事例集

2021.01.29 06:00

建設業の残業上限規制にいち早く対応 クラウドとスマホで勤務時間を効率管理 横田住建(埼玉県)

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執筆者

フジサンケイビジネスアイ

産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


埼玉県川越市の横田住建は、注文住宅からリフォームまで半世紀にわたって、地元の人々の住まいづくりを応援してきた。売り渡し後のアフターケアも充実し、ちょっとした修繕も快く対応する地域密着型の工務店だ。

「『生涯かけた城づくり』を信条に最新の建築工法も積極的に取り入れ、地元のお客さまの信頼をいただいています」と久高健社長は胸を張った。

創業は1974年。地元の不動産会社が建設工事部門を独立させたのが始まりだ。親会社から受注した住宅工事を中心に分譲住宅や集合住宅などの建築を手掛ける一方、自社でも注文住宅や店舗などの建設も請け負う。伝統に基づいた建築工法に加え、エアコン1台で住宅一棟の全室を冷暖房できる高気密・高断熱住宅「YUCACO」などの新しい建築工法を顧客に提案。省エネで環境にやさしい住宅で顧客から高い評価を受けている。また、建築家と提携してスタイリッシュな顧客のこだわりを体現した建築も請け負っている。

地域に根差した事業展開、リフォーム事業拡大


親会社に勤務していた久高社長が横田住建に派遣されたのは2002年のことだ。もともと建築部門を分社化した会社なので、営業部門がなかったという。だが、事業が拡大する中で営業ニーズが高まっていたという。久高社長は営業部門の立ち上げを任命された。「予定では、責任者を求人募集し、その人材に任せるつもりだった」と久高社長。ところが、期待通りの人材を採用できず、そのまま自身が営業部長に就くことになったという。

地域に根差した住まいを提案する横田住建。本社屋はもともと信用金庫だったという

地域に根差した住まいを提案する横田住建。本社屋はもともと信用金庫だったという

「当時、会社にはパソコンとワープロが1台ずつあるだけ。親会社に眠っていたパソコン4台を譲ってもらい、業務に活用しました」。大きなミッションは、当時、需要が伸びつつあったリフォームの事業展開だった。

立ち上げ当初、会社では、住宅建設を手掛けた顧客の管理をしていなかった。そこで顧客リストを作成し、売り渡し後も5年ごとに住宅を定期点検するサービスを展開した。地道な得意先回りを続け、「持ち出しばかりだった」と久高社長は振り返る。事業をスタートさせて10年が過ぎたころから、外壁塗装などのリフォーム受注を勝ち取ってきた。いまでは売り上げの20%を占めるようになった。

「立ち上げが終わったら、親会社に戻るつもりでした」という久高社長だが、そのまま横田住建に腰を据え、2010年には社長に就任することになった。当初10人しかいなかった社員は今では37人に増え、親会社の社員数を上回るほどになった。

ICTを活用して勤怠管理の効率化を実現


地元に根差して事業を展開する横田住建が本格的に取り組んでいるのが「働き方改革」だ。2021年に勤怠管理のクラウドシステムを導入した。

「2024年に建設業の時間外労働に上限規制が設けられます。業界全体にいえることなのですが、当社もしっかり管理ができているわけではありませんでした。勤怠管理の効率化を図るとともに法令を順守するため、勤怠状況をしっかり管理できるようにしました」

現場での工事では、会社に出社せず、直接現場に向かい、会社に戻らずに帰宅する直行直帰の勤務が当たり前になっている。出勤簿の作成は、工事の合間に社員が会社に出社した際、まとめて入力することが多かった。出勤簿は表計算ソフトを使っていたため、社員一人ひとりの勤務状況を把握するのが難しい状況だった。

今回導入したシステムでは、出勤簿などをクラウド上で管理する。直行直帰の社員はスマートフォンを使って出退勤を申告できるようになった。社員一人ひとり勤務状況もシステムを活用することで、自動集計が可能になった。残業が増えている社員に会社として休暇をとるよう促すこともできる。

ICTを活用し、直行直帰の社員の勤務状況も把握できるようになった

※ICTを活用し、直行直帰の社員の勤務状況も把握できるようになった

久高社長が特に評価するのは、スマートフォンで入力時の位置情報も確認できる機能だ。「代休を取りたいという申請を受けて、その社員が本当に休日に勤務していたのかを把握することは重要なことです。まあ、そんな悪いことをする社員はいませんけどね」と久高社長は笑顔をみせた。

また、「パートの社員はタイムカードで勤務状況を管理していたのですが、タイムカードの記録を総務が電卓で計算して、間違えてはいけないので、何重にもチェックしていました」と久高社長。そんな総務担当者の手間も新しいシステムが解放してくれた。

建設業は決まった工期に業務を行うことが多く、工事の進捗状況によっては、休日返上で作業することも少なくない。久高社長は「いままであいまいにしていたところも多々ありましたが、それでは事業が成り立たない時代になっています。残業上限規制などに早期に対応することで、社員や顧客の信頼をより高めていきたい」と話した。

建設業界の残業規制、対応は待ったなし

「お客様や社員との信頼関係が大切」と語る久高健社長

「お客様や社員との信頼関係が大切」と語る久高健社長

労働時間の上限規制は2019年4月に大企業に適用され、その一年後の2020年4月には中小企業にも拡大している。ただ、勤怠管理の徹底が難しい職場環境にある建設業は5年の猶予が与えられ、本格的な実施は2024年に先延ばしされていた。

時間的な猶予は与えられたが、業界全体をみると、人手不足も重なり、対応に苦慮している会社も少なくない。規模の小さい会社も多い業界で、勤怠管理にまで手をかけられないという声も聞かれる。だが、違反をすれば、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。社会的信用も失われかねない。

法令を順守するためには、上限規制を超えた残業をしていないか、ふだんから社員一人ひとりの勤務状況に細かく目を配る必要がある。面倒な作業だが、横田住建のようにICTを積極的に活用することで効率的な管理も可能になる。対応は待ったなしだ。

会社概要

会社名

横田住建

本社

埼玉県川越市新田2-7-3

電話

049-247-0500

設立

1974年9月

従業員数

37人

事業内容

総合建築請負業、宅地建物取引業

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