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コラム
2023.09.22 06:00
【2023年度版】地域活性化・地方創生に役立つ補助金・助成金はこれだ!
この記事に書いてあること
【2023年度版】目的別!地域活性化・地方創生に役立つ支援策まとめ
地域連携のために利用できる支援策を目的別にまとめ、概要や活用事例を一覧にしました。自社のニーズに合った支援策を探すのにお役立てください。
アフターコロナに向けて変化する地域活性化・地方創生の支援策
地域活性化・地方創生は、地方が抱える少子高齢化や人口減少などの様々な問題に対して、各地域がそれぞれの特徴を活かして、自律的で持続的な魅力ある地域社会を創っていくという国の重要な政策です。
コロナ禍で人の働き方やライフスタイルが従来から大きく変化し、アフターコロナに転換しつつあるいま、地域活性化・地方創生のための国の支援策も変化しており、また拡充されています。
この記事では主な支援策についてご紹介します。
※本記事の内容は、記事作成日(2023年7月)時点の情報に基づいています。また、概要がわかるように簡略化して記載しています。最新情報・詳細情報は各施策の公式サイトなどをご参照ください。
地域観光/インバウンド対応支援策
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に変更されたいま、観光・インバウンドが本格的に再開しています。各地域が工夫を凝らして観光客の誘致を図っており、国もこれを後押しするための支援策を用意しています。
持続可能な観光の促進に向けた受入環境整備事業
https://www.mlit.go.jp/kankocho/page08_000227.html
観光地が国内外からの観光客を受け入れるにあたり、オーバーツーリズムの未然防止や自然環境・文化などの地域資源の保全・活用に向けて対策を行うことで、地域と旅行者の双方がメリットを享受できるようにすることが重要です。そのための施設・システム等の整備を、市区町村や都道府県、観光地域づくり法人(DMO)等が行った場合、その経費の一部の補助を受けられるのがこの支援策です。
▼管轄省庁等
観光庁
▼対象者
市区町村や都道府県等の地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)など
▼補助対象
- トイレの有料化に係る整備
- 入域料・協力金徴収システムの整備
- 自然保護のための保護柵、遊歩道等の整備
- 景観に配慮した工作物の整備
- 光害防止のための照明の整備
- バイオトイレ等の整備
- ペットボトル削減のための給水機等の整備
- パークアンドライドのための駐車場の整備
- マナー啓発のためのコンテンツ制作、設備整備
- 混雑平準化・解消のための予約システムの整備
- 混雑平準化・解消のための混雑状況の可視化に資するシステムの整備
▼補助金額
定めなし(予算の範囲内)
▼補助率
補助対象経費の1/2
▼申請期限
第2回:2023年9月15日まで
第3回:2023年10月31日まで
▼観光地域づくり法人(DMO)とは
観光地域づくり法人(DMO=Destination Management Organization)とは、地域の住民や事業者等の関係者と協同して観光地域づくりを行う法人のことです。観光地域づくりの司令塔として、戦略の策定や実施のための調整などを行う役割を担います。観光地域づくり法人(DMO)として観光庁に登録すると、様々な省庁から補助金や人材育成などの支援を受けられます。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/page04_000048.html
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/content/001585665.pdf
インバウンド受入環境整備高度化事業
https://www.mlit.go.jp/kankocho/page08_000150.html
インバウンド消費を拡大させるためには、外国人観光客の国内での周遊を促進することが重要です。そのための施設・システム等の整備を、市区町村や都道府県、観光地域づくり法人(DMO)、民間事業者等が行った場合、その経費の一部の補助を受けられるのがこの支援策です。散策エリアにおける「まちあるき」や広域的な周遊のための環境づくり(面的整備事業)、みなとオアシスや道の駅といった観光施設の機能強化(拠点機能強化事業)が補助の対象です。
▼管轄省庁等
観光庁
▼対象者
観光庁が指定する市区町村、当該市区町村の属する都道府県、観光地域づくり法人(DMO)、民間事業者など
▼補助対象
- 賑わい環境の創出(ナイトタイムエコノミー環境、賑わいの拠点となる屋外広場の整備)
- 新たなニーズへの対応・新技術の活用(ワーケーション環境、多様な移動手段の整備等)
