事例集

2021.02.09 06:00

タブレットで業務が変わった! たたき上げ社長が取り組むICT改革 竹内セントラル(埼玉県)

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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


「建設業界はICTの活用が進み、日々進歩しています。われわれも頑張って追い付いていかないといけない」。 埼玉県草加市の竹内セントラルは、空調設備や給水設備などの設計・施工を手掛けている。ゼネコン(総合建築会社)と連携し、ビルやマンションに空調や配管などの設備を設計・施工するサブコンストラクチャーだ。前田冨夫社長は社員の働きやすい環境づくりを目指してICTの導入に力を入れている。

創業は農機具販売、都市化の進展とともにビジネスが拡大


創業は1962年。もともとは農機具の販売会社だったという。東京のベッドタウンとして住宅地が広がる埼玉県東部も当時は農地が広がり、ハウス栽培が盛んだった。ハウス用の暖房設備のニーズが高く、大手電機メーカーと組んで事業を展開。現在の主力事業へとつながっていった。

前田社長の入社は1976年。20歳のときだ。当時、社員は10人ほど。年齢が一回り以上違う先輩ばかりだった。「入社した時、まったくの素人だったので、東京・亀戸にあった設備関係の専門学校に1年通って製図などの勉強をしました」と振り返る。昼は仕事、夜は勉学。先輩に教わりながら経験を積み、やがて会社を支える存在になった。入社から40年あまりを経た2019年、5代目の社長に就任した。

「周辺地域の宅地化が進み、ビジネスは農家から一般住宅やマンション、オフィスビルへと変わっていきました。学校や役所の庁舎の空調設備など公共事業も手掛けています」。優秀な設計・施工の技術者を数多く抱え、元請けの信頼は高い。ビジネスのエリアは東京や千葉にも広がり、受注の7割は東京都内だという。

営業拠点となっている竹内セントラル八潮支店=埼玉県八潮市

営業拠点となっている竹内セントラル八潮支店=埼玉県八潮市


ビルやマンションの建設では、工事全体を取り仕切るゼネコンとの緊密な打ち合わせが欠かせない。空調や配管などの設計は、ビルやマンションなどの建物全体の設計図面をもとに専門的な技術や知識を持つ竹内セントラルが線を引く。施工上の問題や設計図面の整合性などを建物全体の設計図を描いたゼネコン側と調整しながら作成する。

施工段階でも実際にできた建物が設計図と微妙に異なることもあり、さまざまな微調整が発生する。ICTを積極的に活用するゼネコンとの意思疎通を円滑にするため、下請け側もICTの導入は欠かせなくなっているという。

作業の効率化に貢献。営業部門での活用も検討


竹内セントラルでは、現場を担当する社員にタブレットを持たせ、作業に活用している。
工事の際は現場では大量の写真を撮影する。施工前、施工中、完成後と何枚のデジタルカメラで写真を撮影。会社に戻ってから撮影した写真を整理していたが、現在はタブレットで撮影し、写真をクラウドに格納。現場の空いた時間に整理できるようにした。元受けのゼネコンや設計担当者との打ち合わせや調整にも活躍。設計図面をタブレットで呼び出して作業の確認に使うこともできるようになった。

タブレットの活用が業務の効率化を後押ししている

タブレットの活用が業務の効率化を後押ししている


ビル1棟の設計書類は膨大な量だ。フロアごとの配管やダクトの配置がきめ細かく描かれ、すべてまとめると、書類は何ページにもなり、持ち運ぶだけでも大変な労力を要する。クラウド上に収めれば、必要な部分だけタブレットで引っ張り出せばいい。

「いざ施工する段階で、建物が設計図と違う部分が生じた場合、現場で撮影した写真や図面をタブレットに映し出して、どうするか対応を協議すこともあります。その場ですぐにデータを確認できるので迅速な対応が可能になりました」と前田社長は評価する。空き時間に写真を整理できるようになったことで社員の大幅な勤務時間の短縮にもつながった。

こうしたタブレットの効果を評価し、営業での活用を検討している。試験的にタブレットを導入している。社内のパソコンをリモート操作できるようになっており、顧客からの問い合わせにその場で対応できるようすることを目指している。「工事価格は、規模や内容によって大きく異なり、簡単には数字は出せません。社内のデータから同規模の工事の実績を調べれば、近い金額を提示することもできます」と前田社長。顧客獲得への効果を期待している。

公共工事の獲得に向けて、専用の積算ソフトも導入


一方、業務の適正化という点では、公共工事専用の積算ソフトの導入も大きな成果を上げている。

工事費用の積算は民間工事と公共工事でその方法が大きくことなるという。民間工事では、個別の部材ごとに積算するが、公共工事の場合、仕様が異なり、細かい材料などをまとめた形で積算する必要がある。民間工事が多い竹内セントラルでは、公共工事に応札する際、電卓片手にほぼ手計算で公共工事の積算を行っていたという。

公共工事専用の積算ソフトは、公共工事の積算基準に合わせ、自動的に経費などを計算でき、積算にかける時間を大幅に短縮させた。受注力の向上にもつながっている。

働き方改革に直結するICT活用

CADで作成した設計図面は、タブレットでも確認できる

CADで作成した設計図面は、タブレットでも確認できる


 ICTの積極的な活用は「働き方改革」にも直結している。

「当社も週休2日制にしているのですが、定時だけでは作業が追い付かないため、ほとんどの社員が土曜日に出勤していることがありました。ICTの導入で効率化が進み、土曜日に出勤する社員の数は目にみえて少なくなりました」と前田社長は目を細める。

「バブル期には23時間働いたこともあった」と振り返る前田社長。ICTの導入に前向きなのは、現場の苦労は身に染みて理解しているからだ。3D-CAD(3次元コンピューター設計支援)の導入では、導入候補の複数のシステムを実際に設計部隊に実際に使用してもらい、最も評価の高かったシステムを導入した。若い社員たちの声にも真摯に耳を傾けている。

前田社長は、「現場で働く社員たちがやりやすい環境をつくることも社長の大きな役割です」と笑顔をみせた。時代の変化にも敏感にならないと、会社経営は成り立たない。昭和・平成・令和と渡り歩いた前田社長の経験と、若手社員の力が歯車のようにうまくかみ合って、竹内セントラルの成長の原動力となっている。

会社概要

会社名

竹内セントラル株式会社

本社

埼玉県草加市氷川町2112-6

電話番号

048-928-5525

設立

1962年8月

従業員数

33人

事業内容

事業内容 空気調和設備・給排水衛生設備・消防設備・浄化槽設備・建築工事・土木工事・設計施工

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