事例集

2021.03.09 06:00

調剤薬局から派生した建築会社がICTで働き方改革 健康をキーワードに業界に新風を吹き込むメディクロホーム(愛知県)

調剤薬局から派生した建築会社がICTで働き方改革 健康をキーワードに業界に新風を吹き込むメディクロホーム(愛知県)
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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


建築業界の働き方改革の実現にはICTを活用していつでもどこでもオフィスにいるのと同じように仕事ができるようにすることが不可欠だ。そうすれば現場と自宅との直行直帰が可能になり、生じた余裕をサービスの充実につなげることもできる。この改革を短期間で実現したのが調剤薬局チェーンから派生し、健康をキーワードにした建築会社として注目を集める愛知県豊田市のメディクロホームだ。

グループ全体でエッセンシャルビジネスを展開


メディクロホームは、調剤薬局をはじめ、医療コンサルティング、不動産、建築、保育園といった様々なエッセンシャルビジネスを展開するプログレックスグループの建築部門を担当する企業だ。
プログレックスの黒土大介代表は、父親から受け継いだ調剤薬局のチェーン化を図る一方、事業を多角化してきた。その企業活動の根底には、健康をベースに人々に安心、安全を提供することで社会に貢献するという理念がある。
同社のコンサルティング事業や不動産事業は、医師、薬剤師からの独立開業の相談に応じたり、クリニックや薬局に適した不動産物件を見つけて橋渡しするサービスから拡大したものだ。建築事業に進出したのも、医師、薬剤師と深いつながりを持つ中で、家族が健やかに暮らせる質の高い住空間を提供したいとの思いが強まってきたからだ。
トヨタ自動車のお膝元の豊田市は、住み心地といった視点から見ると2018年度の中核市幸福度ランキングで1位に輝いた実績を持つ。住まいに関する支援・制度も充実し、子育て世帯の誘致にも力を入れている。住まいに関連したビジネスを堅実に展開するには有利な環境といえる。
メディクロホームの創業は2016年。メディクロのネーミングはメディカルの「メディ」と黒土代表の名字から「クロ」を取って合わせたものだ。名鉄豊田市駅周辺の毘森公園に近い幹線道路沿いにある本社は、小さい子供を持つ家族の来訪を想定して1階にキッズコーナーを設けている。

建築会社であることを忘れるおもてなしの空間(キッズコーナー)

建築会社であることを忘れるおもてなしの空間(キッズコーナー)


親しみやすい雰囲気が漂う中、グループでLIXIL不動産ショップのフランチャイズビジネスを手掛けていることもあって、連日、多くのお客さんでにぎわう。社員の主力は30代と若く、シックなデザインのオフィスからはフレッシュな感性と勢いが伝わってくる。

かっこいい、きちんとしている、きれいの3Kを目指す


「ICTを積極的に導入して良かったと思うのは、業務を効率的に進めることで社員の負担を減らして、働きやすい環境を提供できるようになったことです。時間に追い詰められていてはいい仕事はできません。余裕ができればより一層お客さんのことを考える時間も増やすことができます。この好循環を拡大していきたいと思っています」。1級建築施工管理技士、2級土木施工管理技士の資格を持ち、グループの建築事業を統括する伊藤陽介営業部長は穏やかな表情で話した。

ICTによる業務効率化の手応えについて語る伊藤陽介営業部長

ICTによる業務効率化の手応えについて語る伊藤陽介営業部長


建築現場では、大工、左官、電気工事士、塗装工、配管工などさまざまな職種のスタッフが携わる。施工管理の仕事は連絡と調整の連続だが、多種多様な関係者全員に情報伝達を徹底するのは簡単ではない。メールや電話だけでは十分とは言えず、営業担当者が聞いたお客さんからの要望が現場に伝わっておらず、「伝えた」「聞いてない」のトラブルになることもある。現場と本社を往復するだけでも時間を消費する。長時間勤務の解消は業界全体の課題だ。
メディクロホームも例外ではなく、現場での仕事を終えてから本社に戻って作業報告書の作成や設計変更の確認などのオフィスワークをこなす必要があった。そのため、繁忙期でなくても数時間程度の残業が当たり前で、休日出勤する社員の姿も目立っていた。
「このような労働環境でいいはずがありません。建築業界のイメージを、『きつい、汚い、危険』から『かっこいい、きちんとしている、きれい』の3Kに変えたいと長年思っていました。以前であれば業界の慣習に従って、アナログで仕事をしていかざるを得ませんでしたが、今はICTを活用すればいくらでも改善していくことができます。コロナ禍で先が見通しにくい状況だからこそ、あえて大胆に行動することが大事と考え、デジタルトランスフォーメーション(DX)を一気に進めることにしました」(伊藤部長)