- ストレスフリー・快適な旅行環境の整備(掲示物の多言語化、公衆無線 LANの整備等)
- ユニバーサル対応(段差の解消、近距離移動支援モビリティの整備等)
- 拠点機能の整備・改良(外国人観光案内所、EV 急速充電器の整備等)
▼補助金額
定めなし(予算の範囲内)
▼補助率
補助対象経費の1/2(ただし、拠点機能強化事業のみの場合は1/3)
▼申請期限
第2回:2023年8月31日まで
第3回:2023年10月31日まで
地産品の開発・販売促進・海外展開支援施策
地方ならではの産業資源の輸出事業には、円安の追い風が吹いています。ここでは、地域の産業資源の開発、販売促進、海外展開を後押しするための支援策を紹介します。
なお、長らく海外発信をサポートしてきたJAPANブランド育成支援事業は、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金に統合されました。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(グローバル市場開拓枠)
中小企業者等が革新的な商品・サービスの開発や試作品開発、生産プロセス改善のための設備投資等を行った場合、その経費の一部の補助が受けられる支援策です。海外事業の拡大・強化等を支援するための「グローバル市場展開枠」では、国内向けの通常枠よりも手厚い補助が受けられます。
「グローバル市場展開枠」には、海外支店や海外子会社等の設備に直接投資する「海外直接投資類型」、海外顧客に対して市場を開拓する「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」、インバウンド観光客に対して市場を開拓する「インバウンド市場開拓類型」、海外法人の共同研究・共同事業開発を行う「海外事業者との共同事業類型」の4つの累計があります。
▼管轄省庁等
経済産業省
▼対象者
中小企業者、組合及びその連合体、NPO法人、社会福祉法人など
▼補助対象
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 海外旅費
- 通訳・翻訳費(JAPAN ブランド類型に限る)
- 広告宣伝・販売促進費(JAPAN ブランド類型に限る)
▼補助金額
100万円~3,000万円
大規模な賃上げを行う場合、従業員数に応じて100万円~1,000万円が上乗せ
▼補助率
従業員数に応じて補助対象経費の2/3~1/2
▼申請期限
令和5年度内に数回募集
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
https://www.smrj.go.jp/sme/funding/regional_fund/index.html
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)とは、中小企業基盤整備機構(中小機構)、都道府県、地域金融機関等が共同で出資してファンドを組成し、その運用益で地域の中小企業者等を支援する事業です。地方の産業資源を活かした新事業などに取り組む中小企業者等に対して、資金面などのサポートを行っています。
ここでは、事業の海外展開に活用できる支援策を紹介します。
①【高知県】令和5年度事業戦略等推進事業費補助金(海外事業申請枠)
https://joho-kochi.or.jp/center/kochisangyokikin_2023.php
海外事業に関する市場動向などの調査、販路開拓、人材育成・人材確保に取り組む中小企業者等に対して、その経費の一部が補助される支援策です。
▼管轄省庁等
公益財団法人高知県産業振興センター
▼対象者
高知県内の中小企業者等
▼補助対象
- 資格取得費
- 設備・器具購入費
- 改善・改修工事費
▼補助金額
30万円まで
▼補助率
補助対象経費の2/3
▼申請期限
2024年3月8日まで
②【鳥取県】令和5年度海外ビジネス支援補助金
http://tottori-kaigai.com/index.php?view=5077
海外需要の獲得や海外との経済交流に取り組む中小企業者等に対して、その経費の一部が補助される支援策です。
▼管轄省庁等
公益財団法人鳥取県産業振興機構
▼対象者
鳥取県内の中小企業者等
▼補助対象
- 海外商談会見本市物産展出展(海外の見本市・商談会・物産展出展経費、感染予防経費等)
- 海外バイヤー等招へい(招へいにかかる交通費・宿泊費、翻訳経費等)
- 海外の法制度上必要な検査料、衛生証明書等取得経費
- 輸出入に伴う仕様変更経費
- 資料翻訳経費
▼補助金額
75万円まで
▼補助率
補助対象経費の1/2
▼申請期限
随時(事業実施期限は2024年3月10日まで)
商店街活性化
地方の商店街はいま、人口流出や郊外型商業施設の出店に伴う来街者の減少、空き店舗の増加、店主の高齢化など様々な課題に直面しています。ここでは、商店街が賑わいを取り戻すための支援策を紹介します。
