事例集

2021.03.17 06:00

コロナ禍に備え、営業社員にテレワーク環境を提供 遠隔操作で重要書類作成、出社日数削減にも有効 セントラルホームズ(山梨県)

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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


「学生時代に建築士の資格を取得していたので、当時から独立を考えていました。医師免許を取って開業医になるのと同じ感覚ですよ。早いもので、創業から四半世紀が過ぎました」。山梨県甲府市で住宅建築や不動産の売買、賃貸物件の仲介などの事業を展開する有限会社セントラルホームズの雨宮孝社長は、にこやかな表情でこう語った。

大学を卒業後、東京の大手ハウスメーカーに就職。不動産市況が活況を呈していた時期で、ホテルやマンションなどの販売も手掛けていたという。不動産関係の国家資格を取得するなどノウハウを積み、故郷に戻り、出身地である甲府の地で学生時代の志を成就させた。

学生時代の志を成就させ、地元・甲府で起業した雨宮孝社長。コロナ禍に在宅勤務の環境整備に取り組んだ

学生時代の志を成就させ、地元・甲府で起業した雨宮孝社長。コロナ禍に在宅勤務の環境整備に取り組んだ


ビジネスの9割は一戸建ての建築販売が占める。建主のこだわりを形にする注文建築やデザイナー設計のブランド住宅も数多くそろえ、顧客のニーズに対応している。「まとまった土地があるところなので、土地を造成して分譲住宅を販売する不動産開発も手掛けています」。2027年にはリニア新幹線が開業し、甲府にも新駅ができる予定だ。東京・品川まで25分でアクセスでき、周辺不動産の新たな需要拡大を期待している。

「リモートの業務に慣れてみよう」がきっかけ


セントラルホームズでは、2020年4月、クラウド管理型のネットワークシステムを導入した。新型コロナウィルスの感染拡大を受けて在宅でのリモート業務が可能にするためだ。

「緊急事態宣言が発出されて、在宅勤務が求められるようになりました。これからはそういうことが当たり前になる、ということを強く感じました。ならば、社員もその環境に慣れておく必要がある。知らないよりは知っておいたほうがいいですからね」

社員が行う業務には、見積書や契約書、資金計画書の作成など顧客の個人情報にかかわるものが多い。顧客が無理なく住宅を建てることができるかどうかをシミュレーションする資金計画書では、建設費用に加え、固定資産税や手数料、税金などを含めた総額に対し、手持ち資金や住宅ローンなどの資金繰りを確認する。時間と手間のかかる作業であるだけでなく、顧客の個人情報に深く入り込まないと作成できない重要な書類で、管理の徹底は不可欠だ。

導入したシステムは、ファイアフォール、VPN(仮想プライベートネットワーク)機能に加え、ウィルスソフト侵入をシャットアウトするアンチウィルス機能やフィッシングサイトを検知するアンチフィッシング機能などが統合され、高いセキュリティーを確保している。社員に4台のノートパソコンを支給し、ネットワークシステムを通じて社内のパソコンにアクセスし、操作する。自宅でも安心して業務ができる環境を整えた。

15年前は断念 ICT技術の進化を評価


「実は2005年ごろにも同じようなシステムを導入する構想があったのですが、断念したことがあったんです」と雨宮社長は振り返る。大きな壁となったのは、その当時、システムの導入費用が現在の約4倍にのぼったうえ、セキュリティー面で不安があったことが断念の理由だった。およそ15年が経過し、導入費用は飛躍的に安くなり、セキュリティーも大幅に強化されている。

「当時に比べると、低コストで、高い安全性を確保することができ、安心してシステムを導入することができました」と雨宮社長はICTの技術の進化を高く評価した。

緊急事態宣言後も社員たちは、このシステムを積極的に活用している。顧客との打ち合わせ後、会社に戻って書類の作成などの作業を行っていたが、わざわざ会社に戻って作業をする必要がなくなった。社員に対して、多様な働き方の選択肢を提供することで、業務の効率化を図ることができた。これまで隔週2日の定休日だった勤務体制を完全週休2日に移行。社員のモチベーションアップにもつなげた。

リモートシステム導入前は、会社に戻って書類を作成することが多かった

リモートシステム導入前は、会社に戻って書類を作成することが多かった


また、雨宮社長はこうも話す。

「まとまった土地を保有しているお客さまの多くは高齢で、デジタル化に慣れていない方が少なくありません。そういった方は今も電話やFAXでやりとりすることが多くあります」

これまで顧客から送られたFAXは会社に出社して確認せざるを得なかったが、自宅から会社のサーバーにアクセスして、複合機でデータとして取り込まれたFAX情報をチェックできるようになった。複合機を通じて、デジタル化に不慣れな顧客との接点として重要な役割を果たしている。

ピンチをチャンスに変えるチャレンジを


「営業の業務は、お客様の予定を優先しなくてはならず、なかなか予定通りに休めないことも多いのですが、社員の働き方を少しでも効率的にするうえでテレワークを導入することで、わざわざ会社に出社しなくてもいいような環境は整備できた」と雨宮社長は話す。新型コロナウィルスという非常事態を業務改善のチャンスに変えた格好だ。

ノートパソコンをみながら作業する社員。新型コロナウィルスの感染防止のため、ノートパソコンを自宅に持ち込んでの業務も可能になった

ノートパソコンをみながら作業する社員。新型コロナウィルスの感染防止のため、ノートパソコンを自宅に持ち込んでの業務も可能になった


2021年になっても新型コロナウィルスの猛威は衰えず、東京など一部地域で再び緊急時代宣言が出されるなど厳しい状況が続いている。

日本生産性本部の調査によると、再発令された緊急事態宣言下2021年1月のテレワーク実施率は全国では22.0%だった。前年10月の実施率18.9%からは上昇したものの、同じく緊急事態宣言下だった前年5月の31.5%に比べると約10ポイント低い水準だったという。1都3県でも前回の宣言時に比べて実施率が低下し、「コロナ慣れ」が影響しているとの指摘もある。

政府は出勤者数の7割削減を呼びかけているが、実施に向けて大きなカギを握るのは、企業の大半を占める中小企業の取り組みだ。「コロナ慣れ」が広がっては、感染拡大はおさまらない。「テレワークにいかに慣れるか」へのチャレンジこそが危機収束のカギを握っている。

会社概要

会社名

有限会社セントラルホームズ

本社

山梨県甲府市相生1-16-16

電話

055-235-0211

設立

1996年8月

従業員数

6人

事業内容

住宅建築(販売・設計・施工)、土地。建物の売買・仲介・買取、賃貸、仲介・管理

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