クラウドで工事情報を一元管理 いつでもどこでも閲覧可能に

クラウドを通していつでもどこでも工事現場の状況をチェックできる

クラウドを通していつでもどこでも工事現場の状況をチェックできる


DX化に賭ける伊藤部長が着目したのが、昨年11月に導入したリコージャパンのソリューションだった。このソリューションは、高いネットワーク機能を備えた複合機と工事情報を一元管理して共有化できるクラウドサービスを組み合わせている。複合機で図面や工程表などをスキャンして情報をクラウド上にアップロードしておくだけで、いつでもどこでもパソコン、タブレット端末、スマートフォンでその情報をダウンロードして閲覧できる。
フォルダごとに案件を管理できるので、複数の現場の情報が錯綜することなく進捗状況を管理できる。情報はあらかじめ登録した人しか見ることができないため、セキュリティの面でも安心だ。

残業時間や連絡ミスによるトラブルが激減


メディクロホームでは、営業スタッフが、設計士の選定などお客さんとの最初の打ち合わせからお客さんからの要望の反映、引き渡し、アフターサービスまでのすべてのプロセスに携わっている。ソリューション導入後は、現場からクラウドにアップロードされた写真や図面の変更事項などを、いつでもどこでも確認できるため、チェックのためだけに現場に赴く必要がなくなった。負担が減っただけでなく業務の効率化によって一人当たりで担当する案件を増やすこともできるようになった。連絡漏れに伴うトラブルも無くなった。
現場でのお客さんとの打ち合わせの内容もタッチパネルでタブレット端末に書き込んでそのままアップロードすれば保存、共有できるので、わざわざ本社に戻って転記する作業も削減できた。狙い通りに残業時間や休日出勤は大幅に減り、繁忙期を除くとほとんど定時で帰宅できるようになったという。
「働き方にプラスになっただけではありません。情報共有の打ち合わせのために大勢の関係者が現場に集まらなくても済むのは、コロナウィルスの感染拡大を防止する上でも非常に助かっています」。伊藤部長はさまざまな効果を実感していた。

若い社員が中心のメディクロホーム。働き方改革が一気に進んだ

若い社員が中心のメディクロホーム。働き方改革が一気に進んだ

健康とICTをキーワードに事業展開図る


メディクロホームは、酸化チタンを活用して菌やウィルスなどの有害物質を分解除去する光触媒技術をはじめ、電気を使うことで生じる電磁波をカットする工法など健康の観点から住宅の付加価値を高めることを重視している。光触媒はコロナ禍に伴う清潔な環境へのニーズが高まる中で住宅、医療施設、店舗への需要が見込まれる。また、電磁波カットはデジタル化の進展で電子機器の使用頻度が高まっていることを考えると高い訴求力が期待できる。
プログレックスは2018年から、グループ従業員の子どもを0歳から預かる企業主導型保育園を開園したのをきっかけに保育園事業にも参入、今後、愛知県内で拡大を図る。若い社員の採用にも力を入れる。地元をさらに暮らしやすい街にするために、グループで取り組んでいる各事業の相乗効果を今後更に高めていく考えだ。
「グループの理念と親和性が高い事業をこれからも展開していきたい。人々が幼少期から老後まで豊かな人生を築くうえでなくてはならない企業グループに育てていきたい」と黒土代表は話す。さまざまな事業を効果的に結び付け、利用者の健やかな人生につながる住宅、サービスを提供する上でICTを活用する機会はこれからも増えそうだ。

会社概要

会社名

株式会社メディクロホーム

本社

愛知県豊田市日南町1-11-6

電話

0565-47-9991

設立

2016年8月

従業員数

6人

事業内容

建築業(新築・建て替え・リフォーム・リノベーションなど)

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