面的地域価値の向上・消費創出事業
https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2023/230626menteki.html
インバウンドを含む地域外からの需要の取り込みと地域内の経済循環を向上させ、地域全体の稼ぐ力を向上させることを目的とした支援策です。自らの魅力・地域資源を活かした消費の創出(回遊促進事業、体験事業、交流事業、ブランディング、情報発信強化等)、滞留・交流空間の整備(空き地・空き店舗の利活用、店舗等の機能転換、歩道等の利活用、景観整備)に取り組む商店街団体等に対して、その経費の一部が補助されます。
▼管轄省庁等
経済産業省
▼対象者
商店街団体及びその連合体
▼補助対象
- 専門家に支払う謝金、旅費
- 会議費
- 店舗等賃借料
- 内外装・設備工事費
- 店舗改造費(建物自体の改造、構造変更等)
- 無体財産購入費
- 設営費
- 通信運搬費
- 備品費
- 借料・損料(機械器具等のリース・レンタル)
- 消耗品費
- 印刷製本費
- 広報費
- 委託費
- 外注費
- 補助員人件費
▼補助金額
200万円~3,000万円
▼補助率
補助対象経費の2/3
▼申請期限
2023年8月9日まで
IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠〈複数社連携IT導入類型〉)
https://www.it-hojo.jp/multiple-type/
IT導入補助金は、中小企業者等が生産性向上(業務効率化)に役立つITツールを導入する際に、その経費の一部が補助される支援策です。
ITの活用による地域DXの実現や生産性向上に取り組む商店街団体、商工会議所、商工会、中小企業者グループを対象とする専用枠として、2023年度から「デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)」が新設されました。この専用枠は、例えば次のような取り組みに活用できます。
①共通の決済ソフト導入による商店街全体の消費動向の共有・分析
商店街に店舗を構える複数の事業者が共通の決済ソフトを導入することで、商店街の各店舗の販売実績、顧客情報等のデータを蓄積し、蓄積したデータを元に商店街全体の消費動向を分析して商店街の活性化施策に役立てる取り組み。そのための決済ソフトの導入に補助金を活用。
②商店街オリジナルのスマートフォンアプリ導入による業務効率化と情報発信
アンケートやクーポン、商品券等の電子配布が可能な商店街オリジナルのスマートフォンアプリを導入。来街者にインストールしてもらうことで、従来は紙で行ってきた販売促進の業務を効率化するとともに、新規出店やイベントなどの情報発信に役立てる取り組み。そのためのスマートフォンアプリの導入に補助金を活用。
▼管轄省庁等
経済産業省
▼対象者
構成員が10者以上の商店街団体、商工会議所、商工会、中小企業者グループ等
▼補助対象
- ソフトウェア購入費、使用料等
- ハードウェア購入費
- グループ取りまとめ経費(人件費、消耗品費、備品費、資料作成・印刷費、広報費、通信運搬費、会議費、資料購入費、専門家謝金等)
▼補助金額
ソフトウェア・ハードウェア:3,000万円まで
グループ取りまとめ経費:200万円まで
▼補助率
取り組み内容に応じて補助対象経費の3/4~2/3
▼申請期限
令和5年度内に数回募集
IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)についてはこちらのコラムでも詳しく説明しています。
地域における経営的人材の確保
地方の人手不足は常態化していますが、その中でも特に経営人材、マネジメント人材は著しく不足しています。ここでは、そのような経営的人材の確保のための支援策を紹介します。
プロフェッショナル人材事業
https://www.pro-jinzai.go.jp/
生産工程の効率化や新商品開発、国内外の販路開拓といった経営戦略を実現していくためには、高度なスキル・ノウハウを持つプロフェッショナル人材の活用が欠かせません。しかしながら、都市部への人材の集中や給与水準の差などから、プロフェッショナル人材を地方の中小企業が獲得するのは困難な状況にあります。そのような地方の中小企業が域外からプロフェッショナル人材を獲得するための支援策が、プロフェッショナル人材事業です。
この支援策は、各都道府県に設置されたプロフェッショナル人材戦略拠点が主体となり、地方の中小企業の経営課題や人材ニーズの分析・明確化から、職業紹介事業者等との連携によるプロフェッショナル人材のマッチング、マッチング後のフォローアップまでの一連の流れを支援する仕組みとなっています。フルタイム雇用に限らず、業務委託を含む副業・兼業による人材獲得も可能です。この支援策は2015年から開始されており、2023年5月時点の累計成約件数は2万1,000件を超えています。
