事例集

2021.02.10 06:00

ホームページは患者・利用者との大切な窓口 作成ソフト変更で残業がなくなり、情報量もアップ 新里メディケアグループ(長崎市)

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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


「高齢の腎疾患患者が増える中で、患者たちに本当の意味での安心・安定を届けるには医療と介護の垣根を取り払わなくてはならない。そこが最初の出発点でした」。長崎市内で医療施設と高齢者福祉施設を運営する新里メディケアグループの新里健理事長は力強くそう語った。

大学の医局を出て長崎市内に小さな診療所を開院したのは1986年のことだ。腎臓疾患を専攻し、市内で人工透析施設を併設した内科診療所を設けた。開院当時、腎臓病は若い世代が多く罹患する病気だったという。だが、時の経過とともにそれらの患者も高齢化。さらに平均寿命が延びる中で、高齢者特有の腎臓疾患患者が増加するようになった。その様な社会背景のもとで、充実した高齢化人生を実現できる施設の建設を進めたという。

「最初の10年間は医局という人とのつながり以外は何もないところから、文字通り裸一貫からやってきました。大学卒業後すぐに借金して小さな家を持ったりもしましたが、それや車を売却して事業の資本にしました」と懐かしそうに語る。

新里健理事長

新里健理事長


新里理事長を慕う患者は多く、施設が少しずつ手狭になった。対応できる施設を増やし、事業が拡大していった。現在は2つの医療施設と3カ所の住宅型有料老人ホームのほか、グループホーム、ケアハウス、居宅介護支援サービスなど幅広いニーズに対応した高齢者福祉事業を展開する。2010年に設立した新里メディケアセンターは、医療施設、有料老人ホーム、介護療養型老人保健施設などが一体化した、これまでの取り組みの集大成ともいえる施設だ。

プロ仕様の作成ツールがあだに


中核施設であるメディケアセンターでは、グループ全体のホームページを一元的に管理していた。老人ホームなどで行われたイベントなどのアップ。入居者の家族に近況を知らせている。サイトの運用は、センターのシステム担当の2人を配置。各施設から入ってきた情報をホームページにあげる作業を行ってきた。だが、その運用には大きな問題を抱えていた。

「作成に使用していたソフトにフォーマットがなく、自分たちで一から作っていかないといけなかったのです」と業務支援課の高田英男課長は語る。ウェブデザイナーなどが使用する本格的なソフトで、HTMLやCSSといったホームページ作成のための専門言語の知識が求められるものだった。

業務支援課 高田英男課長

業務支援課 高田英男課長


「基本的に2人の担当者しか作業ができませんでした。施設の職員が、イベントの記事や写真などの素材を用意して、申請書を書いてアップしてもらう形をとっていました。2人のスタッフは通常はシステム保守の仕事をしていて、アップするのは通常の業務が終わってから、残業してやっていました」(高田課長)

ホームページの作りこみも難しく、デザイン的に魅力に欠けたものだったという。「もっと魅力あるホームページにしてほしい」と新里理事長はサイトの見直しを命じた。そこで、普段から取引のあったリコージャパンに相談。簡単な操作でホームページの作成ができる「おりこうブログ」というソフトを2015年に導入した。

誰でも使える操作性 運用環境が一変


すると、運用環境は大きく変化した。

ホームページをみたままの感覚で初心者でも簡単に作成できるため、イベント情報を入れ込む作業は、各施設の職員ができるようになった。また、スマートフォン対応も可能になった。懸案だったトップページも、さまざまなホテルのサイトを参考にしながら、より魅力が増す形に編集し直した。

ホテルのサイトを見直しの参考にしたのは「ホテル業界は、旅人に癒しと安心を与える場所です。Humanity(豊かな人間性)やHospitality(やすらぎの提供)というわれわれが目指す理念に非常に近いところがあります」と新里理事長は、その理由を説明してくれた。

新たな作成ソフトを入れたことで閲覧動向も「見える化」できるようになった。高田課長は「高齢者福祉施設の閲覧が多いだろうと思っていたのですが、意外にも病院の閲覧が多かったんです。ドクターに関る情報の閲覧も多くありました」と新たな発見をすることができた。

おりこうブログで作成したホームページ

おりこうブログで作成したホームページ


導入によって、これまで2人置いていたサイトの作成担当者は1人に減らすことができた。そのうえで残業時間もなくなった。担当者は、グループの「顔」となるトップページの更新を担当

現在、トップページには、10月からリコーの360度カメラ「RICOH THETA」で高齢者施設の内部を撮影した映像を公開している。公開してまだ間もないが、閲覧数も多く好評だ。コロナ禍で施設の見学会を開催できない中、施設に利用に関心を持っている高齢者やその家族に施設の内部を隅々までみてもらい、施設利用の検討材料にしてもらうことを狙いにしている。

360°カメラ「THETA」で撮影した病院内の写真を掲載

360°カメラ「THETA」で撮影した病院内の写真を掲載


「新しい施設ではないので、生活感も出ていますが、その方が逆にいいのではないかと思っています」と高田課長は笑顔をみせた。

新里理事長の改革はまだ途上だ。「病気や福祉の状況について調べることができ、病院や施設を利用するきっかけにできるような仕組みも考えたい」と話す。また、看護師や介護士の求人募集への活用にも取り組み、魅力あるホームページづくりに向けて一歩一歩進化させている。

ホームページは「顔」 活用法を考えよう


 「ホームページは、病院や施設にとって顔であり、大切な営業ツールです」と新里理事長は話す。まさに言葉通り重要な役割も持っている。閲覧者の多くは、サイトの内容を吟味し、他の医療施設や高齢者福祉施設のサイトと比較しなから、利用するべきか否かの検討を行っている。

医療施設や高齢者福祉施設にとって、患者や入所希望者、入所者家族の窓口だが、企業にとっては、顧客や投資家、求職者との重要な窓口だ。サイトの印象だけで、新たな顧客をつかむことになるし、逆につかみ損なうことも起こりうる。

「ホームページをつくってみたものの、うまくビジネスに結びつかない」という経営者も少なくないが、実は、新里メディケアグループのように作成サイトをうまく使いこなせなかったことが理由になっているのではないだろうか。運用状況や環境を一度見直してみて、さらに活用する手立てを考えることも大切なことだ。

概要

法人名

新里メディケアグループ(医療法人社団健昌会 社会福祉法人長昌会 有限会社新里ソーシャルサービス)

所在地

長崎県長崎市茂里町3-20

電話番号

095-813-1234

設立

1986年7月

従業員数

380人

事業内容

医療施設、高齢者福祉施設などを運営

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