新潟県長岡市西川口は、特別豪雪地帯に指定されている場所で、冬は出稼ぎせざるを得ない場所だった。そんな中で信越工業の創業者は、冬でも働ける職場を作ろうと、この町に信越工業を1969年に創業した。

ポリプロピレンおよびポリエチレンを主原料とした延伸製品(テープ、ロープ、紐など)の製造を行っている。社屋周辺は、魚沼コシヒカリを生産する農業地帯だ。

農閑期に稲わらで縄やひもを作っていた地域にPPやPEのロープやひもを作る会社を設立


本社と工場のある長岡市(旧川口町)は、新潟県の中でも稲作が盛んな地域だ。石油精製品ナフサからできるポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)でひもを作る前は、脱穀後の稲わらで縄やひもを作っていた。そのノウハウを活かすために、数あるプラスチック製品の中でも延伸製品を選んだ。その技術は大手化学工業メーカーも認めるところで、同社の大株主にもなっている。1960年代は、石油製品のナフサからできたPPやPEが従来製品を駆逐する勢いで普及していった。そうした時代の波に合わせて、信越工業は地域の雇用を守り、地域の経済に貢献した。

信越工業にしかない高性能ロープマシン

信越工業にしかない高性能ロープマシン

生産の中心が開発途上国にある延伸製品業界で、オンリーワンの技術力によりPPロープの30%のシェアを堅持


しかし時代を経て、延伸製品は、中国をはじめアジアで廉価製品がどんどん生産できるようになり、国内の同業者は約80社から20社程度に減っていった。そのような中で、信越工業は品質と生産性を武器に生き残り、PPロープのシェアは国内30%を堅持している。その原動力となっているのが、同社にしかない高性能のロープ製造マシンだ。
「国外のロープ製造マシンは、巻き替えや仕上げなどのいろいろな作業がありますので、現状は1台につき3人以上、通常3~5人くらいが付いているようです。それに対して当社のマシンは、現在90台以上ありますが、それらを2人で2交代管理、ほぼ24時間稼働しています。とくに24時~8時までは無人で稼働しています。すべてのマシンにセンサー機能がついているので、故障などの不具合が全部わかるようになっています」(真島社長。以下同)

80台のマシンを2人体制でチェック

80台のマシンを2人体制でチェック

「便利なことができないか」新しい技術やソフトに取り組む


真島社長が入社した1982年には、オフィス・コンピュータ(オフコン)を導入している同社。工場の機械の自動化ばかりでなく、オフィスワークの効率化やスピードアップ、顧客サービスの向上などにさまざまな機器等を導入してきた。

1980年代には、すでに表計算&データベースソフト『マイツール』(リコー)を導入。コンピュータに指示をするとその通り仕事を実行する事に興味を覚えた。1990年代には、営業マンにノート型パソコンを持たせ、他社がほとんど手書きの企画書だったのを、図形作成ソフト等を導入してパソコンで企画書を作った。
「最も作りたかったのが、取引先店舗の棚割り提案表です。商品のテンプレート画像を作成し、棚の模倣図に落とし込んで、どの商品をどう配置すると効率的か、などを提案していました。うちは自分たちの名刺も、取引先に使っていただくPOPも作っています。製品ラベルも1枚から作ります。小さな会社なので、私が30代のときから全部自前でやっています」

社員と積極的に意見交換する真島徳幸社長

社員と積極的に意見交換する真島徳幸社長

外出先からファクスの受注内容を確認、即座に対応することが可能に


その中で、受注業務をするにあたって「もっと便利なことができないか」と考えたことが、今回のソリューションのスタートだったと真島社長。
信越工業は注文をフリーダイヤルのFAXで受け付けているが、今までは紙に出力されたものを複合機でスキャンしてPDF化していた。
受け取った注文FAXを直接PDF化して保存し、必要ならプリントすることができないか、という真島社長の要望だった。

「もっといえば、それにスタンプ(電子印鑑)を入れて納品管理ができないか。その受注画面を開いたときに、別途見積書を開かなくてもそこに見積のデータが入っていて、単純にそれを選択するだけで入っていけるようにできないかという要望を出していた」

その結果、FAXの受注内容を、営業マンが会社に行ったり電話で確認したりすることなく、クラウド上のフォルダを確認して業務システムに入力を行えるようになり、作業効率が大幅に上がった。

FAX用紙での受注から、パソコン上で一元管理ができるように

FAX用紙での受注から、パソコン上で一元管理ができるように

複合機やシステムのクラウド化でテレワークに加速がついた


そして図らずもコロナ禍になる直前くらいから、本格的なテレワークが可能になった。各自の席、あるいは自宅にあるデスクトップパソコン以外に、ノートパソコンとタブレットを合わせて17台導入。デスクトップパソコン同様に生産管理システムにログインでき、遠隔操作ができるようにした。

「営業だけでなく、生産管理も総務も、ノートやタブレットを持っています。外出先や自宅からのメールの確認は昔から当たり前にやっていましたが、それではつまらない。自分宛ての内容を本人だけが確認して本人が作業をするのではなく、誰もが業務内容を見ることができて、同じ部署の人であれば誰でも作業することができるようにしたかったのです」

今後の課題は、どこでも仕事ができてしまうため、残業を増やさないための就業規則やシステムづくりだ。さらには、コロナ禍で中断している、工場の建て替え(仮工場建設、新工場への移転)にともなうシステム作りにも注力する予定だという。

工場のシステム化で少人化に成功、農業に参入し活人化しよう


「信越工業はもともと出稼ぎ対策で作った会社で、ずっとこの地域でやってきました。機械をどんどん改良して、効率を上げたら、少人化となったため、原点回帰して農業事業に参入し、農業生産法人の会社を新たに作り、活人化に取り組みました。」

オリジナル商品の『ひげにんにく®』や青ねぎの栽培(ハウス/路地)・販売を通じて、地域への貢献を続けている。農業は、それこそ一筋縄ではいかず難しかったと真島社長。メーカーならではの生産管理の技術をハウス栽培管理に応用、現在は生産が安定し、地域に根付いた貢献を続けている。
テレワークの利用方法やリモート化する工場と人との関係に新たな知恵が要求される時代、信越工業のこれからの取り組みに注目したい。

会社概要

会社名

信越工業株式会社

本社

新潟県長岡市西川口528番地

電話

0258-89-2320

設立

1969年5月

従業員数

71人

事業内容

ポリプロピレンおよびポリエチレンを主原料とした延伸製品の製造加工販売 合成樹脂製品の製造加工販売 農産物及び加工食品の販売

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