プロフェッショナル人材のマッチングの方法として、職業紹介事業者を介したマッチングのほかに、都市部大企業による人材交流という方法も用意されています。プロフェッショナル人材戦略拠点とパートナーシップを結んでいる都市部の大企業に在籍するプロフェッショナル人材を、出向、研修、副業・兼業の形で獲得するという仕組みです。現在、約50社の大企業が登録されています。
▼プロフェッショナル人材戦略拠点による支援の流れ
①プロフェッショナル人材戦略拠点が中小企業経営者との対話を通じて、経営課題や人材ニーズを明確化
↓
②プロフェッショナル人材戦略拠点が職業紹介事業者等に人材ニーズを通知
↓
③職業紹介事業者等が中小企業とプロフェッショナル人材をマッチング
↓
④プロフェッショナル人材戦略拠点がマッチング後のフォローアップを実施
▼管轄省庁等
内閣府
先導的人材マッチング事業
https://pioneering-hr.jp/
地方の中小企業が経営課題の解決に必要となるハイレベルな経営人材・デジタル人材等を域外から獲得するための支援策が、先導的人材マッチング事業です。この支援策は、地方の中小企業と日常的に関りを持つ地域金融機関等が主体となり、中小企業の経営課題や人材ニーズの明確化、職業紹介事業者等との連携によるハイレベルな経営人材・デジタル人材等のマッチング、マッチング後のフォローアップまでの一連の流れを支援する仕組みとなっています。フルタイム雇用に限らず、業務委託を含む副業・兼業による人材獲得も可能です。
マッチングを行った地域金融機関等に対してはインセンティブが用意されています。マッチングの成約時に、その成果(理論年収等)に応じた一定額が補助金として地域金融機関等に支払われるというものです。本事業を行う地域金融機関等の募集は年に1~2回程度行われており、令和5年度は119者の地域金融機関等が採択されています。
▼管轄省庁等
内閣府
まとめ
地域活性化・地方創生のための支援策は、国レベルのものだけでなく、都道府県や市区町村、財団のものまで含めると多数あります。また、支援策の新設・改廃、公募は随時行われているため、日ごろから情報収集を行っておくことが大切です。ご自身の会社や団体の所在地エリアでどのような支援策が活用できるか、下記のような情報源で調べておくことをおすすめします。
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する、支援情報や事例の情報サイトです。「支援情報ヘッドライン」から、「補助金・助成金・融資」「セミナー・イベント」「その他」の情報を検索できます。
中小企業者等が利用できる様々な支援策がまとめられた手引きです。補助金・助成金だけでなく、融資、税制、セミナー・イベントなど様々な施策の概要が紹介されています。お手元にあると大変便利です。
「施策一覧」の「各府省庁の地方創生関連施策」に、各府省庁の地方創生施策紹介サイトが一覧化されています。
観光庁の支援策の公募情報が一覧化されています。観光庁の支援策は、募集開始から2週間~1か月程度の短い期間で募集が締め切られるものが多いため、このページを常にチェックして、最新情報の収集に努めることをおすすめします。
本記事でご紹介した施策を目的別に整理し、概要や補助金額などをまとめたダウンロード資料をご用意しました。ご自身の会社や団体のニーズに合った支援策を探し、より理解を深めるのに役立ちます。ぜひお手もとに保存して、ご自身での取り組みや専門家へのご相談を検討する際にご活用ください。
※本記事の内容は、記事作成日(2023年7月)時点の情報に基づいています。
また、概要がわかるように簡略化して記載しています。最新情報・詳細情報は各施策の公式サイトなどをご参照ください。
監修
菊川洋平
社会保険労務士、認定経営革新等支援機関。
社会保険労務士事務所リズム代表、リズムマネジメント株式会社代表取締役。システムベンダーにて国内有数のシステム開発プロジェクトの設計開発・プロジェクトマネジメントを歴任。前職の㈱リクルートではグループ全体の人事給与パッケージソフトウェアの導入・運用に従事。人事制度構築、労務デューデリジェンス、新規事業開発、DX,BPRなどが専門。公益団体やベンチャー企業など複数の組織の役員を兼務。
記事執筆
中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
全国の経営者の方々に向けて、経営のお役立ち情報を発信するメディアサイト。ICT導入事例やコラム、お役立ち資料など「明日から実践できる経営に役立つヒント」をお届けします。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。
【2023年度版】目的別!地域活性化・地方創生に役立つ支援策まとめ
地域連携のために利用できる支援策を目的別にまとめ、概要や活用事例を一覧にしました。自社のニーズに合った支援策を探すのにお役立てください。