事例集

2021.03.02 06:00

介護と仕事の両立サポートにむけて、リモートワークを導入。コロナ禍で更に効果を上げる技術開発コンサルタント (埼玉県)

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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


ICTという言葉のない時代から、測量設計の分野にいち早くコンピュータを導入してきた株式会社技術開発コンサルタントは、渋沢栄一の故郷、深谷市にある。その進取の気性は渋沢栄一と通じるものがあるかもしれない。

会社設立直後に土木設計積算システムの開発案件を受注


大学卒業して入社した(1982年)大手測量設計コンサルタントでは、都市計画や区画整理などの設計に携わっていたという飯野英雄社長は、自らを異端児的な社員だったと振り返る。
「当時は高額だったパソコンを、自費で購入して会社に持ち込み実務を行ったのが始まりです。その後、日本にはまだパソコンで使える土木設計積算(工事費の算出)システムがなかったため、社内で開発することを会社に提案したり、海外のCADシステムやペンプロッター、大容量記憶装置などの導入も提案しました」

当時の土木設計積算は、常に電卓を片手に、設計変更をする毎に設計数量や諸条件を変えて、何度も何度も計算する必要があり、提出書類や図面すべて手書きで行っていたという。これらの手作業の業務をシステム化すれば、労力や時間が大幅に節約できることは明らかだった。

1986年、4年間勤務した会社を退社し、パソコンを駆使した設計業務をする夢を叶えるため同僚とともに現会社を設立。スタート直後には、土木設計積算システムのデータベース構築業務を受注。ソフト会社社長の指導の下に完成させたシステムを納品したのが、自身の仕事のルーツだと飯野社長は話す。

ICTでできることは何でも挑戦、社長のフロンティアスピリット


その後、当時周りではまだまだ未導入だった社内ネットワークシステムの構築や、自作パソコン、自作サーバーシステムの構築に始まり、Webサーバー、メールサーバーシステム、VPN、グループウェア等を自社サーバーで立ち上げるなど、日本企業の情報システムの歴史を先駆けてきたと言える、技術開発コンサルタント。
「中小設計会社では、珍しい存在だったかも知れません」


ICTでできそうな新規企画や省力化・効率化など、とにかく挑戦しやってみる。という飯野社長のもと社員も増え、同社は独自のノウハウや技術を磨き、地域や業界内での信用も勝ち得てきた。官公庁等からは、公共事業に対する一般土木(道路、上下水道、河川、都市計画等)の測量や設計コンサルタント業務の受注や、民間業務では、中小建設会社から大手ゼネコンなどの業務サポート、デベロッパーからの依頼による都市計画や大規模な造成設計、開発業務などを請け負うように。
「創業当初は下請け業務が中心でした。ありがたいことに、現在は元請け業務も増え、おかげさまで35周年になりました」。
飯野社長の人柄から社員も働きやすく、教育には熱心に力を注いでいた。
中途採用の技術者のためにも働きやすい環境を整えることが必要だった。

介護と仕事の両立をサポートするためにリモートワークを実現したい

出社している社員と同じように、在宅勤務でも同じ作業ができるリモート環境(VPNシステム)

出社している社員と同じように、在宅勤務でも同じ作業ができるリモート環境(VPNシステム)


2018年以降、リモートワークの導入と、それに合わせた就業規則の策定も進めて行った。
リモートワークを始めたきっかけは、介護を必要とする家族がいる社員が、在宅勤務出来るようにサポートするためだった。そのためには、就業規則や就業管理を変更する必要があった。まずは「奉行シリーズ」のWeb版就業管理システムを導入し、大手企業を参考にしながら自社の就業規則を作り上げていった。(働き方改革へ)

リモートワーク環境は、初めはうまくいかなかったと飯野社長。
「自宅のパソコンで作業したデータをクラウド上にアップしたつもりが、翌日反映されていないということが問題となりました。Google G Suite(現Workspace)を利用、全社員が容量無制限のクラウドサービスを使用し社内サーバーとミラーリングも実施しファイル共有を行っていたが、クラウドへの同期(反映時間)の遅延などが、リモートワーク実施時には障害となっていた」

リモートワークの最大の課題、転送スピードの解決は?


その問題解決に、リコージャパンの提案したVPN(仮想専用線。FortiGate)をすぐに導入しリモートワークがスタート。また、同時に高速インターネット回線への移行も行い、快適に在宅勤務が可能となった。さらに2020年2月の時点で、今後問題になるであろうと推測された新型コロナウイルス感染症対策として、全員のリモートワーク体制を目標に貸与PCも準備しスタートした。サーバーシステムについては、全てリコージャパンに依頼しました。

「まずは、光インターネット回線が入っていない社員宅が多かったので、費用を会社で補助し導入して頂きました。最初は、会社で使っているパソコン環境と違うのでやりづらいという意見もありましたが、仕事が進むにつれ、「在宅勤務でもデュアルディスプレイを使いたい、プリンターも利用したい」等、社員からもリモートワークに対して前向きな要望が挙がり、慌てて追加導入もいたしました」

リモートワーク導入の最大の恩恵は、一家だんらんの時間


効果としては、家族の介護の時間を持てるようになった社員がいる他、以下のような利点もあったそうだ。
・残業時間が減った社員が増えた
・社内よりも業務効率が上がった社員もいる
・遠方からの車両通勤が減り、交通事故のリスクが減った
・リモートによる社内サーバーやクライアントパソコンのメンテナンスが可能に
・社外からウェブサイトの閲覧等を監視・管理できるようになったため、セキュリティ対策にも繋がっている
しかし、最も恩恵を授かったのが飯野社長。飯野社長は、会社をスタートして以来ほとんど自宅で夕食を食べたことがなかった。それがリモートワークのおかげで一家だんらんの時間を取り戻せた。

リモートワーク体制の確立によって次なるステップへ


飯野社長は、高速回線によるリモートワークの成功のおかげで、社員採用のエリアを全国へ伸ばそうとしている。勤務体制さえ対応出来れば、あとはリモートワークも可能だ。
飯野社長の「ICTでできそうなことは何でも試してみる」姿勢は、従業員のモチベーションアップ、顧客への新たな提案など、受注に確実につながっている。
今、その活動領域を全国に広めようとしている技術開発コンサルタントに目が離せない。

会社概要

会社名

株式会社技術開発コンサルタント

本社

埼玉県深谷市上野台440

電話

048-572-8226

設立

1986年4月

従業員数

27人

事業内容

土木設計コンサルタント、測量・調査、企画開発、情報システム、環境アセスメント

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