事例集

2021.02.04 06:00

堅実さの一方でEDIの「iネット3」は、協力企業を巻き込んでICT化を進める 岩堀建設工業(埼玉県)

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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


小江戸と呼ばれ、古くから賑わって来た埼玉県川越市で1945年に創業した岩堀建設工業。地域に根ざした堅実経営で、75年の歴史を重ねてきた。“石橋を叩いても渡らない”社風だが、ICT(情報コミュニケーション技術)に関しては早くから積極的に導入してきた。現在は、EDI(電子データ取引)の仕組みを導入して、見積りや発注書、請求書の発行といった書類のやりとりを、ネット上で行い大幅な効率化を実現している。

協力企業支援&会社内スピード化、通常1ヶ月かかる見積もりが3日で出来る


「iは岩堀のiなんです」。岩堀建設工業が導入しているEDI「iネット3」について、そう説明するのは、同社でシステム関係の業務を担当する岩本聡取締役情報マネジメント事業部長だ。インターネットを使った仕組みという意味も含んではいるが、自分たちが先駆者としてEDI構築に取り組んできたという自負も、ネーミングには込められている。

「iネット3」とはどういうものか。ある事業案件があったとする。現場からWEBを介してパートナー企業に見積もり依頼が行くと、相手もWEBで見積もり結果を返してくる。これを、本社のプロジェクトマネジメント部門が精査して社長の判断を仰ぐ。必要なら再交渉も行った上で承認となり、契約書が発行される。

「iネット3」の流れ(岩堀建設工業株式会社のサイトより


「それまで、通常は1カ月くらいかかっていたものを、3日まで短縮できるんです」と岩本取締役。施工のタイミングが遅れて、依頼主が好機を逸するようなことがなくなる。資材の調達でも先手が打てる。「業務時間が短縮できれば、その分だけ多くの業務に取り組めます。情報も共有化されて的確に引き継がれ、サービス全体の質を高められます」

ICTによって会社を変える!ネットには常に積極的だった


こうしたEDIの仕組は、同規模の建設会社はもちろん、ゼネコンでもあまり稼働していないという。それを岩堀建設工業が構築できたのは、ようやく電子メールが普及し始めた時期から、現在の岩堀和久社長や岩本取締役らが、グループを作って情報を共有化することに取り組んできたからだ。

今でこそLINEなどで簡単に情報を共有化できるが、1990年代は電子メールのアドレスすら持っている人は少なかった。そういった時代に岩本取締役は、当時常務だった岩堀社長らと語らって電子メールを活用しようと考えた。アカウントを取得し、3人ほどでメールのやりとりを始めた。

岩本聡取締役情報マネジメント事業部長

岩本聡取締役情報マネジメント事業部長

パソコンは自前。当時の2代目岩堀徳太郎社長を説得しての導入だったが、すぐに価値が知れ渡った。誰かの経験や考え方を、別の誰かと共有できるという価値だ。「常務の発言や考えを、離れていても知ることができるのですから、初めて触れた人には驚きだったでしょう」。そこから、社内に仲間を増やしていきネットワークを構築した。

ネット時代に重要なホームページのドメインも、全国に同じ名前の建設会社がある中で、先んじて「iwahori.co.jp」を取得した。「後になって、売ってくれという会社もありました」と岩本取締役は振り返る。IT化の意味と価値を感じ取っていたから、次々と先手を打ち続けられた。

協力企業との情報共有=グループウェアの重要性に気づく


業務の効率化に大いに役立っている「iネット3」の構築も、こうした進取の気風の成果だった。発端は、メールによるやりとりを経てグループウェアの重要性に気づいたこと。現在の「iネット3」は自社で開発・導入したものだが、初期は「ノーツ」というツールを活用してNECとともに開発・導入し、協力会社と結んでいった。これが初代の「iネット」に当たる。

2000年当時はインターネット自体の導入(光以前の速度)もしていない協力会社が多く、またPCやネット環境も高額なこともあり、導入をしぶる取引先もあったが、必要になるからと説得し、PCの使い方も含めて教える研修センターまで創設して導入を後押しした。ネットやコンピューターが使えなければ仕事にならない時代が来て、小規模の取引先でも対応できるのは、この時のプッシュがあったからだと「お礼を言われることもあります」と岩本取締役は喜ぶ。「自分たちだけが先行してもだめなんです」。共に成長し、発展していこうとする姿勢がうかがえる。

仕事を通じて、楽しく共に成長する精神


岩堀建設工業の本社屋に入ると、正面に「生楽以業(業をもって楽しく生きる)」と書かれた額が目に入る。これは、同社を創業した初代岩堀徳太郎が、帝国火工品製造からの発注に恵まれた折、浅沼工場長から贈られた言葉だという。社員の誰もがこの言葉を読んで、仕事を通して自分たちが、そして取引先や地域の人たちが楽しく生きていけるような環境作りに取り組みたいと思っている。同社の本社屋前が木々や花々で彩られているのも、東武川越市駅と西武本川越駅の間を移動する通行人たちの心を癒したいからだという。

岩堀建設工業本社入り口に掲げられた「業を以て楽しく生きる」の額

岩堀建設工業本社入り口に掲げられた「業を以て楽しく生きる」の額

自分たちだけでは成長できないことを自覚する。大勢がいっしょに成長していくことで事業の輪を広げようとする。「iネット3」の構築も、岩堀建設工業が次の事業の柱にしようと考えているBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)への取り組みも、相手先の協力がなければ成り立たない。岩堀なら安心して委ねられる。そうした意識を、長い積み重ねの中で醸成してきたからこそ、地域で愛され仲間たちに頼られる建設会社としてあり続けられるのかもしれない。

会社概要

会社名

岩堀建設工業株式会社

本社

埼玉県川越市六軒町1-3-10

電話

049-225-5111(代)

設立

1945年12月1日

従業員数

65人

事業内容

建築設計/構造設計/設備設計/インテリア設計/建築・土木工事業/ホテル経営事業/環境事業(LED、太陽光発電)/ネットワーク事業など

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